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ペンタックス K100D【第2回】
気になる画質をチェック

Reported by 伊達 淳一


 ペンタックスK100Dは、“鮮やか”と“ナチュラル”の2種類の画像仕上が選択できる。“鮮やか”は見映え重視の絵作りで、彩度やコントラスト、シャープネスが強め。“ナチュラルは素材性重視の絵作りで、彩度やコントラスト、シャープネスは控えめになっている。ただし、ピクチャーモードおよびSCNモードでは、画像仕上の変更はできず、常に“鮮やか”で撮影される仕様だ。

 ただ、*ist DS2/DL2までの2種類の画像仕上は“帯に短したすきに長し”だった。“鮮やか”はシャープネスが強すぎて、輪郭強調の縁取りがジャマして細部の解像感がかえって低下してしまうし、かといって、“ナチュラル”にするとどこにピントが合っているのかわからないような、ボヤッとにじんだ描写になってしまうのだ。そのため、画像仕上げを“鮮やか”にしてシャープネスを1段下げるか、“ナチュラル”でシャープネスを1段高くするなどのカスタマイズが不可欠だった。

 ところが、今回、K100Dを使ってみて、デフォルトの“鮮やか”のままで撮影しても、DS2よりも画質が良くなっているような気がした。画素数が610万画素なので、劇的に解像感が向上しているわけではないが、なんとなく細部の描写がスッキリとしていて、輪郭強調の不自然さが目立ちにくくなっているように感じたのだ。そこで、*ist DS2とK100Dとで撮り比べを行ってみることにした。

 まずは、解像力チャートで解像限界の描写をチェックしてみよう。レンズは smc-PENTAX DFA 100mm F2.8マクロ、光源はモノブロックタイプの大型ストロボ2灯で、光の回折によるシャープネス低下を回避するため、絞りはF8までにとどめている。

 “鮮やか”で撮影したカットを見比べてみると、*ist DS2は垂直方向に伸びたチャートが1,450TV本あたりからつぶれて不鮮明になっているのに対し、K100Dは1,600TV本を超えてからも線は分離していないものの、なんとか解像感を保っていて、1,700TV本を超えたあたりから完全につぶれてしまう。斜め方向のチャートも非常にスッキリしている。白黒のチャートだけで画質を判断するのは早計だが、少なくともK100Dのほうが細部の分離は良くなっていることがわかる。

 驚いたのは“ナチュラル”の描写だ。DS2のナチュラルは、コントラストが低く、ハイライトのヌケが悪い。しかもシャープネスが低すぎて、線がボヤッとにじんで見える。ピンぼけと見間違えてしまうような冴えない写りだ。いくら素材性重視とはいっても、レタッチしなければ見られないほど甘い、というのは、少なくともこのクラスのカメラには似合わない絵作りだ。ところが、K100Dのナチュラルは、素材性を失わない程度にコントラストやシャープネスが強められていて、実にバランスのいい仕上がりになっている。キレのいいレンズで撮影するなら、ナチュラルをデフォルト設定のままで使っても、十分好結果が得られるはずだ。


●画像仕上による描写の違い


*ist DS2 鮮やか K100D 鮮やか

*ist DS2 ナチュラル K100D ナチュラル

 このように、K100Dの画像仕上は“鮮やか”、“ナチュラル”のどちらもデフォルト設定のままで十分使える絵作りに改善されているので、*ist DS2のように画質パラメータのチューニングで苦労する必要はなくなった。わざわざRAWで撮影しなくても、JPEGでも十分好ましい画質が得られると思う。

 とはいうものの、最高の画質を引き出すなら“やはりRAW”だ。610万画素という画素数が少なすぎるとは思わないが、1,000万画素機と比べると細部描写力ではかなわない。しかし、RAWを上手にデジタル現像することで、610万画素のポテンシャルを最大限に引き出すことが可能だ。

 DS2のRAWを付属のPENTAX PHOTO Laboratory2.1(PPL2.1)を使ってフルオートモードでデジタル現像すると、解像力チャートの1,500〜1,600TV本あたりの分離が良くなるが、K100Dの“鮮やか”よりも輪郭強調の縁取りが目立つ。*ist DS2 + PPL2.1のフルオートモードでデジタル現像するよりもK100Dの“鮮やか”で撮りっぱなしのほうが上質な描写だ。

 一方、K100DのRAWを付属のPENTAX PHOTO Laboratory3(PPL3)を使ってフルオートモードでデジタル現像すると、解像限界を超えた1,650TV本以上の描写が良くなり、折り返しによる偽解像ながら、ベタッとつぶれていないのでJPEGよりも解像感がある。輪郭強調の縁取りもほとんどなく、800万画素機に迫る好描写だ。


*ist DS2 RAW + PPL2.1 K100D RAW + PPL3

*ist DS2 RAW + PPL3

 ちなみに、*ist DS2のRAWを、K100D付属のPPL3でデジタル現像すると、K100DをPPL3でフルオート現像したものとほとんど変わらない描写を得ることができた。つまり、従来の*ist DS/DL系ユーザーも、RAWで撮ってPPL3でデジタル現像すればK100Dに匹敵する描写を引き出すことができるわけだ。ペンタックスでは、PPL2.1からPPL3へのバージョンアップも検討中だそうだが、具体的な時期や有償か無償かどうかなどは現時点では未定だそうだ。

 ところで、PPL3の画像処理には、市川ソフトラボラトリーのSILKYPIXエンジンが採用されているが、SILKYPIX Developer Studio 2.0(SILKYPIX DS2)も発売日翌日にはK100Dに対応した。そこで、SILKYPIX DS2を使ってデフォルトのままで現像してみたが、PPL3のフルオートモードで現像したものと非常によく似た仕上がりが得られた。SILKYPIX DS2のほうがPPL3よりもパラメータを細かく調整できるので、SILKYPIXを購入したほうがより上質な画質を引き出せるが、現在、SILKYPIXは新バージョンに向けてのテスト版が公開中ということもあり、バージョンアップ代を節約したいなら新バージョンが発表されるまではPPL3でしのぐというのもアリだろう。


K100DのRAWをPPB3でDNG形式に変換し、Photoshop CS2のACRで現像

 Adobe Photoshop CS2やElements4のAdobe Camera RAWプラグイン(ACR)は、まだK100Dには対応していないが、PENTAX PHOTO Browser3(PPB3)にはRAWをDNG(Digital Negative)に変換する機能があるので、PPB3でDNG形式に保存し直すことで、K100DのRAWをAdobe Photoshop CS2やElements4のACRで読み込むことができる。


PENTAX PHOTO Browser3のサムネイル画面でマウスを右クリックすると、コンテキストメニューが表示される。このメニューの中にDNG変換やJPEG抽出などの項目が存在する

 前回、ペンタックスの*ist DシリーズやK100Dは、RAWとJPEGの同時記録ができないと書いたが、実際にはRAWの中にJPEGが埋め込まれている。おそらく、拡大再生時に使われているのだろう。これまでこのJPEGを簡単に取り出すツールがペンタックスからは提供されてこなかったが、PPB3にはDNG変換機能だけでなく、RAWに埋め込まれているJPEGファイルを抽出し、別ファイルとして保存する機能も加わっている。単に埋め込まれているJPEGを抽出するだけなので、撮影したRAWをすべて処理してもかかる時間は秒単位。フルオートモードでデジタル現像するよりも圧倒的に速い。

 ただ、たくさんの画像を保存しているフォルダをPPB3で開こうとすると、まるでハングアップしてしまったかのようにサムネイルが表示されるまでに時間がかかる。特に、ボクはネットワーク接続のHDDに保存しているのでなおさらだ。だから、RAWからJPEGを抽出するのは、撮影データをSDメモリーカードからHDDに保存するときに一緒に行なうことにしている。なお、埋め込まれているJPEGは、ファイルサイズから推定すると画質モード★★で保存されているようで、画像仕上やシャープネスなどのパラメータも反映されているようだ。


*ist DS2のRAWからPPB3を使って抽出したJPEG K100DのRAWからPPB3を使って抽出したJPEG

 次に、画像仕上で色や階調がどのように変化するのかを見てみよう。できれば屋外で実写したかったのだが、梅雨真っ盛りで連日どんよりとした天気だ。色をチェックするにはあまりに条件が悪いので、インバーターの蛍光灯照明でビスクドール風人形とマクベスチャートを撮影してみた。レンズはDA 18-55mmF3.5-5.6ALを使用している。

 *ist DS2の“鮮やか”に比べるとK100Dの“鮮やか”のほうが、わずかではあるが彩度やコントラストが低めで、ギスギスした感じが薄らいでいる。一方、“ナチュラル”では*ist DS2のほうが彩度とコントラストが低く、ちょっと地味な発色だ。


*ist DS2 鮮やか K100D 鮮やか

*ist DS2 ナチュラル K100D ナチュラル

*ist DS2 RAW + PPL2.1でフルオート現像 K100D RAW + PPL3でフルオート現像

 最後に、感度による画質の変化を見てみよう。レンズはやはりDA 18-55mmF3.5-5.6ALを使用している。

 *ist DS2もK100DもISO200〜3200まで1EVステップで感度を変えることができる。APS-Cサイズの1,000万画素機は高感度時のノイズで苦労しているが、*ist DS2やK100Dは610万画素と画素数を無理していないぶん、高感度特性は優れていて、ISO800までは十分常用できるノイズレベルだ。ISO1600になると輝度ノイズもかなり目立ってくるが、カラーノイズは少なめだ。ISO3200になると、かなりノイズが目立ってきて、解像感も低下してくる。

 また、*ist DS2もK100Dも高感度ノイズは似たようなレベルだが、*ist DS2のRAWをPPL2.1でデジタル現像すると、JPEGで撮影したものよりもノイズ(特にカラーノイズ)が目立っている。カメラ内で生成されるJPEGとPPL2.1では、画像処理のアルゴリズムが違っていて、ノイズ処理が行なわれていないのだろう。

 しかし、*ist DS2のRAWをK100Dに付属するPPL3で現像すると、JPEG並にノイズが目立たなくなる。さらに、PPL3には、ノイズリダクション機能も備わっており、手動でパラメータを調整すればノイズをより目立たなくすることも可能だが、その代償として細部の描写が甘くなったり彩度が失われてしまうので、パラメータのさじ加減がむずかしい。個人的には、部分的に解像感が喪失する不自然さのほうが不快だと思うので、多少ノイズが残っても、ノイズリダクションは弱めにしたほうが好きだ。


●感度別の画質比較(画像仕上は“鮮やか”)



ISO200

ISO400

ISO800

ISO1600

ISO3200

●感度別の画質比較(純正ソフトでRAWを処理)



ISO200

ISO400

ISO800

ISO1600

ISO3200

PENTAX PHOTO Laboratory3は、SILKYPIXエンジンが採用されていて、レンズ収差補正やノイズリダクションといった機能が追加されている K100DのISO3200で撮影したRAW画像を、PPL3のノイズリダクションを効かせて現像。ザラザラ感は抑えられたが、細部の描写がつぶれて解像感が部分的に喪失してしまった

【お詫びと訂正】記事初出時、「感度別の画質比較(純正ソフトでRAWを処理)」の作例で、ISO200の画像がISO400に、ISO400の画像がISO800に、ISO800の画像がISO1600に、ISO1600の画像がISO3200なっておりまたした。また、K100DのRAW画像をノイズリダクションを効かせて現像した画像で、当初説明にISO1600で撮影とありましたが、ISO3200の誤りでした。お詫びして訂正いたします。


 なお、K100Dは撮影時にOKボタンを押すと、ファインダーと上部液晶モニターに設定されているISO感度が数値で表示される。*ist DS2にはなかった機能で、知っておくとなかなか便利な機能だ。できることなら、Fn+右方向キーでISO感度設定画面を呼び出したときにも、OKボタンを押したときと同様、ファインダーや上部液晶モニターに感度を表示してほしいと思う。Fnボタンを押して右方向キーでISO感度設定という動作は、指が操作を覚えているので頭で考えなくても反射的に操作できるし、ファインダーに数値が表示されればファインダーを覗いたままでもなんとか感度変更できるからだ。

 また、K100Dには「デジタルプレビュー」という機能も追加されている。要は実際にシャッターを切って、その撮影画像を液晶モニターに表示するという機能だが、メモリカードに記録されないという点が通常の撮影とは異なっている。従来の光学プレビューもメニューで切り換え可能だが、フォーカシングスクリーンではアバウトにしか被写界深度を確認できないし、小絞りではファインダー像も暗くなってしまう。その点、デジタルプレビューなら、実際の写りと同じだ。デジタル時代ならではの機能と言えるだろう。

 ただ、デジタルプレビューで不満なのは、

・デジタルプレビューは拡大表示ができない
・デジタルプレビューしたものを記録できない
・デジタルプレビューではヒストグラム表示に切り換えられない

ということ。例えば、今回の解像力チャート撮影だが、ごく一部の機種を除き、一眼レフのファインダー視野率は100%ではない。つまり、ファインダーで見えるよりもわずかだけ広い範囲が写ってしまうのだ。その点ではコンパクトデジカメの液晶モニターのほうが正確なフレーミングができる。解像力チャートのように指定された部分を正確なフレーミングで撮影しなければならない場合、シャッターを切っては液晶モニターで再生し、フレーミングのズレを直してまたシャッターを切る、ということを何度も繰り返している。こんなとき、デジタルプレビューを使えば、いちいちメモリカードに記録されないので便利なのだが、拡大再生ができないのでピントチェックができないのだ。


 また、解像力チャートの撮影なら、デジタルプレビューでフレーミングを確認した後で、もう一度シャッターを切り直せばいいが、風にゆらゆらと揺れる花をマクロで撮影するときや、手ブレ限界を遙かに下回ったシャッタースピードで夜景を撮影したいときなどは、シャッターを切って液晶モニターでピントやブレをチェックし、失敗していたら削除してもう一度チャレンジする、といったことを繰り返すと思う。もし、デジタルプレビューで、拡大再生やデジタルプレビューしたものをそのままメモリカードに記録できるようになれば、前述したような撮影には重宝すると思う(特にメモリカード残量が切迫している場合)。

 そのほかにも、ファインダー内表示にAF.C表示が出る、「画質」変更時に撮影可能枚数が上部に表示される、レックビュー(クイックビュー)時と再生時のビュー表示(ヒストグラムや白飛び警告表示の有無)を別々に設定できる、など、*ist DS2から数々の改良が加えられている。使い込むほどに使いやすさが実感できるカメラだ。



URL
  ペンタックス
  http://www.pentax.co.jp/
  製品情報
  http://www.digital.pentax.co.jp/ja/35mm/k100d/

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( 伊達 淳一 )
2006/07/21 01:28
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