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松下電器 LUMIX DMC-FX01【第7回】
どーせワタシは心が狭いですよ

Reported by 北村 智史


 カミサンとムスメを連れて上野動物園に行ってきた。ここしばらく、ずっと天気が悪かったからというのもあるのだろう、えらく混んでいて、なのにどういう巡り合わせか、知り合いにばったり出くわしてしまった。それも2人である。2人とも仕事で撮影に来ていたりするあたりが何だかなぁという感じ。まあ、筆者も作例撮りが主な目的なので、似た者同士である。日曜だってのにね。

 さて、新製品レビューに長期レポートと、FX01とはほぼ3カ月の付き合いになる。そろそろ少しぐらいは文句を書いてもよさそうな頃合いだ。といっても、全体的にはかなりよくできたカメラなので、致命的な欠点があるわけではない。なので、筆者がケチをつけるのは、筆者以外に文句をいう人はまずいないだろうと思われる細かいところばかりである。

 例えば、カード/バッテリー扉のロック機構。この扉にはスプリングが入っていて、ロックレバーをスライドさせるとパタンと開いてくれる。これはけっこうお気に入りだったりするのだけれど、閉める時には少しばかり手間がいる。扉を押さえながらロックレバーをスライドさせないといけなくて、これが面倒くさい。どうせなら扉を閉めれば自動的にロックがかかるようになっていてくれればいいのに、と思ってしまう。まあ、小さいことにこだわっちゃいけないと思うのだけれど、やっぱり気になるところである。

 それから、メニュー操作時の循環選択が統一されていないこと。メニュー全体は循環選択が可能なので、例えば、撮影メニューのいちばん下の「画質調整」から下キーを押せば、いちばん上の「ホワイトバランス」にジャンプできる。が、メニューの各項目の中ではジャンプはできない。例えば「ISO感度」を「AUTO」から「400」に変えるには上キーで一発ジャンプ、とはいかない。循環選択ができないので、下キーを4回押さなきゃいけないんである。もちろん、下キーを4回押すぐらいたいした手間じゃない。けれど、メニュー自体は循環選択ができるものだから、ついジャンプできるつもりで上キーを押してはムッとしてしまう。循環選択を可能にするなら、メニュー項目の中まで循環選択可能にしてくれたほうが、ムダな操作をしなくていいので気楽でいい。

 露出補正時の表示も、上下に青い帯が出るのがジャマっけだし、補正量のスケール表示がどーんと出るのも好きじゃない点。上下の帯は「露出補正中ですよ」、「左右キーで補正量の増減ができますよ」などと教えてくれる親切設計のタマモノなのだが、こちらとしては、被写体や画面全体がどれぐらいの明るさになるかが大事であって、どれだけ補正しているかが見たいわけじゃないし、操作の仕方だって、とっくに覚えてしまっている。


カード/バッテリー扉はスライド式のロック付き。閉めるときがちょっと厄介 メニュー全体では循環選択ができるのに、各項目の中では循環選択はできない

露出補正時の表示。上下の帯に画面が食われるのが好きじゃないし、スケール表示もこんなに大きくなくていい。操作性に問題があるわけじゃないけど 表示モードを変えようと「DISPLAY/LCD MODE」ボタンを押すと、必ず画面下部に青帯が出る。余計なお世話に感じるのは筆者だけで、世間の人は親切と受け止めているのかも

 同じように、親切設計がうとましく思えるのは「DISPLAY/LCD MODE」ボタンを押したときに出てくる画面下部の青い帯の表示。ボタンの上下に、短押しで表示モードの切り替え、長押しでLCDモードの切り替えというのがわかるようなマークがちゃんと付けてあるのだから、わざわざ液晶モニターにまで表示しなくたっていいじゃん、と思ってしまう。取り扱い説明書を読まない人や、読んだけど操作をど忘れしちゃった人にはありがたいかもしれないけれど、画面が一部分でも一時的にでも隠されてしまうのは気分がよろしくない。心の狭い筆者を助けると思って、メニューに「親切表示」機能のON/OFFという項目を設けていただけはしまいかと思う。

 その一方で、格子線とヒストグラムが同時に表示できないというのは、筆者には不親切に感じられる。格子線は建築物などを撮るときに水平や垂直の線の傾きをチェックするのに役立つし、ヒストグラムはきちんと露出を決めたいときに頼りになる。まあ、ヒストグラムを見ながら露出を決めて、それから格子線表示に切り替えて水平と垂直を見ながら撮ればいいといえばいいのだけれど、両方を同時に表示してくれるモードがあれば手間は減る。

 不思議といえば、SDメモリーカードの初期化が再生モードでしかできないのも不思議である。世間では「フォーマット」がセットアップメニューに入っているのが多いと思うが、LUMIXでは再生メニューに入っている。筆者の場合、いろんなメーカーのデジタルカメラを使う関係で、カードを初期化するのはカメラのスロットに差し込んでから。複数のカメラを使って撮影するときに、どのカードをどのカメラ用というふうに割り振っておくことはしないから、前もって初期化しておけない。で、撮影中に容量がなくなってカードを交換するときに、再生に切り替えて初期化して、また通常撮影などに戻すという手間が出てきてしまう。ちょいちょいっとダイヤルを回せばいいだけなのだけれど、どうせなら撮影メニューにも「フォーマット」が入っているとうれしい。

 できればもうひと頑張り欲しいなぁというのもいくつかあって、ひとつは、直前に撮った画像を撮影モードのままで見られる「レビュー」や、再生モードに切り替えたときに、1~2秒ほど待たされること。全体的にはレスポンスはいいほうだと思えるFX01だが、画像の再生だけはなぜが時間がかかる。1コマ目が表示されてしまえば、前後のコマに切り替えるのにはそれほど“待たされ感”はないのに、1コマ目だけは待たされる。撮影直後に撮ったばかりの画像を表示する「オートレビュー」をONにしておいても、表示していてくれる時間は最長で3秒と短めだから、ピントや露出のチェックをきちんとやりたいときには、どうしても「レビュー」機能を使うか再生モードに切り替えるしかない。そこで待たされる1秒が、心の狭い筆者にはとても長く感じられてストレスになるのだ。まあ、白髪が増えるとか円形脱毛症になるとか胃に穴が開くというほどのストレスではないからいいけれど、もうちょっと早くなってくれるとうれしいと思う。


「フォーマット」が再生メニューにしかなくたって、たいして困りはしないし、筆者自身も慣れてしまった。だから、誰も問題にしなくていい……のかもしれない 液晶モニターを上方向から見るとこんな感じ。いいだせばキリがないのはわかっていても、広視野角液晶が欲しいと思ってしまう

 それと、液晶モニターの視野角もあと少し物足りない。左右方向の視野角はわりと広めだし、下から見上げるときにはハイアングルモードがある。が、上から見下ろしたときがツライ。ローアングルで撮るときに、画面が真っ白になったり反転して見えたりする。前回書いたように、カメラを上下逆さまにしてハイアングルモードを使うという手もあるにはあるけれど、そういう裏技的な対処法に頼らなくてもすむなら、それに越したことはない。やっぱりきちんとした広視野角液晶を採用していただきたい。コストとの相談は難しいところだろうし、といって、「必要なら地面に這いつくばればよろしい」といわれると少々切ない。

 最後にもうひとつ。シャッターを切る直前の画面と、シャッターを切った直後の「オートレビュー」で画面の明るさが違う点。「オートレビュー」のほうが暗めというか、撮る前の画面が明るめなのだ。再生時の画面と見比べると、どうも後者らしい。もともと、FX01の液晶モニターは彩度とコントラストが高い「ビエラ」っぽい見え方で、普通に見ている分にはとってもきれいでいいのだけれど、写真を撮る道具としては、もっと忠実な見え方のほうがいいんじゃないかという気がする。

 彩度の高い被写体を明るめに露出補正して撮るときなんかは特に色飽和を起こしやすくて、真っ赤な花なんかはベタベタになっちゃったりする。さすがに使いはじめて3カ月も経つとカメラのクセもだいだいつかめるので、それほど気にしなければならないほどでもない。実際、気になるという話を聞いたこともないから、やっぱり筆者の心の狭さが問題なのかもしれない。

 もちろん、その気になれば、ケチをつけられないカメラなんか1台もない。正直、FX01はケチの付け場所は少ないほうだし、それ以上にいいところもいっぱいある。レンズは28mm相当からのワイド系3.6倍ズームで使い勝手はいいし、手ブレ補正もよく利いてくれる。電池の持ちも悪くはない。最初はあまり好きにはなれなかったスライド式の電源スイッチも、慣れれば押しボタン式より確実に操作できて安心感があっていい。

 とまあ、こういう話を知り合いの編集者としていたら、「そーゆーの、世間じゃ“取るに足らない”っていうよ」と教えられた(ちなみに、彼女と彼女の友人はFX01を買ったそうだ)。内心、もっともだ、とも思っていたりする。

※作例のリンク先ファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
※写真下の作例データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/35mm判換算の焦点距離を表します。


撮影直前の液晶モニター画面 撮影直後のオートレビュー画面。実画像に近いのはこちら

ちなみに実画像はこんな感じ。白飛びも色飽和もしてない
2,816×2,112 / 1/40秒 / F2.9 / -0.3EV / ISO80 / WB:オート / 32mm

上野動物園のメインゲート前。入場券の自動販売機の前はけっこう行列ができていた
2,816×2,112 / 1/320秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 28mm
動物園内のモノレールは、走行時間約1分半。なのに、待ち時間は30分。だって、ムスメが乗るってきかないんだもん
2,816×2,112 / 1/100秒 / F2.8 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 28mm

ワニは日陰でボーッとしてる。こっちは汗を垂らしながら、ボーッとしているワニを見る。ガラス(というかアクリル)越しなので、少しマイナス補正
2,816×2,112 / 1/25秒 / F5.3 / -0.7EV / ISO100 / WB:オート / 94mm
向こうを向いたままのゾウガメ。水場のほとりで方向転換をしようとじたばた中
2,816×2,112 / 1/25秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO80 / WB:オート / 102mm

待つこと10分。ようやく顔を見せてくれたと思ったら、すぐにまたお尻を向けてしまった
2,816×2,112 / 1/20秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO80 / WB:オート / 102mm
ガラスに貼り付くようにしてカメを眺めるムスメ。どっちもなかなか動かない
2,816×2,112 / 1/80秒 / F2.8 / -0.7EV / ISO80 / WB:オート / 28mm

爬虫類、両生類は屋内展示で照明も暗め。なので、手ブレ補正がうれしい
2,816×2,112 / 1/10秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO200 / WB:オート / 102mm
ISO80で撮りたいけれど、ブレては元も子もないから感度はオートで撮っている。ほとんどの爬虫類はじっとしててくれるので、どうにか撮れる
2,816×2,112 / 1/13秒 / F5.6 / -1EV / ISO200 / WB:オート / 102mm

ガラス越しで撮るときは、ガラスにぴったり貼り付くようにすると、写り込みが避けられる。それにしても、眠そうなお顔だこと
2,816×2,112 / 1/25秒 / F4.1 / -0.7EV / ISO100 / WB:オート / 63mm


URL
  松下電器
  http://panasonic.jp/
  製品情報
  http://panasonic.jp/dc/fx01/
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm

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( 北村 智史 )
2006/05/22 19:52
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