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松下電器 LUMIX DMC-FX01【第5回】
遊べる16:9モード

Reported by 北村 智史


 だいぶ前、フィルムカメラの世界でパノラマがもてはやされた時期があった。パノラマといっても、画面の上下をカットして横長にするだけという、うるさ方が「けっ」ですませてしまう程度のもので、口の悪いのは“エセ”パノラマと呼んでいた。

 なにしろ、もともとがたいして画質のよろしくないコンパクト機の写真の上下をカットしたうえに、引き伸ばし倍率だけは高いという、ちょっと考えれば写りを悪くする工夫以外のなにものでもないシロモノだったが、目新しさが大受けして、コンパクト機はパノラマ機能付きでなければ売れなかったし、一眼レフさえもパノラマ途中切り替えができることが売りになっていたほどだった。

 似たようなことが、最近デジタルカメラの世界で起きつつある。今度はパノラマではなくてハイビジョン。アスペクト比16:9のワイドサイズである。松下電器には有効840万画素の16:9CCDを搭載した「DMC-LX1」もあるし、FX01のほかにも16:9比率で撮れる機種は多い。ソニーもちょっと前のモデルからやっているし、キヤノンやカシオあたりも新製品にはワイドサイズを取り入れてきているから、もしかすると、またブームになるのかもしれない。

 といっても、手法としては目新しいものではない。CCD自体がワイド比率のLX1を除けば、やってることはフィルムカメラのパノラマと同じ。画面の上下をカットしているだけ。それに、画面サイズの切り替え機構が必要になるフィルムカメラと違って、デジタルカメラはこういうのが実に簡単。現に、今だって35mmフィルムと同じ3:2比率で撮れる機種はいくらでもある。要は、カットする部分が増えただけなのだ。わざわざ画素数を減らして撮るのもうれしくない(そのわりに、個人的にEX光学ズームをよく使ってるが)。

 本音をいうと、16:9という縦横比にはまったく魅力を感じない。さすがに最近は見なれてきたけれど、ワイドテレビが登場した当時は、ものすごくかっこ悪く見えた。中には黄金比(約1:1.618)に近いなどと眉唾な説明を聞いた覚えもあるが、まるっきり新しいフォーマットのテレビをつくろうという、やろうと思えば黄金比そのものを実現してもどこからも文句が出ない状況で、あえて“近い”だけの数字を採用する必要なんてどこにもない。


アスペクト設定で4:3、3:2、16:9に切り替えられる 16:9比率のワイド画面対応の格子線表示。水平、垂直のチェックがしやすい

 もっとも、35mmフィルムの24×36mmという画面のサイズと比率にしたって、まっとうな理由のある数字ではない。35mm判の生みの親であるオスカー・バルナックが、映画フィルムの18×24mmの画面ではスチールでは画質が足りないからという理由で18mmを2倍にしただけなのだ。もとのフォーマットの縦横比なんかは無視。単純に2倍なのである。それが写真の標準サイズになって、デジタル時代の今になってもそこから離れられないまま。フォーサーズ以外の一眼レフは35mm判と同じ比率を守っているし、フルサイズの撮像素子を求める声は大きいのだから、やっぱりオスカー・バルナックという人は天使の声が聞こえるタイプだったのかもしれない。

 FX01の場合、レンズが28mm相当の広角だから、上下を切ってもそれなりにワイドに写る。細長い画面な分、画角が狭くなっているわりにパースペクティブも出る。37mm相当とか38mm相当のカメラだとイマイチなことになるかもしれないし、CCDまで16:9比率のLX1のほうが画角はもっと広いからおもしろさも上なはずだ。が、たまにハイビジョンサイズも、という程度なら、FX01で十分遊べると思う。

 ただし、PCの画面で見るには縦位置がつらくなるので要注意である。普通のモニターは横長なので、縦位置の画像はもともと小さくしか表示できないものだが、細長い16:9比率の画像だと、輪をかけて小さくなる。筆者の場合、アップルの23インチシネマディスプレイ(解像度は1,920×1,200ピクセル。実は16:10のほぼ黄金比)を使っている関係で、横位置はほぼ画面いっぱいに表示できるのだが、縦位置はものすごくさびしい。3コマ並べてちょうどなぐらいに小さくなる。16:9の場合、プリントも小さいサイズの用紙しか売ってないしね。

 それと、画面の傾きが目立ちやすいところも気を付けないといけない点。きちんと水平をキープして撮らないと、一気にかっこ悪くなる。なので、格子線表示は必須である。ついでに書くと、再生時にも格子線を表示する機能があると、撮った画像の水平、垂直を確認するのに便利なのではないかと思う。撮影時に見落としていても再生時に気付けば撮り直せるからだ(どこか採用してくれませんかね)。

 食わず嫌いで今まで使っていなかった16:9比率だが、撮ってみるとけっこう楽しめますよ、という報告である。


シネマディスプレイは16:10比率のワイドなので、横位置の画像はほぼ画面いっぱいに見られる でも、縦位置の画像はえらくさびしい。ワイドモニターに縦位置のワイド写真はよろしくない

縦位置の画像だと、3コマ並べてちょうど。横位置の画像と比べると、この差は何? って感じである

※作例のリンク先ファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
※写真下の作例データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


夢の島熱帯植物館の温室の中の小川。あまり明るくないが、三脚撮影は禁止。なので手ブレ補正なしだとけっこうきつい
2,816×1,584 / 1/800秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO80 / WB:オート / 4.6mm
こちらも温室の中。狭いところも多い
2,816×1,584 / 1/30秒 / F2.8 / -1.3EV / ISO80 / WB:オート / 4.6mm

温室ドームの壁面(というか全面ガラス)。こういうのを撮るときはもっとワイドが欲しくなる
2,816×1,584 / 1/400秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO80 / WB:オート / 4.6mm
入り口付近の壁にかかっていたお面。ワイド画面向けの被写体だ
2,816×1,584 / 1/125秒 / F2.8 / -0.7EV / ISO80 / WB:オート / 4.6mm

夢の島マリーナで見つけた船を陸揚げするためのクレーン。画面がちょっと左下がりになった
2,816×1,584 / 1/800秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO80 / WB:オート / 4.6mm
28mm相当のレンズなので、画面の上下をカットしてもそれなりにワイド感がある。画角が狭いとつまらないかも
2,816×1,584 / 1/800秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO80 / WB:オート / 4.6mm

マストが切れるとかっこ悪いが、左右に余分なスペースができるのもイマイチ。なので、ワイド画面がぴったりだったりする
2,816×1,584 / 1/320秒 / F10 / -0.7EV / ISO80 / WB:オート / 14.2mm
りんかい線東京テレポート駅の隣の歩道橋。別にワイド画面で撮らなくてもよかった気もするが
2,816×1,584 / 1/800秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO80 / WB:オート / 4.6mm
お台場からレインボーブリッジにつながってる歩道橋。歩いて渡る人もけっこういる
2,816×1,584 / 1/1000秒 / F5.6 / -1.3EV / ISO80 / WB:オート / 4.6mm

お台場のいちばん端にある高層マンション。上の階はきっと見晴らしがいいんだろうねぇ
2,816×1,584 / 1/1000秒 / F5.6 / -1.3EV / ISO80 / WB:オート / 4.6mm
スピーカー付きの街灯。勝手にルクソーシニアと命名
2,816×1,584 / 1/320秒 / F7.1 / -0.7EV / ISO80 / WB:オート / 7.5mm
某雑誌のロケの待ち合わせのため、ヴィーナスフォート方面に移動中。格子線表示があると水平、垂直を見ながら撮れるから安心だ
2,816×1,584 / 1/1000秒 / F5.6 / -1.3EV / ISO80 / WB:オート / 4.6mm

手ブレ補正や高感度の作例の定番の噴水
2,816×1,584 / 1/8秒 / F2.8 / −0.33補正 / ISO80 / WB:オート / 4.6mm
この日はカメラ4台で作例撮り。取っ替え引っ替えしながら焦って撮ってたら、画面が傾いたのが多かった。これは無事だった1コマ
2,816×1,584 / 1/320秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO80 / WB:オート / 16.8mm
これもお台場名物。こっちが三脚使って撮ってる横で、平然と手持ちで撮る人もいたりして、他人事ながらちゃんと撮れてるか心配になる
2,816×1,584 / 0.7秒 / F4.8 / -0.7EV / ISO80 / WB:オート / 13.2mm


URL
  松下電器
  http://panasonic.jp/
  製品情報
  http://panasonic.jp/dc/fx01/
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  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm


( 北村 智史 )
2006/05/08 14:08
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