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オリンパス E-330【第6回】
Bモードでオールドレンズを楽しむ

Reported by 安孫子 卓郎


ヤシカコンタックスマウントのプラナー 85mm F1.4をつけたE-330。オールドレンズこそBモードでの撮影がぴったりだ
 E-330には2つのライブビューモードがある。今さら語るまでもないが、ファインダー内の映像を撮影して表示するAモード(AFモード)と、ミラーアップしてバルブ状態にし、MF専用になるBモードである。購入当初、Bモードについては「あまり使わないだろうな」と考えていた。実際購入してみても、使用頻度から行くと圧倒的にAモードが多く、次に光学ファインダーでの撮影で、Bモードでシャッターを切る回数は少ない。おそらく1割もないだろう。

 逆にいえば、それなりに使用しているのは間違いなく、使ってみると「なるほど」と思わせるものがある。Aモードだけでは片手落ちで、Bモードがあって初めてライブビューは満足のいく機能になるのがわかる。

 ではBモードの利点は何かというと、まず微妙な部分のピント確認ができるということである。10倍に拡大できるとなると、その精度は光学ファインダー以上といってもよい。正直、中間の5倍拡大もほしいところなのだが、5倍と10倍の両方を搭載することは技術的に難しかったらしい。

 花を撮影していると、AFで雌しべの先端にピントを合わせることは、これはどのメーカーのどのカメラを使っても困難。ワイド系レンズや絞り込んでの撮影なら別だが、マクロレンズを使って開放近くで撮影する場合には、最後はMFになってしまう。花の撮影ではMFが基本といわれる理由なのだが、もともとAFが頼りにならない分野の撮影においては、Bモードが威力を発揮する。

 もうひとつBモードが威力を発揮するのは、オールドレンズを使う場合である。フォーサーズシステムの魅力として、多彩なマウントアダプターで様々なオールドレンズが使用できることがある。当然すべてがMFになるので、光学ファインダーで使うかBモードで使うことになるが、開放でオールドレンズを使う筆者にとっては、Bモードでの10倍拡大は大変ありがたい機能となった。

 またオールドレンズファンにありがたいのは、ライブビュー拡張をONにしておくことで、絞り込み測光のオールドレンズでも、絞った状態で明るい画面でピントを合わせることができる。開放測光が当たり前の現代のレンズを使う人にはピンとこないだろうが、オールドレンズを使う人ならこのありがたみはよくわかるだろう。絞らなくても、暗い場面でも威力を発揮する。

 Bモードを使う場合、ドライブ/コピー/プリントボタンを、プレビューBに設定して利用すると便利だ。Aモードで撮影していると、視野率が92%なので不自由を感じることがあるが、そのとき一時的にBモードにして、100%の視野率で構図を確認できる。構図を合わせたらボタンを離し、AFでピントを合わせて撮影すればよい。これもよく考えられた便利な機能である。

 多くのデジカメを見ていると「私ならこう作る」と思うことはしばしばであるが、私がE-330を設計していたらBモードは入れなかったかもしれない。もしBモードがなければこのカメラは半端なものになってしまい、後で悔やんだことは間違いない。

※作例のリンク先ファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
※写真下の作例データは、使用レンズ/記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


ヤマブキソウ。焦点距離は50mmだが、F2と他社より一段明るいだけに良くぼけてくれる。シャッタースピードも稼げるので、暗い山林や天気の悪い日にもぴったりのレンズだ
50mm F2 / 3,136×2,352 / 1/400秒 / F2 / 0EV / ISO200 / WB:晴天 / 50mm
Bモードでは10倍拡大する位置を自由に変更できるので、構図を整えて撮影することができる
50mm F2 / 3,136×2,352 / 1/500秒 / F2 / -0.3EV / ISO200 / WB:晴天 / 50mm

クマガイソウ。この手の花は、何処にピントを合わせてよいのかがはっきりしない。逆にいえばAFでも十分なので、Aモードの方が適しているだろう
50mm F2 / 3,136×2,352 / 1/1,000秒 / F2 / -0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 50mm
ハコベ。2~3mmほどの小さい花だが、低価格レンズでここまで拡大できるのだからうれしい。もちろんブレも大きくなるが、焦点距離が短いので、F3.5開放でもそこそこの深度が稼げる
35mm F3.5(中間リングを使用) / 3,136×2,352 / 1/160秒 / F3.5 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 35mm

バイモ。さすがに真下からでは、Bモードは無理。臨機応変で使い分ける。もちろんライブビューがなければ撮影はほぼ無理だ
35mm F3.5 / 3,136×2,352 / 1/200秒 / F3.5 / 0.7EV / ISO200 / WB:晴天 / 35mm
ホトケノザ。素晴らしいレンズだが、10倍に拡大するとブレが激しすぎて使いにくい。三脚を使うか、手持ちなら50mm以下の方が、10倍拡大には向いている
OM 90mm F2 / 3,136×2,352 / 1/2,500秒 / F2 / -0.3EV / ISO400 / WB:オート / 90mm

スミレ。ペンタックスのレンズは花の撮影に愛用者が多いが、マウントアダプターでEシリーズにも使用できる。標準レンズの50mm F1.4は、ふわっとにじんでよい味を出す
ペンタックス 50mm F1.4(Kマウント中間リング使用) / 3,136×2,352 / 1/500秒 / F1.4 / -0.3EV / ISO100 / WB:オート / 50mm
シュンラン。コンタックスの名レンズとされているが、結構滲むレンズだ。しかし花を撮ればそれが柔らかい味となるので、Eシリーズではコンタックスファンも楽しむことができるわけだ。
プラナー 85mm F1.4(ヤシカコンタックスマウント) / 3,136×2,352 / 1/2,500秒 / F1.4 / -1EV / ISO100 / WB:晴天 / 85mm


URL
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/
  製品情報
  http://olympus-esystem.jp/products/e330/
  レンズ交換式デジタルカメラ機種別記事リンク集(E-330)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/dslr.htm#e330
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm


( 安孫子 卓郎 )
2006/04/25 01:13
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