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松下電器 LUMIX DMC-FX01【第4回】
夜景と星空とシャッター速度の下限

Reported by 北村 智史


 さて、FX01のスペック上のシャッター速度の範囲は、カタログやウェブサイトの情報によると8〜1/2,000秒。なのに、買ったばかりの状態だと、どんなに暗い場所で撮ってもシャッター速度は1/8秒までしか落ちない。メニューを見ると「スローシャッター」という項目があって、そこで低速シャッターの限界を決めるようになっている(デフォルトでは1/8秒に設定されている)。が、それでも1秒止まり。レンズの前をおおって真っ暗にしても、やっぱり1秒。むむって感じだ。

 じゃあ、8秒ってのは何なのよ? と取り扱い説明書(以下、取説)を見ると、シーンモードである。まあ、ちょっと考えればわかりそうなものだが、「夜景」モードがちゃんとある。ダイヤルを「SCN(シーン)」に回して「夜景」を選択。すると8秒まで使えるようになる。

 一見、めでたしめでたしだが、そうじゃない。「夜景」モード以外ではどんなに頑張ってもシャッターの低速限界は1秒である。しかも、デフォルトでは1/8秒止まりに設定されているのだから、8〜1/2,000秒という書き方はフェアじゃないと思う。それにフルオートやシーンモードではいろいろと制約があるのが普通だ。ホワイトバランスが固定されたり、感度が自由に設定できないとか露出補正が使えなかったりとか、機能が制限されてしまう。

 ちなみに、「夜景」モードではホワイトバランス=オート、感度=ISO80相当、内蔵ストロボ=発光禁止に固定される。取説には、ピントが合う範囲は5m以遠だと書かれているし、AF補助光も強制的にOFFになる。条件付きの「可」なのだから、その条件をきちんと書くのがスジだろう。

 筆者個人としては「1/8〜1/2,000秒(スローシャッター設定により1秒まで延長可。夜景モード時は8秒まで)」と書くべきだと思う。実際、カシオは「通常:1/8〜1/2000秒」「夜景:4〜1/2,000秒」と書いている。そのほうが親切だ。


撮影メニューの「スローシャッター」で、通常撮影時の低速限界を変えられる。デフォルトでは1/8秒。最長でも1秒まで シーンモードの「夜景」。これに切り替えるとようやく8秒までの低速シャッターが使えるようになる

シーンモードの「星空」。ほんとに星なんて撮れるのか? と多少疑問に思っていたが、ちゃんと写ってびっくり 「星空」モードは、シャッター速度が3段階のみ、絞りが開放固定という夜用スーパーなマニュアル露出である

 もっとも、そういうのは松下電器だけじゃなくて、ほかのメーカーだって似たり寄ったりだ。例えばキヤノンのコンパクト機の多くはシャッター速度の範囲が「15秒〜」と書かれている。が、実際はオートではやっぱり1秒までしか使えなくて、それ以上は「長秒時撮影」モードに切り替えてのマニュアル露出になってしまう。シャッター速度はきちんとモードごとにわけて書いているソニーも(昔は「シャッター速度:自動」としか書いてなかった)、デジタルズームの項目は光学ズームを含めた倍率しか表記していない(ほかのメーカーはデジタルズームのみの数字をメインにしているので誤解を招きやすい)。

 こういう細かい部分はウェブサイトやカタログには書かれていないケースが少なくなくて、買って取説を読まないと気付かない(サービス窓口に問い合わせれば教えてもらえるだろうけど、普通はそこまでやらないからね)。まあ、最近は取説のPDFをウェブサイトからダウンロードできるようにしてくれているメーカーも増えてきている(松下電器もサポートページ内にある)。なので、購入前に手に入れて目を通しておくと、買ってから「ありゃあ、そんなめんどくさいことしなきゃいけないんだ」などという想定外な事態におちいる可能性を減らせると思う。


夜景の撮影に使ったマンフロットのテーブル三脚。2,000円ぐらいで売っているカチャカチャっと伸ばすアンテナ三脚でもOKだ
 それはさておき、「夜景」モードでは手ブレ補正は働くし、露出もオート。明るい場所ではちゃんと速いシャッターで切れるので普通に写ってくれる。どういうわけか、5mより近くのものにもピントが合ったりする(たぶん、被写界深度のせいだ)。ようは、8秒まで使えるフルオートなのである。

 それに対して、「星空」モードは、オートではなくなる。こちらは絞りが開放で固定になって、シャッター速度は15秒か30秒か60秒かの3段階しかない。陽の入らない室内でも真っ白な画しか撮れないという、とっても夜用スーパーなモードだ。

 さらに、どう考えても手持ちは不可能だからというわけで、手ブレ補正は強制的にOFF。きちんと三脚使いましょうね、ってことである。が、そのくせAFは撮影距離の制限はないし、AF補助光まで発光する。「夜景」モードでは強制的にOFFになるのに、夜景より遠い星空を撮るモードでAF補助光が光る理由はかなり謎だが、キリがないので突っ込むのはやめておく。


 ところで、街の夜景は思っているほど暗くない。なにせ、そこら中に街灯やら何やらがあるから2秒とか3秒とかで十分。問題はブレとピントが合うかどうかである。その2点さえクリアできれば、日中に普通に撮るのと大差はない。

 ブレについては三脚に頼るしかないが、風さえなければコンパクト機向けの、いわゆるアンテナ三脚でいい。ただし、強度がないので手でシャッターボタンを押すと、脚がしなってブレてしまうから、セルフタイマーを併用するのが無難。建物の壁や柱、太い木の幹とかの頼りがいのあるものが手近にある場合は、脚を伸ばさずにテーブル三脚状態にして、ぎゅうっと押し付けながら撮ると、多少風があるときでもブレずに撮れる。

 心配なのはピントが合うかどうかのほうだが、FX01のは暗いときでもかなり粘る。暗くなるとてきめんにピントが合わなくなるカメラも少なくないが、FX01はシャッター速度が1秒になるような暗い条件でもちゃんとピントを合わせてくれた。

 驚いたのは、液晶モニターでは何も見えない星空にさえ、ちゃんとピントが合ったこと。もしかしたら、「AFでピントが合わせられないと無限遠にして合焦マーク出しちゃえ」的なアルゴリズムになってるのかとも思ったが、どうもそうではないらしい。「夜景」モードでも「星空」モードでもピントが外れたコマはなかった。かなりすごいAFだと思う。

 ブレとピントの問題がクリアできたら、あとは露出に気を付けるだけ。-1段ぐらいの露出補正を基本に、段階露光で撮っておくと失敗しにくい。マイナス補正をするのは多少暗めに写っていないと夜景らしい雰囲気になってくれないから。それと、暗い場所では液晶モニターがとっても明るく見えるために露出の感覚がズレてしまう。液晶モニターで「こんなぐらいでいいかな」と思っていても、PCの画面で見たら暗すぎた、なんてこともある。なので、露出を変えて何コマか撮っておいたほうが安全なわけだ。

 ありがたいことに、FX01にはオートブラケット機能が付いている。筆者は夜景を撮っている最中に、「あ、ブラケット使えばいいじゃん」と思い出したのだが、これだと露出補正値と露出をバラす幅を決めればいい。1コマ撮って露出を変えて2秒セルフタイマーにしてシャッターボタン押して、という手間がいらないのでラクチンだ。


自動的に露出を変えて3コマ撮ってくれる「オートブラケット」機能。撮影時にカメラを操作する手数が減らせるのでラクチンだ セルフタイマーは2秒にセット。手でシャッターボタンを押すとブレやすいからだ

※作例のリンク先ファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
※写真下の作例データは、シーンモード名/記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/35mm判換算の焦点距離を表します。


日が暮れてすぐぐらいだと、空にまだ青みが残っているのでけっこうきれい
夜景モード / 2,816×2,112 / 1/3秒 / F2.8 / -1EV補正 / ISO80 / WB:オート / 28mm
ビルだけだとさびしいから、広場の木をアレンジしてみた。なので露出は明るめになっている
夜景モード / 2,816×2,112 / 1.3秒 / F2.8 / -0.3EV / ISO80 / WB:オート / 28mm

広角端の四隅は画質が落ちるから、こういう撮り方をすると実はアラが目立ちやすくなる。
2,816×2,112 / 1.3秒 / F2.8 / -0.6EV / ISO80 / WB:オート / 夜景モード / 28mm
シャッター速度は3.2秒。星状ノイズが出ていないのはノイズリダクションのできがいい証拠。ちなみに、ビルの上の鉄塔の左上あたりに、かすかにだが星がひとつ写っている
夜景モード / 2,816×2,112 / 3.2秒 / F3.5 / -0.3EV / ISO80 / WB:オート / 46mm

あまりいい条件とはいえないが、15秒露光でもけっこう星が写ってくれる。都下の空でも一等星ぐらいになると、液晶モニター上で確認できる
星空モード / 2,816×2,112 / 15秒 / F2.8 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 28mm

北斗七星。液晶モニターではまったく見えないので、見当でアングルを合わせて撮った。真上に向ければ60秒でも空が白んだりしないが、空だけだとちょっと画的にさびしい
星空モード / 2,816×2,112 / 60秒 / F2.8 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 28mm
自宅屋上(と書くと偉そうだけど、ただの賃貸である)から撮ったご近所である。夜中の住宅地でも、15秒でこれだけ写る
星空モード / 2,816×2,112 / 15秒 / F2.8 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 28mm

 灯りのない方角に向けて撮ったカット。シャッター速度が遅くなればなるほど、暗い星も写るし、少しは星の動きも見える。60秒にもなるとかなり空が明るくなってしまう。


星空モード / 2,816×2,112 / 15秒 / F2.8 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 28mm 星空モード / 30秒 / 2,816×2,112 / 15秒 / F2.8 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 28mm

星空モード / 60秒 / 2,816×2,112 / 15秒 / F2.8 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 28mm


URL
  松下電器
  http://panasonic.jp/
  製品情報
  http://panasonic.jp/dc/fx01/
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm


( 北村 智史 )
2006/04/24 00:15
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