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松下電器 LUMIX DMC-FX01【第3回】
花とマクロとEX光学ズーム

Reported by 北村 智史


 仕事がら、作例写真が1、2カットだけほしいなんてことがちょくちょくある。締め切りに追われているぐらいならまだしも、追いつかれそうになっているときには、とてもじゃないが遠出をする余裕はない。なので、時間を節約するために自宅周辺ですませてしまう。散歩がてらぶらぶらしながら、近所の公園やあちこちの家の庭先に咲いている花なんかを撮ってくるわけだ。

 こちらとしては、きれいな花をパチパチやっているだけなのだが、はた目にはけっこうアヤシク見えるらしい。以前、カミサンも散歩に行くというので連れていったら、あとで「ずっと他人のフリしてたわよ」といわれてしまった。

 一応仕事中なわけだし、撮っているときは画面に集中しているから気にしたことはなかったが、冷静に考えればアヤシク見えないはずがない。なにせ、得体のしれないおっさんが道端やらよそ様の家の前やらにしゃがみ込んでなにやらゴソゴソやっているのだ。不審人物扱いされても文句はいえない。まあ、幸いにして、今までは職務質問とかにあったことはないが。

 それはさておくとして、花といえばマクロ機能である。DMC-FX01の場合、もっとも大きな撮影倍率が得られるのは広角端で、レンズ前5cmまで寄れる。といっても、35mm判換算で28mm相当なので、それほどすごいアップが撮れるわけではない。それに画角が広い分背景が大きく入るので、いらないものの処理に困ることも少なくない。条件によってはパースペクティブや周辺光量不足が気になったり、タル型の歪曲収差が目立つこともある。

 そういうときに便利なのがテレマクロ。望遠端で寄れるマクロ機能だが、機構的に面倒が多いのか、採用している機種はあまりない。それどころか、望遠端の最短撮影距離はマクロでも通常時でも同じままとか、マクロに設定すると強制的に広角端に固定されてしまう機種まである。

 別にワイドマクロがダメだとか嫌いだとかいうつもりはないが、広角だけでなく望遠でも寄れれば、マクロの楽しみ方が増えていいと思う。広角マクロだけというのがおもしろくないだけなのだ。その点、FX01は望遠端でも30cmまで寄れるから(通常時の最短撮影距離はズーム全域で50cmである)、まだ良心的といえる。

 ちなみに、定規を撮って写った範囲を見ると、広角端の5cmではだいたい60×45mmぐらいの範囲が画面いっぱいに写せるのに対して、望遠端の30cmだと97×73mmぐらい。大ざっぱには名刺よりちょっと大きいぐらいの被写体なら、画面いっぱいに写せるわけだ。

 これはこれで悪くはないが、最近のLUMIXには、EX光学ズームという機能が搭載されている。記録画素数を減らしているときに使える疑似ズームで、乱暴にいえばCCDをトリミングして撮っているようなものだ。少ない画素数で撮ることで望遠側を伸ばしている点ではデジタルズームと変わらないが、画像を目伸ばししない分、単位面積あたりの画質劣化がないため、ピクセル等倍で鑑賞したときにアマくならないのがいいところである。


EX光学ズームが使えるのは記録画素数を3M(2,048×1,536ピクセル)以下にしているとき。「EZ」とあるのはEX光学ズームの略称である レンズ自体は28〜102mm相当の3.6倍ズームだが、EX光学ズームが有効なときには最大5倍までのズームが可能になる

 もっとも、同じような機能はすでにソニーや富士フイルムが採用していて、ソニーはスマートズーム、富士フイルムはハニカムズームと呼んでいる。富士フイルムのほうはウェブサイトを見るかぎり、最近の機種のページには書かれていないので、もしかしたら仕様が変わったのかもしれないが、基本的には画素数が少なくなればなるほどズーム倍率が高くなる。

 FX01のEX光学ズームは、記録画素数を3M(2,048×1,536ピクセル)以下に設定すると、光学ズームの倍率が3.6倍から疑似的に5倍になる。35mm判換算で102mm相当の望遠端が140mm相当になるわけだ。最短撮影距離は同じままなので、マクロ時にはよりアップで撮れることになる。最小撮影範囲(めいっぱい寄ったときに画面に写る範囲)は75×56mmぐらいになる。広角端ほどではないが、35mmフィルムに換算して0.4〜0.5倍程度の倍率になるから、悪くない数字である。

 ちなみに、キヤノンは「最大撮影範囲」という言葉を使っているが、画面に写る範囲がもっとも大きくなるのは撮影距離が無限遠の状態であって、このときの撮影範囲は理論上∞×∞である。マクロ機能の説明をする場合はこの逆で、どれだけ狭い範囲を画面いっぱいに写せるか、つまりもっとも小さな撮影範囲をいうべきで、だから「最小」撮影範囲なのである。

 重箱の隅の発掘調査はこれぐらいにして、ともかく望遠端+EX光学ズームの組み合わせでマクロにすると、広角端で撮るのとは違って背景に写る範囲が狭い分画面が整理しやすくなるし、それなりにボケてもくれる。それに周辺光量も十分にあるし、歪曲収差もほとんど気にならない。

 問題は、望遠端の開放F値がF5.6しかないことで、明るい昼間に日なたの花を狙うならいいが、曇っていたり日陰になっていたりで条件が悪くなるとやっぱりブレる。ただでさえブレやすい望遠のマクロなのに、さらに広角端より2段も暗いのだ。手ブレ補正機構が入っているとはいっても気軽には撮れない。そのあたりは要注意だが、ワイドマクロとは違う画が撮れて面白いと思う。

※作例のリンク先ファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
※写真下の作例データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/35mm判換算の焦点距離を表します。


マクロモードの広角端でめいっぱい寄った状態。パースペクティブもかなり出ているし、画面周辺部は光量が低下しているのがわかる。
2,816×2,112 / 1/30秒 / F2.8 / 0.7EV / ISO80 / WB:マニュアル / 28mm
マクロモードの望遠端でめいっぱい寄った状態。撮影倍率は広角端より落ちるが、自然な描写になる
2,816×2,112 / 1/13秒 / F5.6 / 0.7EV / ISO80 / WB:マニュアル / 102mm

EX光学ズームで記録画素数を3Mにして望遠端で撮ったカット。それなりにアップになるし、パースペクティブも周辺光量低下もないのがいいところ
2,048×1,536 / 1/13秒 / F5.6 / 0.7EV / ISO80 / WB:マニュアル / 140mm

広角端だと画角が広い分背景が入りすぎて、画面を整理するのが難しくなるのが難点
2,816×2,112 / 1/320秒 / F2.8 / 0.3EV / ISO80 / WB:昼光 / 28mm
望遠端で撮ると、プランターの入り具合がかなり違ってくる
2,816×2,112 / 1/100秒 / F5.6 / 0.3EV / ISO80 / WB:昼光 / 102mm

EX光学ズームは、要は画像をトリミングしているだけなのだが、撮影倍率がそこそこ高くなるので接写には便利だ
2,048×1,536 / 1/100秒 / F5.6 / 0.3EV / ISO80 / WB:昼光 / 140mm

野草とかだとまわりの景色が入ると雰囲気が出ていいが、ご近所写真だとこうなってしまう。これはこれでいいかもしれないけど
2,816×2,112 / 1/400秒 / F2.8 / 0EV / ISO80 / WB:昼光 / 28mm
EX光学ズームを使って、さらにカメラ位置も変えて撮ったカット。左端にクルマが写ってたりするが、広角端のマクロよりずっと背景が処理しやすくなる
2,048×1,536 / 1/80秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / WB:昼光 / 140mm

5倍(EX光学ズーム)
2,048×1,536 / 1/1.6秒 / F5.6 / 1.3EV / ISO80 / AWB / 140mm
さらにデジタルズーム(最大4倍)を組み合わせると、最大20倍ズーム(560mm相当)にもなる。このときの最小撮影範囲は19×14mm
2,048×1,536 / 1/1.6秒 / F5.6 / 1EV / ISO80 / WB:オート / 560mm

こういうアングルだとワイドマクロでは背景がうるさくなりがち。なのでテレマクロのほうが使いやすい
EX光学ズーム
2,048×1,536 / 1/400秒 / F5.6 / 0.3EV / ISO80 / WB:昼光 / 140mm
近所の家の生け垣である。ワイドマクロだと路地までばっちり写る
EX光学ズーム
2,048×1,536 / 1/80秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO80 / WB:昼光 / 140mm

画面サイズの小さなコンパクト機で、しかもF5.6の暗さなものだから、望遠端でも背景はあまり大きくボケない。EX光学ズーム
2,048×1,536 / 1/125秒 / F5.6 / 0.3EV / ISO80 / WB:昼光 / 140mm
チューリップのような大きな花は引いて撮るしかないが、そうすると背景もかなりくっきりしてきてしまう
2,816×2,112 / 1/100秒 / F5.6 / 0.7EV / ISO80 / WB:昼光 / 102mm

どうせあまりボケてくれないのだから、背景はなるべくごちゃごちゃさせないのがいい。ほんとはもう少しカメラ位置を下げて撮りたかったけれど、窓枠が入ってしまうので、ここまで。EX光学ズーム
2,048×1,536 / 1/40秒 / F5.6 / 0.3EV / ISO80 / WB:昼光 / 140mm
どアップ狙いなら晴れてるときのほうがいいが、このぐらいのフレーミングだと、曇りや日陰のほうがコントラストがきつくならなくていい。手ブレが怖いから保険のために何枚も撮っておくといい
2,816×2,112 / 1/50秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / WB:昼光 / 102mm

お隣の生け垣が背景にできるととてもらくちん。望遠マクロでしかできない撮り方だ。EX光学ズーム
2,048×1,536 / 1/50秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / WB:昼光 / 140mm
お花屋さんで買ってきた切り花を室内で撮ったカット。外と違って風がないし、三脚が使いやすいのがメリット。EX光学ズーム
2,048×1,536 / 1/10秒 / F5.6 / 0.7EV / ISO80 / WB:マニュアル / 140mm


URL
  松下電器
  http://panasonic.jp/
  製品情報
  http://panasonic.jp/dc/fx01/
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( 北村 智史 )
2006/04/17 12:55
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