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松下電器 LUMIX DMC-TZ1【第3回】
夜の街を撮る

Reported by 本誌:伊達 浩二


 DMC-TZ1は、高感度を訴求しているカメラだ。モードセレクトの「高感度」モードではISO1600まで自動選択され、通常撮影のISO選択ではISO800まで設定できる。

 モードセレクトでは、他にも「キャンドル」、「星空」、「夜景&フラッシュ」、「夜景」、「花火」など夜間撮影用のモードがある。これに暗い室内用の「パーティ」をあわせ、18のモードのうち、1/3が夜や暗いところの撮影関連という力の入れ方だ。

 しかし、TZ1はISO80と100は、ほとんど差がないが、ISO200/400/800と上がって行くと、ちゃんとノイズが出るタイプのカメラだ。自分なりの感想をいえば、画像を荒らして雰囲気を出すという目的でなければISO200ぐらいまで、せめて400までにしておきたいところだ。

 LUMIXシリーズはDMC-FX8やDMC-FZ5もそうだったが、オートのプログラムが感度を上げたがらず、シャッタースピードを遅い方に持っていきたがる傾向がある。それは手ブレ補正機構に対する自信の表われでもあるが、高感度時のノイズを嫌ってのことでもあると思う。

 TZ1は、従来機種に比べて高感度を謳っているのだから、もうちょっとがんばってほしいところだ。そうすると、全体にシャッタースピードが速くなり失敗写真が減ると思う。人物や動物を撮るときはシャッタースピードは速いにこしたことはないのだから。

 というわけで、夜の散歩のときも、普通に通常撮影モードでISOはオートで撮っている。どうしてもノイズを少なくきれいに撮りたいときは夜景モードにして、気合いを入れてシャッターを押すようにしている。

 TZ1の通常撮影モードでは、シャッタースピードの下限をメニューの「スローシャッター」という項目で設定できる。デフォルトではこれは1/8秒に設定されている。夜景モードにするのは、この制限を簡単にはずすためだ。ただし、シャッターを半押しした時にシャッター速度を目視確認しておかないと、2秒とか切られることもあるので気をつけたい。

 ちなみに、自分の力量では広角端でも1/2秒が止まるか止まらないかの境界線だ。まぁ、このシャッタースピードで止まることがあるだけでも光学手ブレ補正がいかに有効な機能かはわかる。

 ついでに説明しておくと、星空モードは15/30/60秒の設定時間で撮影し、同じ時間をかけてノイズリダクションする。手ブレ補正もオフになるので、完全に三脚が前提のモードだ。「花火」も感度を上げずに長時間撮影するようなので、三脚が前提と思われる。「キャンドル」は感度がISO200前後に上がるが、ホワイトバランスの調整で雰囲気を残すのが主目的のようだ。


TZ1のモードダイヤル。動画とシーン2の間もぐるっと回ってしまう
 ここからは余談になるのだが、今回のような撮影方法をしているとモードダイヤルをよく使う。ところがFX8に比べると、TZ1はこれがスパッと決まらない。理由は、FX8ではモードダイヤルが1回転せず、始まりと終わりがはっきりしている形だったのに、TZ1はぐるぐる回るように改悪されてしまったからだ。

 FX8なら「左にずっと回して止まったところから1つ戻すと通常撮影モード、右にずっと回して1つ戻すとシーンモード」というように、通常撮影とシーンモードをいったりきたりする場合に迷いがなかった。ちなみに、左に回して止まったところは再生、右に回して止まったところは動画なので、この4つは指が位置をおぼえていた。このあたりは昔、手探りでシャッターダイヤルを回し、1/1,000秒からいくつ戻したといって設定していた経験が応用されているわけだ。

 TZ1ではシーン2と動画の間は少し角度が大きくなっており、違いが分かるはずだと言われれば、わからなくはないが、FX8に比べれば明確さに欠ける。

 まぁ、「こっちからこっちになぜ回らないんだ。不便じゃないか」とか、「液晶モニターを見て選べば位置なんかおぼえなくていいじゃん」という意見もあるとは思うが、こういうインターフェイスの部分は、設計する側が理念を持って決めるべきところもあるので、あまり簡単に変えないで欲しい。

 モードダイヤルについては、悪いところだけではなく、シーンモードが2つに増えたり、通常撮影とマクロ撮影が隣合うようになって撮影時に行き来しやすくなるなど、改良されている点もある。ただ、この2機種に限らず、LUMIXではモードダイヤルについてはモードの位置や回転のトルクがよく変わっており、まだ迷いのある部分なのかもしれない。

※作例のリンク先ファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
※写真下の作例データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/35mm判換算の焦点距離を表します。
※ISO感度別の作例を除き、すべて手持ち撮影です


五重塔。浅草寺では数年前から日没から23時までライトアップをしている
2,560×1,920 / 1/8秒 / F2.8 / 0.3EV / ISO200 / WB:オート / 35mm
五重塔を本堂側から見る。塔の先端にある九輪や水煙もくっきりと見える。夜景モード
2,560×1,920 / 0.6秒 / F2.8 / -0.3EV / ISO80 / WB:オート / 35mm

宝蔵門から見た五重塔
2,560×1,920 / 1/8秒 / F2.8 / 0.3EV / ISO200 / WB:オート / 35mm
五重塔と月。さすがに1/2秒では手持ちでは止まらない。5枚撮ってこれが一番良かったがそれでも月が丸くない。夜景モード
2,560×1,920 / 1/2秒 / F2.8 / -0.3EV / ISO80 / WB:オート / 35mm

浅草寺本堂ののきの部分。きちんと設計されたライトアップに照らされ、木組みが美しい
2,560×1,920 / 1/8秒 / F3.4 / 0.3EV / ISO200 / WB:オート / 52mm
こちらは正面右側
2,560×1,920 / 1/8秒 / F3.4 / 0.3EV / ISO200 / WB:オート / 52mm

提灯。浅草では、鉄道、デパート、老舗などがスポンサー
2,560×1,920 / 1/15秒 / F2.8 / -0.3EV / ISO200 / WB:オート / 35mm
江戸っぽい雰囲気を出すために置かれた用水桶
2,560×1,920 / 1/8秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 35mm

閉店後も雰囲気が出るようにシャッターに江戸っぽい絵が描かれている
2,560×1,920 / 1/8秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 35mm
遅い時間まで開いている和菓子屋の店頭
2,560×1,920 / 1/13秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 35mm

居酒屋。こういう明るい看板ぐらいは手ブレを怖れず躊躇なく撮れる
2,560×1,920 / 1/30秒 / F3 / 0EV / ISO160 / WB:オート / 39mm
ゲームセンターのネオン
2,560×1,920 / 1/8秒 / F3.5 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 55mm

道路工事現場のパネル。ちょっと前までは機械じかけで腕を振るマネキンが立っていたが、今はドット絵のアニメーションになっている。まぁ、この方が壊れにくいとは思うが。マクロモードになっているのはモードダイヤルを戻し損ねたため
2,560×1,920 / 1/8秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 35mm
夜の桜。昼の派手な桜もよいが、こういう桜も好きだ。これもマクロモードのまま撮っている
2,560×1,920 / 1/8秒 / F3.5 / 2EV / ISO200 / WB:オート / 55mm

●ISO感度別比較


ISO80。EXIFを見るとゲインコントロールはなしになっている ISO100。ゲインコントロールはなし ISO200。ゲインコントロールがLow gain upになる

ISO400。ゲインコントロールがHigh gain upになる ISO800。ゲインコントロールはHigh gain up ISO1600。これのみ高感度モード


URL
  松下電器
  http://panasonic.jp/
  製品情報
  http://panasonic.jp/dc/tz1/
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  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm


( 本誌:伊達 浩二 )
2006/04/12 01:49
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