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オリンパス E-330【第2回】
フル装備になりがち? ライブビューの副作用とは

Reported by 安孫子 卓郎


 ライブビューはやっぱり楽しい。初期コンパクトデジタルカメラのトレンドが可動式の液晶モニター(とレンズ)だったことを考えると、最近は薄型ばかりで液晶モニターを動かせる機種がめっきり減ってしまった。液晶モニターが動き、ワイドマクロができてこそコンパクトデジタルカメラの魅力と、残念に思っていたところにE-330の登場である。

 ライブビュー機能といえばネイチャー系。ユーザーの間では、野の花を撮るときに便利だと盛り上がっているが、連載をしていく以上そればかりでもつまらない。いろいろな被写体にチャレンジするつもりだが、とりあえず今回はネイチャー編にしてみた。何しろ野草たちは今咲き始めているところであり、来年また撮れるとはいうものの、この数カ月はピークの時期にあたる。今撮らなくていつ撮るんだというわけで、ついつい野草に目が向いてしまう。

 春の野草の代表といえば、カタクリといっても過言ではあるまい。スプリングエフェメラル、「春の妖精」といわれる可憐な花だ。元々は武蔵野の野山に自生し、片栗粉の原料にされたくらいありふれた野草だったが、花を付けるまでに7年くらいかかることから、開発が進んだ今は激減。もはや保護区ぐらいでしか見あたらなくなっている。

 大変きれいな花なのだが背が低い。さらに花が下を向いて咲いていることから撮りにくい花である。いや、「あった」。ここは過去形で言わねばならない。E-330を持ってカタクリを撮影するとき、「こんなに簡単に撮れる花だったのか」とびっくりしてしまうからだ。ライブビューを使うと、カタクリもごく普通の撮りやすい花に変身する。

 ライブビューで撮影するとき、ひとつ気が付いたことがある。アップにしすぎないことだ。まあ花のマクロに共通しているともいえることだが、少し引いて全景を入れたほうがライブビュー感が活きてくる。そういう点でお薦めのレンズは50mm F2マクロである。35mm F3.5も寄れるうえ、軽くて安いのだが、思わずアップにしすぎる傾向がある。また焦点距離が短く、開放F3.5なので、引いて撮るとボケが小さくなる。

 そこへゆくと50mm F2ならば、距離を保って撮影できるし、F2だから背景もボケる。明るいから速いシャッターを切って手ブレを防ぐこともできる。野草向けにまず1本と考えているなら、50mm F2のほうがお薦めかもしれない。35mm F3.5は低価格なので、いずれ買い足す方向でもよいのではないだろうか。


 そして50-200mm F2.8-3.5である。このレンズは便利だ。野草に近寄れないことは多い。F3.5で400mm相当になり、しかも1.2mで1/2倍相当まで拡大できるこのレンズは、野草の撮影には絶大な威力を発揮する。

 なんだかんだいっていると結局フル装備になってしまうのだが、そうなのだ。思わずフル装備になるのがE-330。筆者は銀塩の頃からレンズ1本主義で、単焦点レンズ1本を基本にしてきた。荷物を軽くするという意味もある。

 ところがE-330を購入してからは、どうしても全部もって行きたくなる。ライブビューだとあらゆる画角を試したくなるからだ。8mm魚眼、マクロが1本、50-200mm。当然標準も必要なので14-54mmと、ここまでが最低の基本装備。さらに別のカメラも加わるので、荷物が重たくなって仕方ない。E-330の困った、いや、うれしい副作用である。

※作例のリンク先ファイルは、撮影した画像をコピーおよびリネームしたファイルです。
※写真下の作例データは、使用レンズ/記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


ヒメオドリコソウ。何処にでも生えている外来種だが、ライブビューと50-200mmならちょっとした作品になる。ありふれた雑草に対して努力する人はあまりいない。ライバルが少ないと作品作りのチャンスは大きい
50-200mm F2.8-3.5 / 3,136×2,352 / 1/250秒 / F3.5 / -0.7EV / ISO200 / 晴天 / 200mm
ミスミソウ。可憐な小さい花だけに、ライブビューでこれだけ低いところから撮れるのは貴重だ
50-200mm F2.8-3.5 / 3,136×2,352 / 1/500秒 / F3.5 / -0.3EV / ISO100 / 晴天 / 200mm

キクザキイチゲ。アップにするとライブ感が薄れる。光もフラットで何となく平凡。もう少し引いたほうが良かった
50-200mm F2.8-3.5 / 3,136×2,352 / 1/1,250秒 / F3.5 / -0.3EV / ISO100 / 晴天 / 200mm
これがカタクリ草。やや坂に生えていたので背景が空になり、浮き上がらせることができた。これくらいのほうがライブビューによる状況が感じられる
50-200mm F2.8-3.5 / 3,136×2,352 / 1/640秒 / F3.5 / 0EV / ISO200 / 晴天 / 104mm

今度は他の花を背景に入れたみた。200mmの焦点距離で迫れば、背景は大きくボケる。三脚を使うと視点が高くなるので手持ち
50-200mm F2.8-3.5 / 3,136×2,352 / 1/500秒 / F3.5 / 0EV / ISO200 / 晴天 / 200mm
シュンラン。Aモードの場合、ピントの確認が今ひとつわかりにくい。2倍くらい拡大できれば楽になるのだが、現状では枚数を撮っておいて、狙い通りのピントを確保するのがベストだろう
50mm F2 / 3,136×2,352 / 1/800秒 / F2.0 / 0EV / ISO100 / 晴天 / 50mm


URL
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/
  製品情報
  http://olympus-esystem.jp/products/e330/
  レンズ交換式デジタルカメラ機種別記事リンク集(E-330)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/dslr.htm#e330


( 安孫子 卓郎 )
2006/03/28 01:12
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