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ニコン D200【第7回】
ズームマイクロとの相性を検証してみた

Reported by 河田 一規


 現状、ニコンにラインナップされているAFのマクロレンズ(ニコン的にはマイクロ)は、

 Ai AF Micro Nikkor 60mm F2.8 D
 Ai AF Micro Nikkor 105mm F2.8 D
 AF-S VR Micro Nikkor ED 105mm F2.8 G (IF)
 Ai AF Micro Nikkor ED 200mm F4 D (IF)
 Ai AF Zoom Micro Nikkor ED 70-180mm F4.5-5.6 D


の5本。さらに55mmと105mm、200mmという3本のMFマクロレンズも健在である。

 で、今回はAi AF Zoom Micro Nikkor ED 70-180mm F4.5-5.6 D(長いので以下ズームマイクロ70-180mm)をD200で使ってみたという話をしてみたい。

 世界初の手ブレ補正機能付きマクロレンズであるAi AF-S VR Micro Nikkor ED 105mm F2.8 G (IF)がタイムリーに発売されたばかりなのに、なんでそんな古いレンズの話をするんだよ! というご意見もありましょうが、VRマイクロ105mm+D200については近いうちにレポートすることにして、今回はとにかくズームマイクロ70-180mmである。

 というのも、先日ニコンのレンズ設計者の方とお話する機会を得たのだが、それによると、このズームマイクロ70-180mmはどうもあまり売れていないらしくて、

 ボク「え~あんなに便利なレンズないのに」
 ニコン「使っていただいた方は皆さんそう言ってくださるんですけど……」

という話に。ならばズームマイクロ70-180mmの良さを今こそ皆さんに知ってもらわねばと思った次第である。

 ボクがこのレンズを手に入れたのにはちょっとしたいきさつがある。1999年の末くらいだったか、ニコンD1を買ったボクはほとんどのブツ撮り仕事をフィルムからD1に切り換えることで、デジタルの便利さに大いに感激していたのだが、すぐに大問題に直面してしまった。

 撮影した画像の多くに不可解なフレアが写り込んでいたのである。当時、D1と組み合わせてブツ撮りに使っていたレンズはMFのマイクロニッコール55mm F2.8と、某レンズメーカー製90mmマクロだったのだが、そのどちらで撮影した画像とも、画面のど真ん中に、かなりの頻度でちょうど日の丸くらいの大きさのフレアが発生してしまっていた。

 いろいろ調べてみると、商品撮影などを行っているコマーシャル系の人が同様の症状で困っており、原因はやはりレンズにあるという。この症状が出るのは特定の条件下のみで、白バックに黒っぽい被写体、なおかつ大型ストロボを使って絞り込んだときに発生しやすく、自然光で花などを撮影するぶんにはほとんど問題はないことから、一般的にはあまり話題になっていなかったが、ボクにとってはかなり困った出来事であった。

 問題の原因がレンズにある以上、レンズを変えるしかないのだが、ではどのレンズならこのようなフレアが発生しないのか?

 とりあえずは買ってみて自分で検証してみるしかないということになり、最初に試したのが、このズームマイクロ70-180mmだった。使ってみて同様のスポットフレアが発生するようならすぐに売り飛ばそうと考えていたが、嬉しいことにボクの使用環境では例のフレアは全く発生せず、それ以来ブツ撮り用のメインレンズとして愛用している。


 ちなみに、前述した2本のマクロレンズの名誉のために付け加えると、MFのマイクロニッコール55mmについては、ランニングチェンジでコーティングが新しくなっており、現行の最新型であれば上記のスポットフレアはもしかすると発生しない可能性がある。あと、某レンズメーカー製90mmマクロはその後2回モデルチェンジされ、現行型は完全にフレアスポットが解消されていることを確認済みである。

 ちょっと前置きが長くなってしまったが、使ってみて実感したのがズーム+マクロの便利さである。近接撮影ではもろもろの理由から三脚を使用するケースが多いと思われるが、通常の単焦点マクロで撮影倍率を変えるためには三脚位置で調節するしかなく、非常に面倒だ。

 ところが、ズームマイクロ70-180mmならズーミングするだけで撮影倍率を調整できてしまう。しかも、三脚位置で調整するよりはるかに精密に倍率を変えられるため、構図的にもよりシビアになれるというオマケ付きである。コンパクトな三脚座がビルトインされているため、光軸をまったく変えずにタテヨコの変換ができるのも魅力的な部分だ。

 こうやって文章で読んでもピンとこないかもしれないけれど、その便利さはまさに目からウロコ。通常の撮影レンズは明るい単焦点の方がどちらかというと好きな僕だが、マクロは絶対にズームの方が便利! というか、マクロこそズームと信じて疑わないまでこのレンズに惚れ込んでしまった。

 ご存じの方も多いと思うが、ズームマイクロ70-180mmは世界で初めてズーム化されたAFマクロレンズ。発売されてから確か8年くらいは経っていると思うのだが、その後、どこのメーカーもズームマクロを出さないのは不思議である。こんなに便利なのに。やっぱり先陣を切って発売されたズームマイクロがあまり売れていないのを見て、製品化に躊躇しているのだろうか。

 もちろん、このレンズにもネガティブな点はある。例えばボケ味は単焦点マクロほどデリケートな柔らかみがなく、ちょっとギスギスした印象だし、構成枚数が多いせいか、ライティングによってはフレア(前述のスポットフレアではなく、一般的な)によってややコントラストが低くなる傾向もある。

 が、それも圧倒的な利便性の前にはそれほど問題じゃないし、逆光のフレアに関してはハレ切りするか、黒紙でフードを延長することでかなり防ぐことができる。あと、このレンズは比較的高価なので、マクロ撮影する機会の少ない人はその点で躊躇するかもしれないけれど、最近の他のマクロレンズ同様に遠景の撮影能力もまったく問題ないので、通常レンズとしても十分使える。

 軽いレンズではないので、使うボディがD50あたりだとちょっとレンズヘビーになってしまうが、D200くらいボリュームのあるボディだとマッチング的にはちょうどいい感じだ。D200と組み合わせて撮影した結果も上々で、カメラ側との描写的なマッチングも結構良好だと思う。これについてはマクロから遠景までD200でいろいろ実写してみたので参考にしてほしい。

※作例のリンク先は、RAWで撮影された画像を現像し、コピーしたものです。


F5.6 / 1/400 / ISO200 / WB:オート / RAW
F5.6 / 1/750 / ISO200 / WB:オート / RAW

F6.3 / 1/800 / ISO200 / WB:オート / RAW
F6.3 / 1/1600 / ISO200 / WB:オート / RAW

F6.3 / 1/1600 / ISO200 / WB:オート / RAW
F8 / 1/200 / ISO200 / WB:オート / RAW

F8 / 1/200 / ISO200 / WB:オート / RAW
F8 / 1/350 / ISO200 / WB:オート / RAW

F8 / 1/640 / ISO200 / WB:オート / RAW
F8 / 1/400 / ISO200 / WB:オート / RAW

F8 / 1/800 / ISO200 / WB:オート / RAW
F8 / 1/250 / ISO200 / WB:オート / RAW

F8 / 1/125 / ISO200 / WB:オート / RAW

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( 河田 一規 )
2006/03/15 19:28
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