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オリンパス E-500【第5回】
「モノトーンモード」にハマるわけ

Reported by 安孫子 卓郎


 E-500になってから特に気にしている機能にモノトーンモードがある。筆者もフイルムの時代には、さんざんモノクロフィルムで撮影していたものだ。学生時代は金がないので、長巻きのトライXを詰め替えて、自分で現像やプリントをしていた。モノクロフィルムの醍醐味は、自分でプリントすることにあると今でも考えている。

 ところが社会人になると、金に余裕は出たものの、今度は自分で現像する時間がなくなる。外注ですますようになるにつれてカラーフィルムで撮影するようになり、そのままずっと来ているわけだ。何年か前、モノクロやセピアフイルムのブームも起きてはいたが、外注するのでは面白味が足りない。ところがE-500では、モノトーンモードが機能豊富になり、なかなか面白く遊ぶことができるようになったので、マイブームとして復活したのである。

 まず、目を引いたのが赤フィルターだ。フィルター効果には黄色・オレンジ・赤・緑の4つが用意されている。黄色・オレンジ・赤となるにつれて、青を吸収する効果がある。モノクロフイルムでは、一般的にコントラストの強調に使われ、青空が暗く落ちる効果が得られる。そのため印象が強くなり、雲でもあれば特に強調されてインパクトのある写真になる。

 モノクロフィルムで色フィルターを付けると露出倍数がかかる。目安としておおむね黄色で1段、オレンジで2段、赤で3段の露出倍数がかかった。3段ということは、ISO100のフィルムで撮影した場合に、ISO100→50→25→12.5となって、12.5相当のフィルムと同じ感度しか得られないという意味だ。それだけスローシャッターになってしまうので、手持ちでは絞って撮影することが難しくなり、使いにくかったのである。

 しかしE-500はデジタルフィルターだから、露出倍数がかからない。赤フィルターの効果がそのままの感度で得られるのだ。さらにここへPLフィルターを合わせれば、一段と空が暗くなって、ドラマチックな写真が撮りやすい。PLフィルターには露出倍数がかかるが、フォーサーズは被写界深度も深いため、晴れた日に手持ちで風景を撮るには十分なのである。ちなみに緑フィルターはポートレート用で、赤らんだ肌も白く写るため、色白の美人に撮れるというもの。モノクロでポートレートを撮るなら試されるのもよいだろう。

●フィルター効果の例


なし オレンジ

赤+PL 赤+PL+ローキー


 2番目の特徴は、階調設定にハイキーとローキーが選べること。トーンカーブのグレー点を中心に上を持ち上げるのがハイキー。下を下げるのがローキーである。露出補正と違って全体を変化させるわけではないため、ハイライト部分に影響を与えずにシャドーを締めたり、シャドーに影響を与えずにハイライト部分を明るく表現したりできるわけだ。

 シーンモードにもハイキーとローキーがあるが、シーンモードで使うとフルオートでしか撮れない。メニューから設定すればマニュアルで自由に撮影できるので、メニューの階調からハイキーとローキーの設定をするのがお奨めだ。ローキーを赤フィルターと組み合わせれば、インパクトのあるモノクロ写真が撮りやすい。

 3つ目は調色機能があること。セピア、紫、緑、青の色つきの写真になる。この調色機能があるので、モノクロと呼ばずに「モノトーンモード」としているのだろう。ただしセピアはやや整理が付いておらず、モノトーンからフィルター効果でセピアを選ぶこともできれば、直接セピアモードというものもある。このセピアモードでも調色の項目があるが、セピア固定で変更できない。モノトーンのセピア調色とセピアモードは全く同じものだそうで、これは統一したほうが良かっただろう。

●調色の例




 筆者も調色機能についてはいまだ消化できておらず、モノトーン+赤フィルター+ローキーに、時々PLという組み合わせで楽しんでいる。

 ちなみにRAWで撮影した場合、OLYMPUS Studioのメニュー「編集」→「画像編集ウィンドウを開く」→「フィルター」を選ぶと、PC上で黄色・オレンジ・赤のフィルターつきのモノクロ画像を後から作ることもできる。またこのフィルターでセピアを選んでおいて、色相やカラーバランスを変更すると、モノトーンの調色画像も作成可能である。そんな方法で遊んでみるのも、楽しいだろう。

※作例のリンク先は撮影画像をコピーしたものです。
※作例データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/レンズF値/露出補正値/ISO感度/実焦点距離を表します。


調布市・西光寺の山門と門を二重に写した。被写体が暗くてもデジタルだと楽。ただし赤いものがあると白く写る
3,264×2,448 / 1/200秒 / F4.5 / -0.7EV / ISO100 / 54mm
調布市富士見町の八幡神社。元々があまり色のない被写体なので、モノトーンにしてしまうほうが絵作りが行ないやすい
3,264×2,448 / 1/200秒 / F6.3 / -0.7EV / ISO100 / 14mm

西光寺となり。古い火の見櫓と新しい見張り台が並んでいる面白い場所
3,264×2,448 / 1/400秒 / F7.1 / 0EV / ISO100 / 32mm
色があるのがよいか、無いのがよいか。色が無くなるから、白い部分に目が引きつけられる。そんな効果を狙った
3,264×2,448 / 1/400秒 / F6.3 / -0.7EV / ISO100 / 54mm

調布市・祇園寺。赤フィルターとローキーを組み合わせ、さらにPLフィルターで効果を最大にした。普通に撮ると空が白くなる場面でも、印象的に作りやすい
3,264×2,448 / 1/80秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO100 / 14mm
この時期、まだ柿が残っているとは思わなかった。カラーから単純に彩度を下げたときと異なり、モノトーン+赤フィルターでは、赤い柿が白く写る。青空が暗くなったところに浮き出る
3,264×2,448 / 1/250秒 / F7.1 / 0EV / ISO100 / 14mm

三鷹市・春清寺。良く晴れているので飛行機雲が目立つ。快晴すぎて雲がなかったので、ワンポイントに利用した
3,264×2,448 / 1/250秒 / F6.3 / 0EV / ISO100 / 29mm


URL
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/
  製品情報
  http://olympus-esystem.jp/products/e500/
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( 安孫子 卓郎 )
2006/01/13 01:20
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