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リコー GR DIGITAL【第5回】
700ドルの夜景

Reported by ケニー・オブライエン


UltraPod miniを取り付けたGR DIGITAL
 函館に行くということは、世界三大夜景のひとつである函館山の観光は外せない。日中はかなり歩きまわって主に建物を撮っていたが、熱中して食事もとっていなかった。到着時はよく晴れていたが、雲ゆきがだんだんあやしくなり、撮影を急いでいたこともある。北海道の日没は早いので、夜景撮影をすませてから食事をとることにして、ホテルに寄ってから徒歩圏内のロープウェイ駅に向かう。駅は中国人の団体客でごったがえしていて、ロープウェイはひんぱんに来るものの、かなり待たされた。中国人団体客が持っているカメラを観察すると、ほとんど全部が銀塩コンパクト機だ。

 山頂駅に到着。展望スペースはすべて団体に占領されている。ここからなら寒い思いをせずに夜景を楽しめるのだが、撮影ではガラスを1枚はさむことになる。そのため屋外へ出た。北海道は屋内の暖房が高く、室内外の温度差は20度以上あるだろう。対策としてホテルに寄ったときにズボンの下にタイツをはいてきたが、今回の旅に手袋は持ってきていない。

 展望台のそばでかなりいいロケーションを見つけた。さっそくポケットから小型三脚「UltraPod mini」を取り出し、鉄柵にベルクロテープで固定し、GR DIGITALを取り付ける。UltraPod miniは夜景撮影のために持ってきたのだ。


 さっそく撮りはじめたのだが、すでに山麓でバッテリー残量がわずかになっていたため、すぐにバッテリー切れに。では試しにと思って、単四型オキシライド乾電池2本を装填する。この低温状態で果たして何枚撮れるか数えようと思ったのだが、あまりに寒かったのと、設定をいろいろ変えて撮っていたので、正確な枚数を忘れてしまった。後でレビューして、たしかここで替えたよなと思われるコマから推測すると、12枚。寒冷地でのテストは年末年始にもっと寒いところへ行く予定なので、そのときに。

 GX8はノイズが多いので、夜景撮影にはあまり向いていないと思っている。GR DIGITALに期待していたのは、少ないノイズで満足できる夜景が撮れるかどうかだ。ISOは当然64で、まずは数枚撮った。プレビューで8倍まで拡大して細部をチェックする。夜空は漆黒で、カラーノイズは見えない。街灯などの点光源の形もとくに不自然ではなく、港に停泊している船の灯りやライトアップされたハリストス正教会も、私としては「いいじゃないの」という写りだ。あまり絞らずに撮ったが、強めの光源には絞り羽根による光芒も出ている。米ドル換算で購入価格約700ドルのカメラで撮った夜景だが、満足感は百万ドルの気分に近い。

 さてここまでが私個人の観光写真で、これからが「仕事」だ。ISO感度を1段階ずつ変えて撮ってみた。空気はかなり冷えてきており、GR DIGITALも触るのがいやなほど冷たい。GR DIGITALの保存温度範囲は60度〜マイナス20度だが、使用温度範囲は40度〜0度だ。気温を測ってはいないが、たぶんマイナス5度ぐらい。なのでメーカーが保証している動作環境ではない。

 ISO感度を増やしていけば当然ノイズは増えていくが、私見ではISO400までは許せる写りだった。あまり大きくプリントしないのであれば、これでもいいかなという感じはする。さすがにISO800とISO1600のノイズ量はつらいところだ。だがGX8に比べると、これでもノイズはかなり減っている。このあたりがGRエンジンの威力なのだろうか。

 とはいえカメラを固定しているのだから、無理に高感度で撮る必要もない。感度をISO64に戻し、露出制御モードをマニュアルに変更。露光時間を増やして絵葉書的な写真も撮ってみた。


※作例のリンク先は撮影画像をコピーしたものです。
※作例データは、記録解像度/露出時間/レンズF値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランスを表します。


3,264×2,448 / 1秒 / F5.5 / 0EV / ISO64 / WB:オート 3,264×2,448 / 1秒 / F5.5 / 0EV / ISO100 / WB:オート

3,264×2,448 / 1秒 / F5.5 / 0EV / ISO200 / WB:オート 3,264×2,448 / 1秒 / F5.5 / 0EV / ISO400 / WB:オート

3,264×2,448 / 1秒 / F5.5 / 0EV / ISO800 / WB:オート 3,264×2,448 / 1/2秒 / F5.5 / 0EV / ISO1600 / WB:オート

ISO64(15秒露光)

 バッテリーはフルチャージしてあるものに取り替えたが、横なぐりの雪が降りはじめた。視界は悪くなり、撮影続行は不可能と判断。寒くて我慢も限界だった。GR DIGITALはキンキンに冷えている。零下の気温に1時間ぐらいさらしていたことになるが、カメラの動作はまったく問題なかった。

 できるだけ手をポケットから出したくなかったので、撮影はすべて2秒のセルフタイマーだ。ISO感度の変更は、ADJ.ダイヤルを押すと表示されるメニューに登録してあったので、すばやく設定できたのはとても助かった。かじかんだ手でもダイヤルで操作できるので、いちいちボタンを押して1段階ずつ変えていくのとは雲泥の差といえる。

 私が撮影していた場所は、展望台の屋外ではベストの位置だろう。だが私の撮影中、この場所にきた他人はわずか数人。ストロボを発光させながら、数枚ですぐに戻っていった。有名な函館の夜景を生で見た感動は、展望台内部でガラス越しにぬくぬくと見たものとは違う。夜景をほぼ独占できたのは良かったものの、とにかく寒かった。


 展望台にもどると、相変わらず中国人団体客で混んでいた。下界へ降りるロープウェイでは少し汗ばみ、山麓駅を出ても寒さはあまり感じなかった。やっと食事をとろうと最寄りの停留所から市電に乗ったところ、市電の写真を撮りたくなる。名物の塩ラーメンを食べ、沿線で何枚か撮ったが、やはり終点のほうが落ち着いて撮れると思い、湯の川停留所へ向かった。

 ホームで折り返す電車をいくつか撮っていると、次第に車庫行きの車両が多くなってきた。時刻表を見ると、これからの半数が途中の駒場車庫前止まりで、しかも発車間隔が長くなるようだ。塩ラーメンで暖まった身体も冷えだしたことだし、ホテルに戻ることにした。

 日中は5分間隔で走っている市電だが、19時を過ぎるとかなり減る。朝市で有名な都市だけに夜が早じまいなのかどうかはわからないが、私はホテル最寄りの停留所を通る「2系統」をかなりの時間待った。


市電湯の川停留所にて
3,264×2,448 / 1/2秒 / F2.4 / -1EV / ISO64 / WB:オート
ホテルのベランダから。遠くで光っているのはイカ漁船の漁り火
3,264×2,448 / 15秒 / F3.9 / 0EV / ISO64 / WB:オート


URL
  リコー
  http://www.ricoh.co.jp/
  製品情報
  http://www.ricoh.co.jp/dc/gr/digital/
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( ケニー・オブライエン )
2005/12/19 00:01
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