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キヤノン EOS 5D【第2回】
F1グランプリで5Dデビュー

Reported by 本田 雅一


 さて、筆者のEOS 5Dは発売日の翌々日。同時に注文してあったEF24-105mm F4L IS USMと同時に手元へと届いた。すでにβ版を10日ほど使っていたこともあり、特別にドキドキ感はないものの、やはり趣味のキカイを初めてパッケージから取り出す時というのはうれしいものだ。

 さっそく新しいレンズを取り付け、家の中で何枚か撮影していると、カメラに興味のない家人に、迷惑そうにされながらも無理矢理感想を述べてみたくなったりする。自分でも子どもっぽいとは思うが、まぁ、パッケージを開けた初日ぐらいいいじゃないか、と言い訳をしつついじり倒していた。

 本当は早いタイミングで撮影に出かけたいなぁ……と考えていたのだが、時まさに年末商戦に向けた各社発表会の嵐。毎日、3件づつほどの取材をこなしつつ、取材と食事と就寝の合間に原稿を書くという体制で5Dにはほとんど触れる事ができないまま、10月7日から鈴鹿サーキットで行なわれたF1日本グランプリを迎えることになった。


ファインダー消失の長さにやや悩む

 レポートの初回では、ゆっくり、じっくり楽しむための趣味のカメラとして購入したと書いていたのにF1? と言われそうだが、確かに5Dのデビュー戦としては、あまり似つかわしくないシチュエーションだ。しかし、イベント開催期日は待ってくれない。さっそくEOS 20Dとの2台体制で出かけることにした。

 そもそも、僕はレース写真が苦手だ。EOS 20Dの長期レポートを担当した奥川氏は学生時代から足繁くサーキットに通いつつ、貯金をしながら300mm F2.8を自前で購入して撮影を楽しんでいたそうだ。どうりで上手なわけだ。

 僕はと言えば、サーキットには何度も行っていたものの、まともな撮影となると2003年の鈴鹿8時間耐久ロードレースの取材が最初。その後、Indy Japanの取材記事を写真付きでPC Watchにレポートしたことがある程度。仕上がった写真は、そこそこに見映えするものにはなったものの、その間に撮影した枚数を考えれば「まぁ、これぐらいは“当たっていて”当然だよなぁ」という程度のものだ。

 とはいえ、Indy JapanではターンA内側のカメラマン用お立ち台でレース中、ずっと流し取りをしていた事や、レースカメラマンの友人にコツを教えてもらっていたおかげで、多少は勘所がつかめるような気がしていた。


 が……、あれは気のせいだったのかもしれない。なんとも、思ったように写真が決まらないのだ。

 レース中のレーシングカーは、当然、連写の効く高速なカメラでバリバリ撮影するのがいいんだろうと思う人も多いと思う。実際、これまでも連写はしていたのだが、後から確認してみると“当たり”はほどんど連写の1枚目にしかない事が多かった。

 理由は色々あるだろうが、最も多い失敗ケースはフレームを大きく外し、トリミングでも対応出来なくなってしまう事。ファインダー消失時間の間に、あっという間に車が移動してしまうため、勘だけではなかなか追い切れない。

 これがIndyのようにオーバルコースなら、少し慣れてくると多少は改善されてくるのだが、F1のようなロードコースでは撮影ポイントをあらかじめ狭く絞っておき、自分のポイントではきちんとフレーミングできるよう気をつけながら撮影した方が良い結果が得られるようだ。

 なので、個人的にはF1撮影で連写時のコマ速はあまり欲しいとは思わない。が、それでもファインダー消失は短い方がいい。ファインダー消失時間がもっと短ければ、撮影ポイントを2カ所に設定しておき、ファインダーで追いながらフォーカスを合わせ、2タイプの写真を撮影できるのに、と思う場面も少なくなかったからだ。

 実際、20Dであれば、失敗もあるものの、ずっと楽に車を追うことができる。加えてレリーズラグの遅さも、やや気になるレベルの差を20Dとの間で体感した。これらは5Dの性格を考えれば欠点とは言えない。しかしファインダー消失時間の長さは、普段の撮影でも気持ちよさに大きく影響するように思う。フルサイズセンサー対応でミラーサイズが大きいというハンディがある事は理解しているつもりだが、ミラーの動きにもう少し切れ味があれば、秒3コマでも十分なのだが。

※キャプション内のデータは露出時間(秒) / レンズF値 / 露出プログラム / ISO感度 / レンズの焦点距離 / ホワイトバランスです。すべて露出補正は行なっていません。


1/400 / F6.3 / プログラムAE / 100 / 300.00(mm) / 自動
1/200 / F5.6 / プログラムAE / 100 / 160.00(mm) / 自動

1/100 / F5.6 / 絞り優先AE / 400 / 280.00(mm) / 自動
1/200 / F5.6 / プログラムAE / 1600 / 300.00(mm) / 自動

トリミング、トリミング、またトリミング

トリミングした画像
1/100 / F5.6 / プログラムAE / 400 / 400.00(mm) / 自動
 慌ただしかったF1から自宅へと戻り、撮影した写真を確認。う〜ん、自分で言うものなんだが、やっぱりへたくそだ。特に走っている車の写真は、そのままでは使えそうにない。ということで、フレーミングを外した写真は、片っ端からトリミングしていく事にした。

 以前、ある人にトリミングなんて邪道だと言われた事があるのだが、個人的には全く抵抗感がない。相手が逃げない被写体をじっくり撮影している時ならばともかく、動きものを撮影するときには、思ったようなフレーミングにならない事も多い。ましてやプロフォトグラファーでもないのだから、そりゃぁ、しょうがない。

 5Dを知らない人に「このカメラは何万画素なんでしょう?」と聞かれ、1,280万という画素数を教えると、たいていの人が驚く。筆者自身、日常的にそんなにたくさんの画素数が欲しいとも思っていない。個人的にはコンパクト機なら300万〜500万画素程度、一眼レフでも通常は600万〜800万画素で十分と思っている。

 しかし、感度特性や階調性が十分に確保されているならば、1,280万画素は邪魔にはならない。確かに12〜13MBもあるRAWファイルのハンドリングは重いが、大胆にトリミングしても十分な解像力が残ってくれる点は素直にありがたい。

 印刷サイズがL判の場合はもちろん、2L判やキャビネ程度なら、トリミングによる画素数低下を気にするよりも、思ったようなフレーミングが行なえている事の方がずっと楽しく使えると個人的には思う。元のJPEGファイルやRAWファイルをDVD-Rなどにライブラリとして残しておけば、いつでも元の絵を取り出すことができるのだから。

 もっとも、相手が動いていないシーンであれば、カメラなりに撮影しておけば、なんの問題もなくあたり前に良い結果が得られる。とはいえ、ひとつだけ自分に対して“しっかりしろよ”と言いたくなる反省点もある。

 慌ただしい中での撮影で、落ち着いてファインダーの大きさやマニュアルフォーカス時の感覚など、5D本来の使用感に関しては深く考える時間はなく、ほとんどAPSサイズセンサー機と同じ感覚で撮影していたが、後から確認してみると、思ったよりも被写界深度が浅いなぁと思う写真が多かった。

 フルサイズセンサー機を懐かしい感覚と思いつつ、しかし頭の方はと言えば、すっかりAPSサイズセンサーに慣れ切っていたようだ。フルサイズセンサー機は、思ったよりも被写界深度が浅い。拡大しての鑑賞が容易になり、よりピンボケが見えやすいという事情があるにせよ、もう少し被写界深度を意識した撮影が必要そうだ。

 もうひとつはISO感度。ご存知のように5Dの高感度時ノイズは非常に少ない。ISO400ぐらいまではフレキシブルに上げるクセがついていたが、ISO800となるとよほど暗い場所以外では設定するつもりがなかった。だが、ISO800あるいは場合によってはISO1600を、もっと積極的に使うべきだった。

 画素増加とトリミングの関係にも言えることだが、カメラが高性能になったなら、その分を“楽に撮影する方向”に配分しようという意識を持つことも、こうしたセンサー性能の高いカメラを使いこなす上で頭に入れておいた方がいいようだ。


1/60 / F5.0 / プログラムAE / 100 / 180.00(mm) / 自動
1/250 / F7.1 / プログラムAE / 100 / 100.00(mm) / 自動

1/320 / F8.0 / プログラムAE / 100 / 100.00(mm) / 自動 1/400 / F5.6 / 絞り優先AE / 100 / 400.00(mm) / 自動

1/160 / F5.6 / プログラムAE / 100 / 170.00(mm) / 自動
1/400 / F7.1 / プログラムAE / 100 / 400.00(mm) / 自動

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( 本田 雅一 )
2005/11/17 13:46
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