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富士フイルム FinePix F11【第3回】
「高感度」といえばお約束の水族館

Reported by 本誌:折本 幸治


ヨドバシカメラの「革っちゃいマス。」を装着したF11。詳しくは別企画で
 今回は高感度を試す意味で、都内の水族館に出向いた。その前に試してみたユニークなアイテムの話から。

 購入当時は気が付かなかったが、最近空気が乾燥しだしたせいだろうか、F11のボディ表面がサラサラして気になっている。とりわけ左手のグリップに、若干の滑りやすさを覚えることが多い。

 実用上さほど問題はないものの、こういうことほど気になりだすと止まらないもの。コシナのボトムグリップやストロボ用の小型ブラケットを三脚穴に付けて気を紛らわしていたところ、ヨドバシカメラに「革っちゃいマス。」というアイテムがあることを思い出した。

 この製品、もとはといえばヨドバシカメラで指定機種を購入すると、機種に合わせた革シールがもらえるというキャンペーングッズだった。貼るとなんとなくレトロな雰囲気になるという面白グッズで、最近はヨドバシドットコムでも単体で購入できる。グリップ部の滑り止めにはうってつけだ。さらに単体製品にはシールと同色の革製ハンドストラップも付属する。


革っちゃいマス。のパッケージ。「牛革」の表示が誇らしげ
 価格は2,880円。現在、1,880円まで値下がりしている。冗談グッズとしては少々高いが、ちゃんとしたストラップが付くと思えばそれなりの値段だと思い、FinePix F10用を購入。ユニークかつ実用的なので、そのうち「デジカメアイテム丼」で紹介しようと思う。

 水族館に話を戻す。水族館といえば、暗い上にストロボと三脚禁止、しかも被写体は動くはと、カメラにとって厳しい環境。さらに最近では分厚い曲面ガラスを水槽に使っているところが多く、うまく場所を選ばないと、少しカメラを傾けるだけで像が歪むし、シャープさも損なわれる。また、水槽のガラスによる色収差も激しい。中心部以外が流れていたり、青い線が出ている作例があるが、レンズのせいではなく、正面で撮れなかった私の腕のなさであることをお断りしておきたい。

 今回出かけたのは東京・江戸川区の葛西臨海水族園。ここも例に漏れず、上記の条件をすべて兼ね備えた難しい場所だが、外光を取り入れた比較的明るい水槽が存在するのが救い。また、外洋の魚たちに加え、東京湾で暮らす魚が充実。身近な自然を再認識できる。真の目的は園内のレストランで食べる新宿中村屋のカレーだ。

 F11の設定は、ナチュラルフォト、あるいはM(マニュアル)。最初はその場に応じた感度に増感するナチュラルフォトが便利かと思ったが、レンズの開放F値であるF2.8をもってしても、ほとんど1600でしか撮れないことに気づいた。ならばと、早い段階でM(マニュアル)に変更、ISO1600に固定した。

 切り替えるだけでストロボOFF、さらにISO1600まで増感するナチュラルフォトは、とっさのスナップに便利。しかし、露出補正、測光方式、ホワイトバランス、フォーカス方式、連写方式などが指定できない。これはこれで使いやすいが、露出補正が使えないのは困ることもある。

 というのも最近の機種の例に漏れず、F11のマルチ測光は明るい絵になりがちで、部分的な白飛びをものともしない測光をする。そこで輝度差が大きなシーンでは、露出補正が可能なA/S/Mの存在が重要になる。今回の場合では、白い珊瑚や白いイソギンチャクが白飛びしやすく、M(マニュアル)での露出補正が頼りになった。なお、絞り優先AEで常に開放、という選択も考えたが、M(マニュアル)でもナチュラルフォトでも常に開放だったので、意味なしと判断して使用していない。

 300枚強を撮影してまだ電池が残っていたので、帰りがけにもう1カ所、東京タワー水族館にも立ち寄った。ここは水槽が小さく、魚を近くで見られるのが特徴。水槽は比較的明るい上、平面ガラスなので歪曲もない。水族館というよりは昔ながらの熱帯魚屋さんといった趣で(水槽ごとに値札もある)、撮りやすさでは随一だと思う。

※作例のリンク先は撮影画像をコピーしたものです。
※作例下のデータは、機種名/露出時間/レンズF値/露出補正値/ISO感度/実焦点距離を表します。


2,848×2,136 / 1/160秒 / F3.7 / 0EV / ISO800 / 14mm 2,848×2,136 / 1/100秒 / F2.8 / 0EV / ISO800 / 8mm

2,848×2,136 / 1/160秒 / F2.8 / 0EV / ISO1600 / 8mm 2,848×2,136 / 1/160秒 / F2.8 / 0EV / ISO1600 / 8mm

2,848×2,136 / 1/50秒 / F2.8 / 0EV / ISO1600 / 8mm 2,848×2,136 / 1/320秒 / F5 / 0EV / ISO800 / 8mm

2,848×2,136 / 1/10秒 / F2.8 / 0EV / ISO1600 / 8mm 2,848×2,136 / 1/10秒 / F2.8 / 0EV / ISO1600 / 8mm

 問題は、たいていの魚がフォトジェニックという言葉と無縁の顔立ちであること。しかも水槽が小型な割には、幼児並みの体長を持つでかいヤツもいる。ここにくると子どもの頃、何よりもデパート屋上のアロワナを怖れていたことを思い出す。本当はもっとたくさん撮影しているが、比較的おとなしそうな部類のものだけに掲載をとどめる。

 また、水槽が小さいのも場合によりけりで、でかい魚の全身を入れようと30cmから1mほど引くと、今度は水槽の枠が映り込む。結果、マクロで部分を切り取るわけで、さらにF値をかせぐため広角端にして寄ると、ただでさえフォトジェニックでない彼らのドアップはすごいことになる。その代わり水槽が小さいせいか、魚はあまり動かない。とにかく撮りやすさにかけて、都内でここに勝る水族館を私は知らない。撮りやすさにかけては……。

 さて、ISO1600の画質はデジタル一眼レフ並みとはいえないものの、コンパクトカメラとしては大変満足できるもの。魚が止まってくれれば輪郭もそれなりにビシっとしているし、ノイズもやはり水準より目立たない。水族館でここまで撮れれば個人的に十分だ。まだまだ撮れない水槽や被写体も多いが、これまでの苦労を考えると「F11恐るべし」といったところだ。

 ここまで実用になると「もう1段レンズが明るければ」と、贅沢にもなる。特に、開放F5のテレ端は事実上使えない。光がちょうど差しこみ、さらに被写体が止まっていない限り、ISO1600でもズームはご法度といえる。

 また、AF動作の遅さも気になるところ。AF補助光を使えば速くなるが、まぶしいのか、せっかく止まっている魚が逃げることがあるので切っていた。AF補助光についてはこれまで、イヌ、ネコ、トリ、ヒトに逃げられたことがある。なるべく切っておきたいので、補助光OFFでのAF動作についても、そのうちじっくり検証したい。

※葛西臨海水族園の場所を江東区としていましたが正しくは江戸川区になります。



URL
  富士フイルム
  http://www.fujifilm.co.jp/
  製品情報(FinePix F11)
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/review/2005/10/26/2562.html
  ヨドバシカメラ
  http://www.yodobashi.com/
  製品情報(革っちゃいマス。)
  http://www.yodobashi.com/enjoy/more/productslist/cat_89_173/44231517.html
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm

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( 本誌:折本 幸治 )
2005/11/16 00:49
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