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松下電器 LUMIX DMC-LX1【第5回】
「広角28mm相当」の真実をGR DIGITALと比較

Reported by 中村 文夫


 16:9というアスペクト比だけでなく、28mm相当の広角レンズを搭載していることも、LX1の大きな特徴である。カタログには「16:9で撮影したときの画角を35mm判に換算すると28mmに相当」と表記されている。

 しかし35mm判のアスペクト比は3:2。アスペクト比が違う場合は、対角線画角で比較することが多いので、LX1の16:9の対角線画角が35mm判の28mmと同じだとすると、LX1の画面は35mm判の28mmより短辺が狭く、長辺が広く写るはずだ。

 つまり対角線画角で画角を合わせると「思ったより広角でない」という現象が起こってしまう。しかし、LX1を使い始めて1カ月以上たつが、実はこんなことは感じたことがない。いったいLX1の画角は、何を根拠にしてに28mm相当と謳っているのだろうか。そこで今回は画角の検証をしてみることにした。

 比較に使用した機材はFAJ 18-35mm F4-5.6ALを付けたペンタックス*ist DL。このカメラの場合、18mmが35mm判の27mmに相当する。それから、発売になったばかりのリコーGR DIGITALでも実験してみた。


今回使用した機材。*ist DL、FAJ 18-35mm F4-5.6、DA 12-24mm F4、55mm F2、GR DIGITAL おまけ。LX1とGR DIGITALのバッテリー形状は共通のようだ

 まずテーブルの上に被写体のクラシックカメラを用意。次に三脚に*ist DLを取り付けレンズを18mmにセット。ファインダーを覗きながら画面いっぱいに並ぶようカメラを置いた。

 画角が広いので、手前と奧のカメラの大きさの差が極端に出ている。次にLX1の広角端6.3mmで撮影したのが写真2だ。なお三脚の雲台は動かしていないが、三脚用ネジ穴の位置やボディ底面から撮影用レンズまでの高さ、CCDの位置が違うなど条件は完全に一致していない。

※作例のリンク先は撮影画像をコピーしたものです。
※作例データは、機種名(レンズ名)/アスペクト比/実焦点距離/記録解像度/露出時間/レンズF値/ISO感度/露出補正値を表します。


*ist DL(FAJ 18-35mm F4-5.6) / 3:2 / 18mm / 3,008×2,000 / 1.5秒 / F16 / ISO200 / -0.5EV LX1 / 16:9 / 6.3mm / 3,840×2,160 / 1.6秒 / F8 / ISO80 / -0.3EV

 意外だったのは、LX1で撮影した画面の天地が*ist DLの18mmで撮影したものと全然変わらなかったこと。つまりLX1の画面は、3:2のアスペクト比で撮影した画面の両サイドを広げたものだったのだ。次に*ist DLにさらに焦点距離の短いレンズを取り付け実験したところ、15mmで長辺の画角がLX1とほぼ同じになった。*ist DLの15mmを35mm判に換算すると22.5mm。長辺方向だけならLX1の画角は超広角と呼んでもおかしくない。

 ついでにアスペクト比を変更して撮影した。アスペクト比3:2で撮影した画角は28mmでほぼ一致。どうやらパナソニックは、アスペクト比を35mm判と同じにしたうえで28mm相当と謳ってるらしい。これは良心的な姿勢である。


LX1 / 3:2 / 6.3mm / 3,284×2,160 / 1.6秒 / F8 / ISO80 / -0.3EV LX1 / 4:3 / 6.3mm / 2,880×2,160 / 1.6秒 / F8 / ISO80 / -0.3EV

 参考までに望遠側でも比較してみたところ、LX1のほうが*ist DLより画角が少し狭くなった。LX1はインナーフォーカス式なので、撮影距離によって焦点距離が変わっている可能性がある。


*ist DL(55mm F2) / 3:2 / 15mm / 3,008×2,000 / 1.5秒 / F- / ISO200 / 0EV LX1 / 16:9 / 25.2mm / 3,840×2,160 / 1.6秒 / F8 / ISO80 / -0.3EV

LX1 / 3:2 / 25.2mm / 3,284×2,160 / 1.6秒 / F8 / ISO80 / -0.3EV LX1 / 4:3 / 25.2mm / 2,880×2,160 / 1.6秒 / F8 / ISO80 / -0.3EV

 次はリコーGR DIGITALとの比較である。今さら説明するまでもなく、このカメラは35mm判で28mmに相当する単焦点レンズを採用していることが最大の特徴だ。GR DIGITALのアスペクト比はデフォルトで4:3。

 GR DIGITALの画角は意外と大きく、長辺方向の画角はLX1の16:9と3:2の中間くらい。そしてアスペクト比を3:2で撮影すると、なぜか*ist DLやLX1で撮影した画像より一回り広い範囲が写っている。ということは、GR DIGITALの画角が28mmより広いか、比較に使用したレンズの画角が28mm狭いということ。今回は接写という限られた条件のため、早急に結論を出すことはできないが、謎は深まるばかりだ。いずれにしてもデジタルカメラの焦点距離と画角の換算については、もう少し研究の余地がありそうだ。


GR DIGITAL / 3:2 / 5.9mm / 3,264×2,176 / 1/4秒 / F9 / ISO154 / -0.5EV GR DIGITAL / 4:3 / 5.9mm / 3,264×2,448 / 1/4秒 / F9 / ISO154 / -0.5EV


URL
  松下電器
  http://panasonic.co.jp/
  製品情報
  http://panasonic.jp/dc/lx1/
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  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm


( 中村 文夫 )
2005/11/04 17:04
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