前回、コニカミノルタの一眼レフ用レンズであるAFマクロ 50mm F2.8(D)を使ってみた。
やっぱ単焦点はイイですな。どの単焦点レンズもそうだというわけではないと思うが、ズームレンズと比べると、総じて、画質的アドバンテージが大きいと感じる。
また、デジタル一眼レフカメラでズームレンズと単焦点レンズの画質を比べたりしちゃうと、ホレ、デジカメ画像って結局画素を等倍表示で検証できちゃうじゃないスか。実際そこまで拡大して検証しても、なんつーか写真的にはあまり大きな意味はないとは思うが、レンズ性能がどこまで出るのかナ~とかいう観点で等倍表示にて見比べると、ハッキリわかってしまう。
そんなコトをしていて、もうひとつわかるのは、「α Sweet DIGITAL」(以下、α Sweet)って、使うレンズによってかな~り画質が変わってくるということ。他のデジ一眼でも当然そうだが、あるいはα Sweetの場合は画像処理エンジンが強引でないからか、レンズの個性がパッと見でよくわかるような画像が生成されるように感じる。交換レンズを積極的に使う向きにも楽しいデジタル一眼かもしれませんな。
■ サンニッパを借りてみた!!
さておき、やっぱレンズなんだなぁと痛感した結果、いわゆるひとつのサンニッパを使ってみたくなった。サンニッパとは、焦点距離が300mmで開放F値2.8の単焦点望遠レンズの総称だが、それ以上に、各メーカーが超気合入れて作っている“技術の結晶”としての意味合いが強い。
コニカミノルタからはAFアポテレ 300mm F2.8G(D) SSMというサンニッパが出ているが、キヤノンやニコンからも出ている。しかし、前述のように各社の光学技術力の見せ所的レンズであるため(と市場でミョーに強い人気があるため)、価格も超高い。各社の(最新の)サンニッパは軒並み60万円以上。ソチラ方面が大好きな方々に訊いてみると、「その価格の価値があるかどうかは疑問」とか「価格分以上の凄さがある」など、ご意見いろいろではある。
でもやっぱ、サンニッパって常識を越えたレベルでの品質があるというのは共通した意見なので、つまり高品位なレンズであるのは確か。んーむ、α Sweetでコニカミノルタの最強(!?)単焦点レンズを使ったらどんなふーに写るのか? ……試したい!! じゃあ買……えないから借りてみた。
てなわけで今回は、コニカミノルタのサンニッパことAFアポテレ 300mm F2.8G(D) SSMをα Sweetに装着&試用してのレポートをお届けしたい。
■ 300mmってどのくらい見える?
いきなり300mmとか言われても、カメラ慣れしていない方にとってはナンだと思うので、300mmレンズをα Sweetに装着すると、どんな画角で写るのかをご覧いただきたい。
ちなみに、AFアポテレ 300mm F2.8G(D) SSMと同時に、メーカー純正のテレコンバータである「AF 1.4×テレコンバーター アポ(D)」および「AF 2×テレコンバーター アポ(D)」もお借りしたので、これとAFアポテレ 300mm F2.8G (D) SSMを組み合わせた時の画角サンプルも見てほしい。
なお、これらテレコンバータを用いると、300mmのレンズの場合、AF 1.4×テレコンバーター アポ (D)なら420mmに、AF 2×テレコンバーター アポ (D)なら600mmに焦点距離が伸びる。また、α Sweetの場合、レンズ焦点距離の1.5倍が35mm判換算の焦点距離になるので、300mmレンズなら450mm相当に、420mmなら630mm相当に、600mmなら900mm相当の焦点距離(画角)となる。
※作例のリンク先は、撮影した画像データそのものです(ファイル名のみ変更してあります)。クリックすると撮影した画像が別ウィンドウで表示されます。
※キャプション内の撮影データは、画像解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/焦点距離(35mm判換算)です。
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【AF DTズーム 18-70mm F3.5-5.6(D)】
3,008×2,000 / 1/800秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO100 / 27mm
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【AF DTズーム 18-70mm F3.5-5.6(D)】
3,008×2,000 / 1/640秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO100 / 105mm
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【AF DTズーム 18-70mm F3.5-5.6(D)】
3,008×2,000 / 1/1,250秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / 105mm
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【AFアポテレ 300mm F2.8G(D) SSM】
3,008×2,000 / 1/2,000秒 / F3.5 / -0.7EV / ISO100 / 450mm
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【AFアポテレ 300mm F2.8G(D) SSM】
3,008×2,000 / 1/1,600秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / 450mm
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【AFアポテレ 300mm F2.8G(D) SSM + AF 1.4×テレコンバーター アポ(D)】
3,008×2,000 / 1/1,600秒 / F4 / -0.7EV / ISO100 / 630mm
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【AFアポテレ 300mm F2.8G(D) SSM + AF 1.4×テレコンバーター アポ(D)】
3,008×2,000 / 1/2,000秒 / F5 / -0.7EV / ISO100 / 630mm
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【AFアポテレ 300mm F2.8G(D) SSM + AF 2×テレコンバーター アポ(D)】
3,008×2,000 / 1/640秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO100 / 900mm
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【AFアポテレ 300mm F2.8G(D) SSM + AF 2×テレコンバーター アポ(D)】
3,008×2,000 / 1/640秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO100 / 900mm
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最上段と2段目の写真は、AF DTズーム 18-70mm F3.5-5.6(D)(α Sweetのレンズキットに付属するレンズ)での画角サンプルだ。35mm判換算の焦点距離は、広角側が27mm相当、望遠側が105mm相当となる。望遠側いっぱいでも遠くの被写体へはズームアップしきれない。
同じ位置からAFアポテレ 300mm F2.8G(D) SSMで撮ると、被写体をグイーンと引き寄せられる。さらにAF 1.4×テレコンバーター アポ (D)やAF 2×テレコンバーター アポ (D)を併用すると、ええっ!? ってほどアップに。
拙者思うに、望遠レンズは(35mm判換算で)200mmを越えたあたりからオモシロミが増してくるなぁ、と。何しろ肉眼で“見ていたつもりだけれど実は見えてなかったモノ”がガンガンと見えまくってくる。また、一眼レフ用のレンズは焦点距離が長いほど(望遠であるほど)被写界深度が浅くなるので、ピントを合わせたところの前後は強いアウトフォーカスとなる。見たい被写体部分のみシャキッとピントが合って、それ以外はボケて色と光のグラデーションになったりする(ので背景などの整理が容易だしキレイ)。
上のサンプルの場合、被写体とその背景が比較的近い位置関係にあるので、望遠レンズ特有の美しいアウトフォーカス描写は見られないが、ボケ味命!! で望遠レンズを使いまくる人がいたりもする。ので、一応、AFアポテレ 300mm F2.8G(D) SSMってどんなふーなボケになるのかも提示してみたい。
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【F2.8】
3,008×2,000 / 1/640秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / 450mm
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【F3.5】
3,008×2,000 / 1/640秒 / F3.5 / +0.7EV / ISO100 / 450mm
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【F4】
3,008×2,000 / 1/500秒 / F4 / 0EV / ISO100 / 450mm
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【F5.6】
3,008×2,000 / 1/125秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO100 / 450mm
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【F8】
3,008×2,000 / 1/50秒 / F8 / -0.7EV / ISO100 / 450mm
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あ。主な被写体こと竹の葉がブレてたり露出若干違ってたりしますけど、ご愛敬ってことで。風強かったんすよ~。というわけで、背景のボケ味だけを見て欲しい。
それぞれ、F2.8(開放)、F3.5、F4、F5.6、F8で撮影したが、絞り値を変えるとボケ味もこんなに変わるというわけだ。撮影意図にもよるが、なんだかんだ言ってやっぱり開放値に近い絞りで撮るとイイ感じのボケが出てくれますな。
■ なるほど!! サンニッパって凄まじい!!
そんなAFアポテレ 300mm F2.8G(D) SSMをα Sweetに装着していろいろ撮ってみた。
焦点距離としては35mm判換算で450mmになり、手持ちじゃちょっと辛いカモと感じた──35mm判換算で300mmとか越えちゃうと、そーとー撮影技術がないと手ブレ写真が増えがちだと思う。が、実際に使ってみたら、わりあいイケる。Anti-Shakeのお陰だと言えよう。しかし状況によってはAnti-Shakeを使っても手ブレを抑えきれなかったので、時には一脚を使い、時には手持ちでと、撮り歩いた。
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まずは試しに遠くのライオンさんを。肉眼だと「何か食べてる」程度しかわからないが(目がいい人の場合でも)、450mm相当のレンズを通して見ると細部までよーく見える
3,008×2,000 / 1/640秒 / F2.8 / +0.7EV / ISO100 / 450mm
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あー足が切れちゃった。惜しい。微妙に手ブレも!? さておき、やや絞り値を上げても、背景がスッキリと整理される。何を撮ってもイイ感じの写真になりがち!?
3,008×2,000 / 1/80秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO100 / 450mm
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昼寝中のクマ。後で拡大表示して驚いたが、このレンズったらスンゲく解像度が高いかもしれない
3,008×2,000 / 1/40秒 / F2.8 / -0.7EV / ISO100 / 450mm
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つーか450mm相当の画角ってすげー楽しいですな。これまで見えてこなかった光景ばっかり。何を見ても、何を撮っても、とても新鮮。レンズ一体型のコンパクトデジカメで12倍ズーム搭載機が売れているのは、やっぱこれと似た画角があるからなんであろー。
でも、遠くの被写体を撮れることだけが望遠レンズの良さではない。前述のようにボケを生かして主な被写体のみに視点を集中させるような作画にもよく向くのだ。
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数m先にある花を撮影。実は背景はけっこーゴチャゴチャしているのだが、背景全体が暗めであり、主な被写体との明度差があったので、こんなふうにスッキリと整理されてしまう
3,008×2,000 / 1/2,000秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / 450mm
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同じ場所で蝶を撮影。マクロレンズで接写したよーにも見えてしまう解像感。発色もジョリーグッドですな
3,008×2,000 / 1/800秒 / F2.8 / +0.7EV / ISO100 / 450mm
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デジカメでは正しい色が出にくい(というかどこか飽和したり偏ったりしがちな)色の花も、自然な印象で撮れた
3,008×2,000 / 1/1,250秒 / F2.8 / -0.7EV / ISO100 / 450mm
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絞り開放にすると背景のボケ味が最もソフトになって美しい
3,008×2,000 / 1/640秒 / F2.8 / -0.7EV / ISO100 / 450mm
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道ばたから見えた紅葉。撮ってみてビックリしたのは、α Sweetの液晶モニター上でも強い解像感が感じられたこと。うわー家帰って写真見るのが楽しみ~!! と急いで帰って閲覧したら、あーやっぱスゴいレンズだわと痛感
3,008×2,000 / 1/800秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / 450mm
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AFアポテレ 300mm F2.8G(D) SSMを使ってみて痛感したのは、えーと、なんつーか、文句が出ない点っス。
強いて文句を言えば、レンズ内に手ブレ補正機構がないので、手持ち撮影時にスポット測光や1点AFが使いにくいこと。レンズ持ってると手がわりあいフラついちゃう(レンズ自体重いってのもある)ので、ピンポイントの測光や合焦を行ないにくい。光学式手ブレ補正機構内蔵レンズの場合、ファインダー越しの像自体が安定するので、その点は扱いやすい。つーかもっと撮影技術磨けよ>俺、ってことであり、そういう使用感以外は、もー全然問題ナシでありかつ素晴らしい写りをするレンズだと感じる。
ぶっちゃけ、撮った画像をジックリ見て最初に思ったのは、“コレはホントにα Sweetが生成した画像なのか?”ということだ。マジでExif情報を確認しちゃいましたよ思わず。何しろ、これまで使ってきたα Sweet向けレンズ(前回のマクロレンズを除く)とは、まるで別モン級の写りをしまくり尽くし倒していたのだ。
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“コンニヂワー”とか喋るオウムちゃん。いつもと変わらぬ設定で撮ったが、白い部分の明暗階調も解像度も文句ナシの写りとなった
3,008×2,000 / 1/2,000秒 / F5 / -0.7EV / ISO100 / 450mm
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同じオウムちゃんを別角度から。目にピントを合わせたら、足や葉の部分にも合焦するかたちとなった。オウム本体も凄いですけど、葉っぱとかも非常に鮮明。解像度も凄まじいがヌケも良いレンズなんですな
3,008×2,000 / 1/640秒 / F5 / +0.7EV / ISO100 / 450mm
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わしの同居ねこ。この耳毛とかヒゲの描写に驚いた拙者
3,008×2,000 / 1/250秒 / F2.8 / -0.7EV / ISO100 / 450mm
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ビミョーに被写体ブレしてるかも!? ともあれ、ヌケが良く解像度も高いが、α Sweetの持ち味である非常にナチュラルな色味となった
3,008×2,000 / 1/60秒 / F2.8 / +0.7EV / ISO100 / 450mm
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ビー玉のような目ん玉。ねこから3メートルくらい離れた距離から撮影している
3,008×2,000 / 1/25秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / 450mm
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とりわけビビったっつーか驚いたのが、その解像感。いや“感”ではなく、これは正真正銘の解像“度”だと思う。同じカメラでもレンズによって画質が変わるとはわかっていたが、ここまで違うものなのか、と。驚いたよ、と。欲しいよAFアポテレ 300mm F2.8G(D) SSM、と。ともかく、なるほどサンニッパってのは、こーゆーコトなのかと思い知った。
■ 200mmあたりが使いやすいのか!?
実は、わりあい最近、キヤノンのサンニッパであるEF 300mm F2.8L IS USMを試用する機会を得た。ボディはEOS 20Dで使ったが、その後にこないだ購入したEOS 5Dで使った。
レンズ性能に関しては、これもやはり文句ナシ。つーか、AFアポテレ 300mm F2.8G(D) SSMとかEF300mm F2.8L IS USMとか、俺とかの力量を遙かに超えちゃった位置にそのパフォーマンスがあると思う。どれも凄いっス。でも、その凄さって、シロート目で見てもハッキリわかったりする。
さておき、キヤノンのサンニッパを20Dと5Dで使ってみたのだが、ボディの差はそのまま画角(焦点距離)の差となる。20Dの場合は、表記焦点距離の約1.6倍が35mm判換算の焦点距離になる。ので、300mmなら480mm相当ですな。フルサイズの撮像素子を実装した5Dの場合は、レンズ焦点距離どおりの300mmとなる。
で、結論から言えば、α Sweet+AFアポテレ 300mm F2.8G(D) SSMの場合も、EOS 20D+EF 300mm F2.8L IS USMの場合も、ちょっとだけ焦点距離が長いかナ、みたいな。これはサンニッパをサンニッパとして使った(EOS 5D+EF300mm F2.8L IS USM)ことからの印象だが、35mm版換算の焦点距離が450mmとか480mmとかだと、やや望遠過ぎで微妙に使いにくいかもしれない。
35mm判換算の焦点距離が300mmだと、遠くの被写体を撮っても、近くの被写体を撮っても、わりあい違和感がない。焦点距離的に汎用性が高いように感じる。だが、それ以上だと、遠くの被写体を撮るためのレンズという印象が強くなる。まあ、使う人の感覚の問題ではあるのだが。
というわけで、なんかαレンズシリーズの200mm単焦点もしくは200mmを含むズームレンズに対し、急に興味が出てきちゃった俺である。もしかしたらAFアポテレズーム 70-200mm F2.8G(D) SSMとかってスゲくイイのかもしんない。ニーニッパとかって単焦点は……αレンズにはないんですな、やっぱし。
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即席(←イマイチな三脚等々)機材で月を撮影。けっこーしっかり写っとりますがな
3,008×2,000 / 1/80秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 1,800mm
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さて、本連載は今回で終了となるが、ここでちょいと蛇足を。
実は今回、単焦点望遠レンズ特集!! とか思って、ハイスピードAFアポテレ 600mm F4Gも借りてみた。ナンと100万円もするレンズなんダ!! でも貸してくれたヨ!! ところが時間および天候および体力の都合で、ハイスピードAFアポテレ 600mm F4G使って太陽の下での撮影ができなかったっす(泣)。
けど、AF 2×テレコンバーター アポ (D)も借りていた(前述)ので、装着すると、600mmのレンズが1,200mm相当に!! これをα Sweetに装着すると1,200×1.5で1,800mm!! ということは!! 月をだいたい画面一杯に撮れる焦点距離!! ということで月を撮影してみた。
というだけの話であった。ね、蛇足だったでしょ。
なお、今回のサンニッパで2種類のテレコンバータも使ったが、今の時代はテレコン使っても画質落ちたりしないんですな。元のレンズがイイから? 純正だから? 眉唾でテレコンを見ていた俺の目から鱗がポロポロと剥落させつつ、この辺で連載を終了したい。
ご愛読ありがとうございました。
■ URL
コニカミノルタ
http://konicaminolta.jp/
製品情報(α Sweet DIGITAL)
http://konicaminolta.jp/products/consumer/digital_camera/a_sweet_digital/
製品情報(AFアポテレ 300mm F2.8G(D) SSM)
http://konicaminolta.jp/products/consumer/a-lens/g-lens/ssm300.html
レンズ交換式デジタルカメラ機種別記事リンク集(α Sweet DIGITAL)
http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/dslr.htm#a_sweet
気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー
http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm
( スタパ齋藤 )
2005/10/26 00:26
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