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松下電器 LUMIX DMC-LX1【第3回】
「ハイビジョンフォトペーパー」で16:9プリントにチャレンジ

Reported by 中村 文夫


手前が「ハイビジョンサイズフォトペーパー」。20枚入りでオープンプライス。実勢価格は850円前後
 ハイビジョンテレビで撮影画像を楽しんだ次はプリントだ。エプソンの新プリンタがハイビジョンサイズのプリントに対応しているということなので、インクジェット複合機の「PM-A890」を借用。16:9でのプリントに挑戦した。

 エプソンが発売している「ハイビジョンサイズフォトペーパー」は、102×181mmの1種類のみ。89×127mmのL判に比べると短辺がやや長く、16:9の比率に合わせて長辺も引き伸ばされている。紙質は「写真用紙・光沢」より少し薄いタイプて、200枚入りパックで売られている「写真用紙・光沢EG」などと同じと考えられる。エプソンはプリンタの発売に合わせて、光沢感と透明感に優れた新製品「クリスピア・高光沢」を発売したが、なぜかハイビジョンサイズの用紙はラインナップされていない。何か不都合な理由でもあるのだろうか?

 とにかく、このペーパーをプリンタにセット。PC上で画像を開きページ設定の画面で「ハイビジョンサイズ」を選択するだけで、あっけないほど簡単にプリントできる。キャプチャ画面を見ればわかる通り、プリントはフチありとフチなしの選択が可能。とりあえず両方の設定でプリントをしてみる。

 印刷設定はデフォルト。プリンタが動き出し、用紙が排出されるまで約1分かかった。このレポートの目的はプリンタのテストではないので、色再現や画質について詳しく述べないが、プリントの色合いはモニター上の画像にかなり近い。


プリントに使用したエプソンPM-A890 ハイビジョンサイズ(上)とL判のペーパー 用紙設定画面。ハイビジョンサイズはフチありとフチなしを選ぶことができる。ハイビジョンサイズの項目は、今のところ1種類しか表示されない

 2種類の用紙サイズでプリントした結果、フチありの設定では、画像がほぼ100%プリントされたのに対し、フチなしでは上下左右それぞれ3mm(プリント上のサイズ)程度がカットされて出力された。ここで印刷設定画面に「はみ出し量設定」という項目があることに気が付いた。ここではみ出し量を「より少なく」に設定すれば、フチなしでも画面がカットされずに済む。

 ただし、この場合、わずかに白フチで出ることがある。もちろんLX1のハイビジョンサイズをフルに楽しむには、できるだけ画面はカットされないほうがよい。後で白フチをカッターで切る作業が必要になるが、作品を大事にするならば、「はみ出し量」の調整は大いに利用すべきだろう。


フチありとフチなしでプリント。フチありは画面のほぼ100%がプリントされたが、フチなしは上下左右とも約3mm程度トリミングされた 印刷に使用したデータ。3,840×2,160 / 1/100秒 / F4 / 0EV / ISO80 / 焦点距離28mm(35mm判換算)

「はみ出し量設定」で「少ない」、「より少ない」を選ぶと、画像があまりカットされない 「はみ出し量設定」で「より少ない」を選択。このとき、ほんの少しだけ余白出ることがある。この例では用紙がわずかに傾いていたため、斜めに余白が出た

 なおPM-A890なら、PCを介さずにカードスロットからのダイレクトプリントも可能。その場合、液晶モニターでプリント設定を「ハイビジョン」にすれば、ハイビジョンフォトペーパーにあったプリントが得られる。

 次にL判の用紙で実験することにした。設定はハイビジョンサイズのときとまったく同じ。プリントに要した時間は30秒弱とハイビジョンサイズの半分以下だった。用紙サイズの短辺で13mm、長辺で54mmしか違わないが、こんなに印刷時間の差が出るとは思わなかった。L判プリントの高速化をアピールした新シリーズの一製品だけある。


L判でプリント。マッキントッシュに標準装備の「プレビュー」というソフトを使用したところ、画面の上部に幅の広い余白ができてしまった
 フチありとフチなしで印刷範囲を比べた結果はハイビジョンサイズのときと同じで、フチなしでは、画面の周辺部が少しカットされてしまう。やはりフチなしのときは「はみ出し量」の調整が必要である。

 意外だったのは、用紙の上部に幅の広い白フチができてしまったこと。今回のプリントにはMac OSに標準装備の「プレビュー」というソフトを使用したが、どう考えても不自然だ。いろいろと設定を変えて試してみたが、結局下側に余白を作ることはできなかった。

 気を取り直して、LX1に添付されていた「PhotoImpression5」というビューアーソフトをインストール。ハイビジョンサイズ以外のペーパーではデフォルトの設定だと画像の左右がカットされ天地いっぱいにプリントされるが、ページレイアウトの設定でカスタム印刷を選ぶと上下の白フチを同じ幅にできる。とりあえず問題は解決したが、やはり紙の余白が気に掛かる。


LX1付属の「PhotoImpression5」のページレイアウト設定なら上下の余白を同じ幅にできる 「PhotoImpression5」でページレイアウト設定をカスタム印刷でプリント。上下の余白が同じになった

 そこでニコンの「Nikon View 6」に、撮影データの印字機能があったことを思い出した。何とか余白を撮影データのスペースに利用することができないだろうか。とにかく実験してみたところ、デフォルトでは画面の横にデータがタテに印字され、さらに無駄が増えてしまう。試行錯誤ついでにいろいろ試した末、印刷方向を90度回転させると画面の下に印字できることを遂に発見。この方法を利用すれば、L判の用紙に16:9のフル画面と撮影データが無駄なくプリントできる。

 さらにこの方法はA4判の用紙にも応用可能。今のところエプソンは大きなサイズのハイビジョン用紙を発売していないので、A4判の紙にLX1の画像を印刷すると、大きな無駄が出てしまうが、データの印刷に利用すれば少しは気が紛れるというもの。大きなサイズの16:9ペーパーが発売されるまで、この設定でプリントするのが、いちばん無駄の出ない方法といえるだろう。

 だがこの方法も、ニコンのソフトを松下電器のカメラに流用しているので、Exif情報が完全に表示されないという問題がある。どこかこれを解決したプリントソフトを作ってくれないだろうか。


情報印字をONにした「Nikon View 6」の印刷設定画面。デフォルトだとデータが画面の横に印字されてしまう Nikon ViewのデフォルトでプリントしたL判プリント

印刷方向を90度回転させた印刷設定画面 左の設定でA4判にプリント。画面下にデータを印字することができた

印字データ部分を拡大。ホワイトバランスとISO感度がブランクになってしまった


URL
  松下電器
  http://panasonic.co.jp/
  製品情報(DMC-LX1)
  http://panasonic.jp/dc/lx1/
  製品情報(PM-A890)
  http://www.i-love-epson.co.jp/products/colorio/printer/pma890/
  製品情報(ハイビジョンサイズフォトペーパー)
  http://www.i-love-epson.co.jp/products/supply/shoumouhin/paper/ink_jet/photo_gloss.html#05
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  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm

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( 中村 文夫 )
2005/10/21 14:32
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