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コニカミノルタ α Sweet DIGITAL【第9回】
魚眼とマクロ、2本の単焦点レンズ

Reported by スタパ齋藤


 一眼レフカメラを手に入れ、その機能や使用感を気に入れると、俄然新たな交換レンズが欲しくなるのは、拙者も皆様方と同様である。俺的にはかなり気に入れている「α Sweet DIGITAL」(以下、α Sweet)の場合もそうで、コニカミノルタのWebサイトを見ては、んーこのレンズも良さそうだなぁと物欲汗を流している。

 とか言いつつ、既に交換レンズを何本か買っている拙者。本連載で前回レポートしたAF DTズーム 11-18mm F4.5-5.6(D)もそうだが、それとは別に思わず衝動買いしたレンズとして、対角魚眼レンズのAFフィッシュアイ 16mm F2.8がある。もう1本、マクロレンズのAFマクロ 50mm F2.8(D)も(←こっちはわりと冷静買い)。

 で、まずAFフィッシュアイ 16mm F2.8だが、これはマジ純粋な衝動買いであり、また、結論だけ言っちゃえばα Sweetにおけるオイシさはイマイチであった。

 昔からの体質&癖で、一眼レフ買ったら魚眼だろやっぱ!! みたいなのがある俺。魚眼レンズは、レンズ越しの光景を覗いているだけで楽しい。思いっきり非日常。遠近感ド強調。しかも、当然だが超広角。一眼レフをさらに楽しめる(遊べる!?)レンズだと感じる。

 だが、α Sweetにこの16mmレンズを付けると、焦点距離(画角)が24mm相当となる。広角レンズとして考えるとAF DTズーム 11-18mm F4.5-5.6(D)よりも狭い範囲しか写らない。また、魚眼レンズの醍醐味である歪曲しまくりの光景も……やや中途半端になる。


AFフィッシュアイ 16mm F2.8 AFマクロ 50mm F2.8(D)

※作例のリンク先は、撮影した画像データそのものです(ファイル名のみ変更してあります)。クリックすると撮影した画像が別ウィンドウで表示されます。

※キャプション内の撮影データは、使用レンズ / 画像解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/焦点距離(35mm判換算)です。


ていうか悪条件下での撮影なんで、このレンズ本来の画質は出ていないと思う。ともあれ、ちょっとタル型歪みが強過ぎの広角レンズって感じで、α Sweetでは対角魚眼レンズの楽しさを味わえなかった
16mm F2.8 / 3,008×2,000 / 1/30秒 / F2.8 / 0EV / ISO400 / 24mm
こちらも、歪みがよく目立っちゃう広角レンズというイメージ。α Sweetではなく、銀塩のαシリーズ一眼レフカメラに装着すると、恐らくスゲく楽しいレンズだと思うのだが……
16mm F2.8 / 3,008×2,000 / 1/15秒 / F2.8 / -0.7EV / ISO800 / 24mm

街中でのスナップ。わりと絞り込んだが、ややソフトな描写かもしれない。ただ、収差やフレア(太陽は画面のすぐ左上っス)も気にならないし、レンズ自体は高性能なよーな気がする
16mm F2.8 / 3,008×2,000 / 1/400秒 / F11 / 0EV / ISO100 / 24mm

 ま、本来は銀塩のαシリーズAF一眼レフカメラ用に作られたレンズであり、α Sweetだとレンズの一部の性能しか生かしていないということでしょーがないのだが、α SweetではAFフィッシュアイ 16mm F2.8の持ち味を堪能することはできなかった感じ。んー、衝動買いって怖いですね~。

 もう一本のAFマクロ 50mm F2.8(D)だが、こっちはかなり楽しめる。し、画質的にもそーとーイイ感じであった。てなわけで今回はAFマクロ 50mm F2.8(D)を中心にレポートしてみたい。


デジタル一眼だとマクロレンズに悩みません?

 マクロレンズは、近くにある被写体に近づいて、その被写体のディテールをよーく写せるように設計されたレンズだ。虫や花を接写するのに好都合な最近接撮影距離(合焦する範囲で被写体に最もカメラを近づけられる距離)があり、またそういう撮影をした場合にレンズ性能がよく発揮されるように作られている。

 でも今時的なマクロレンズは、総じて遠景撮影時の描写も良かったりするので、わしの場合は標準~お手軽ポートレイト用としてけっこー好んで使っちゃう。超近づいても撮れるしフツーのレンズとしても実用的な、1本で2役のレンズとして魅力的ってわけだ。

 しかし、悩むのがその焦点距離。銀塩一眼レフを多用していた頃は、いつもだいたい90mm前後のマクロレンズを使っていた。どちらかと言えば“マクロレンズ付けた時は接写!!”みたいな勢いだったので。だが、50mm前後のマクロレンズには、いわゆる標準レンズでもあってマクロレンズでもあるという魅力がある。ん~、どっちにしようかな~50mmマクロか100mmマクロか、みたいに悩んだものだ。

 ただ、α Sweetやほかの一般的なデジタル一眼レフカメラの場合は、悩み方が少々異なる。焦点距離がレンズ表記の1.5倍程度になるボディが大半なので、例えば50mmマクロでも実質75mmくらいの画角になる。100mmだと150mmに。こうなると、どちらを選んでも、標準レンズ的に使うというイメージが薄れる。

 コニカミノルタからは、マクロレンズが計4本発売されているが、俺のターゲットはAFマクロ 50mm F2.8(D)もしくはAFマクロ 100mm F2.8(D)。焦点距離的にも価格的にも(つーか後者がやや大きいかも)、この2本のどちらかを選びたい。

 一応50mmを標準的な焦点距離として考ると、α Sweetに装着した場合は、AFマクロ 50mm F2.8(D)が75mm(35mm判換算)、AFマクロ 100mm F2.8(D)が150mm(35mm判換算)となる。前者は50mmマクロと90mmマクロの間くらい──接写も風景写真もイケそうで、後者は90mmや100mmのマクロより画角が狭い──あるいはポートレイト向けに便利かもしれない、と迷う。

 そこでうっかり発生したのが、俺のコンパクト欲。オリンパスOMシリーズユーザーなんで、一眼レフだって小さく軽く扱えたほーがイイ!! と考え、単にレンズのサイズで決めた。しかもこっちのほーが安いし!! と悩んだわりには打算的な論拠でサクッと購入した。


まずまず使える75mmという画角

 まず50mmレンズで、次に28mmか35mmで、その次は100mm前後のマクロや135mmで、てな感じでレンズを揃えていた世代(!?)の者として言えば、AFマクロ 50mm F2.8(D)をα Sweetに装着した時に得られる75mmという焦点距離(画角)には、やや戸惑った。風景を撮るにはちょっと狭いし、風景の一部をトリミングする感覚だと何だか広い。

 が、持ち歩いて使っているうちに、その距離感っつーか画角感に慣れた。長年の画角感覚だから一朝一夕じゃ抜けねぇだろ、とか思っていたのだが、半日でアッサリ慣れるモンですな。

 そう感じると、このAFマクロ 50mm F2.8(D)がけっこー汎用的な画角を持つレンズだと思えてきた。風景を撮るために街をウロつくには少々物足りないものの、風景の中の一部や静物に注目して歩くには、いろいろ愉快な視点をもたらしてくれるレンズだと感じる。


お散歩感覚で1枚。都会の道しるべはずいぶん豪勢なんだなぁ、とかいうお上りさん気分でのお散歩撮りですな。風景全体を撮るのにはあまり向かないが、興味深い一部を撮るレンズとしては便利な画角だ
50mm F2.8 / 3,008×2,000 / 1/800秒 / F2.8 / -0.7EV / ISO100 / 75mm
マクロレンズなので、被写体に20cmとか(α Sweetだともう少々近く!?)まで寄れる。見慣れた風景の中に新たな発見ができたりするのは、マクロレンズ(や望遠レンズ)特有の魅力かもしれない
50mm F2.8 / 3,008×2,000 / 1/800秒 / F4.5 / -0.7EV / ISO100 / 75mm

 前述のとおり、マクロレンズは(画角云々は別として)一般撮影から接写までを一本で楽しめる点も楽しい。本来は接写のためのレンズではあるが、普段はその焦点距離なりの風景を撮るレンズとして使い、あっ!! と興味深い被写体をミクロな観点で発見したら、それをクローズアップして撮影できる。

 下の3枚は、それぞれ被写体(謎の白テープ)までの距離を変えて撮影。わかりやすいように、全て白テープに合焦させたが、1枚目を信号に、2枚目をテープに、などと合焦させると、マクロレンズの汎用性がわかる。また、3枚目の写真は立ち位置上テープに寄り切れなかったが、画面一杯にテープを入れて合焦させることもできる。


50mm F2.8 / 3,008×2,000 / 1/640秒 / F8 / +0.7EV / ISO100 / 75mm 50mm F2.8 / 3,008×2,000 / 1/640秒 / F8 / +0.7EV / ISO100 / 75mm 50mm F2.8 / 3,008×2,000 / 1/640秒 / F8 / +0.7EV / ISO100 / 75mm

風景撮影も接写も高解像感!!

 あるいはその焦点距離に馴染みがないという人でも、慣れてしまえばけっこー汎用的に使えちゃうじゃんこのレンズと思えたりするAFマクロ 50mm F2.8(D)。

 本音を言えば、後述する解像感の高さから、ぜひαデジタルシリーズ向けに、30mm前後の単焦点マクロレンズを出して欲しいと思う。33mmとかですか? 同時に60mmくらいの単焦点レンズも!! コニカミノルタ的にはやっぱ66mmとかなんでしょうか? ともあれ、デジ一眼用にさらに気分良く使える単焦点マクロレンズを出して欲しいなぁ、と。

 そう思わせるのは、AFマクロ 50mm F2.8(D)で撮った時の画質である。コニカミノルタの高品位ズームとかってほぼ経験ナイんで堂々とは言えないが、この描写力はやはり単焦点レンズならではのものなのかもしれない。


デジタルカメラおよびそのレンズが苦手としがちな被写体だと思うのだが、中央から隅々までしっかりした解像感がある。収差もほとんど見えてこない感じ
50mm F2.8 / 3,008×2,000 / 1/500秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / 75mm
ややシットリとした描写だが、露出を変えるとコントラストもけっこー変わってくる。デジタルゆえの特質か!? ともあれ、ズームレンズとかと比べちゃうと、ホントに同じボディ!? と思えるくらい画質が違う気が
50mm F2.8 / 3,008×2,000 / 1/400秒 / F11 / 0EV / ISO100 / 75mm

非常にテキトーに撮った1枚。レンズの一部しか活用しない(!?)α Sweetなので、描写性能的にオイシイのかもしれない。細部までよく描写されている
50mm F2.8 / 3,008×2,000 / 1/125秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 75mm
あとこのレンズ、ボケ味もイイ感じであった。主な被写体はシャープに写り、アウトフォーカス部は柔らかく自然。花とか撮っても楽しいっスよ
50mm F2.8 / 3,008×2,000 / 1/250秒 / F2.8 / -0.7 / ISO100 / 75mm

 他のデジタル一眼レフカメラでもそうだが、フツー的価格のズームレンズも十分高画質だし、何しろ便利だ。が、それと同じ価格帯程度もしくはちょっぴり上の価格帯とかの単焦点レンズを使うと、いつも“やっぱ単焦点ってステキ”とか思ってしまう拙者。描写性能においては、やはり単焦点のほーがイケてると言えよう。

 でもアレなんですってね、単焦点って売れないらしい。ズームレンズは便利、って真正面から思っている人だけではなく、レンズって付いてりゃイイんでしょてなライト感覚の人も「どーせなら見える範囲が変わるズームとかいうのを」とズームレンズを買うんだそうで。とりわけ、イベントや行楽や旅行があるから、とりあえずデジタル一眼レフカメラを、てな消費者はきっとやっぱりズームレンズなんだそうだ。


楽しい接写に満足する拙者

 ↑ってマクロレンズなのに接写が全然ありませんな。てなわけで、お散歩中に見つけた被写体を接写してみた。


以降の花を撮ったのはこんな場所。有名な庭園で、周囲は排ガスけっこーアリの都心部だったりする
50mm F2.8 / 3,008×2,000 / 1/320秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / 75mm
マクロレンズなので、当然、このよーな近接撮影が可能だ。絞り値は低いが、合焦部の解像感は非常に高い
50mm F2.8 / 3,008×2,000 / 1/1,250秒 / F4 / -0.7EV / ISO100 / 75mm

このレンズで色の強い被写体を撮ると、全体的に深みがある落ち着いた色になるような気がする
50mm F2.8 / 3,008×2,000 / 1/800秒 / F5 / -0.7EV / ISO100 / 75mm
35mm判換算で75mmという焦点距離は、50mm相当のレンズではやや行いにくいフレーミングもラクだ
50mm F2.8 / 3,008×2,000 / 1/640秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / 75mm

 接写をするとレンズ性能大発揮!! てな感じのAFマクロ 50mm F2.8(D)ですな。またこのレンズの場合、少し深みがあって落ち着いた色が出るようだ。前出のビルの写真にもそう感じた。いわゆる現像処理がナチュラル指向のα Sweetとは、かなりよくマッチするマクロレンズだと思う。

 Anti-Shakeこと手ブレ補正機構に関し、今回の撮影においては十分な光量があったこと、それからわりあい浅めに絞り値を設定しているので、あまり効果を発揮しなかったように思う。ちなみに、絞りを浅めにした=シャッター速度を稼いだのは、やや風があったから。カメラ側に手ブレ補正機構があっても、被写体ブレしちゃったら元も子もないというわけだ。

 でも、こういう焦点距離のレンズで接写をした場合、絞り込んだからと言っても被写体全体に合焦して見えるというわけでもない。マクロレンズで近接撮影した場合、被写界深度が極めて浅くなるので、厚みや奥行きのある被写体では合焦して見える範囲には限界があるのだ。でもまあ、逆に背景を整理したいケースが多いとは思うんで、その点では便利なんスけどね。

 てなわけでAFマクロ 50mm F2.8(D)、α Sweetに装着すると35mm判換算で75mmになってしまう、という点に納得できるなら、汎用性も性能も高い1本になりそうだ。



URL
  コニカミノルタ
  http://konicaminolta.jp/
  製品情報(α Sweet DIGITAL)
  http://konicaminolta.jp/products/consumer/digital_camera/a_sweet_digital/
  レンズ交換式デジタルカメラ機種別記事リンク集(α Sweet DIGITAL)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/dslr.htm#a_sweet
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( スタパ齋藤 )
2005/10/19 00:42
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