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コニカミノルタ α Sweet DIGITAL【第8回】
超広角レンズで夜景撮影

Reported by スタパ齋藤


 昔から写真を撮るのが好きな俺だが、デジタルカメラを使うようになってから、より楽しくなった撮影シチュエーションがある。それは、夜景だ。

 銀塩カメラを多用していた頃も、夜景を撮るのは好きだった。けれども、結局、夜景って難しいっス。そして、高い確率で興奮と失敗のギャップを味わい、凹んだりした。

 要は、夜景撮影って基本的に露出決定が難しい。暗そうに見えて明るくて、明るそうに見えて暗い夜の風景。撮影には不向きの暗さと思い込んでいた路地が意外に明るかったり。撮影向きっぽいよーな気がする国道沿いがけっこー暗かったり。銀塩カメラで撮影し慣れている人でも「まぁこんなモンだろう」と昼間の感覚で露出を決めたりすると、大失敗したりする。逆に、何となく撮った1枚が、ビシッと決まった夜景写真になったりもする。

 露出感覚を掴みにくい夜景なので、うまく撮るにはそーとーな慣れが必要だと感じる。でも、雑誌やポスターのキレイな夜景写真を見ると、試してみたくなる。で、トライ。すると、上記のような理由もあり、失敗しがち。

 せっかく見つけたナイス夜景シチュエーション下で、気合入れてバシバシ撮る。やや興奮状態だったりもする。で、数時間~数日後、できあがりのフィルムなりプリントなりを見ると……言わずもがなのヘンな写真。暗すぎたり明るすぎたり、印象とは全然違う写真となっていたりで、あぁ神はなぜワタクシに夜景撮影技術をお与えにならなかったのか、と。とてもとてもヘコむわけですな。

 ちょっと話が逸れるが、銀塩カメラ時代には「写真って苦手」という人が非常に多かったようだ。ソレって恐らく、見た風景と撮れた風景のギャップにヘコんだからそーゆー気持ちになっちゃったんだと思う。目の前の美しい光景を、ワタシが撮ったら……こんなんだもんなぁ、写真なんてヤだなぁ、みたいな。

 さておき、デジタルカメラ時代(!?)となって、夜景も昼間の風景も、より容易に撮れるようになった。何しろ撮った直後に、どう撮れたのかを確認できる。失敗してたら即削除。露出補正するなりして再トライ。ほんの少し時間をかければ、必ずや思い通りの写真を撮れるのだ。そういう意味で、デジカメで撮る夜景写真が大好きになった拙者。

 てなわけで今回は「α Sweet DIGITAL」(以下、α Sweet)を片手に、神奈川県は横浜市(みなとみらい周辺)へ夜景を撮影しに出かけた。レンズは前回レポートしたAF DTズーム 11-18mm F4.5-5.6(D)。夜の横浜を超広角ズームレンズで撮るゼ!! と。


平日・夜の横浜を撮ってみた

 いや~横浜ってキレイっスねぇ。夜景もキレイだけど、昼間見ると道路とか建物とかも。思わず撮影よして賃貸物件探そうかと思いましたよええマジで。

 さておき、夜の横浜の名所っぽいトコロを適当に散策しつつ、何となく目に入った被写体の前に三脚を立てて撮ってた。あ、α Sweetの手ブレ補正機構ことAnti-Shakeは、夕景~夜景あたりでもよく手ブレを抑えてくれるとは感じるのだが、今回はAnti-ShakeをOFFにして使用した。てのは、レンズをやや絞り込みつつ、1秒前後かそれより遅いシャッター速度での長時間露光を行なうつもりだったからだ。さすがのAnti-Shakeでも、1秒の露光を手持ちじゃぁ……ブレますよね。

 やや絞り込みたいカモと思った理由は、夜景ってやっぱ光源が多々あるわけで、いわばプチ太陽がいっぱい状態。そんな場合は絞ったほうが、光源とレンズの絞りが作り出す像───光源から四方八方にピカーッて出る線がクリアでキレイに出ると思ったからだ。

 それから、ホワイトバランスは全て太陽光に統一した。夜景撮影におけるホワイトバランスには、好きずきもあると思うが、いろいろな人工光源の色のクセが出まくる太陽光の設定がおもしろいと思う。蛍光灯や水銀灯の独自の色を強調する場合はホワイトバランスをタングステン光にするなどの手法もあるが、今回はそこまでこだわっていないので、いろいろな人工光源の色をそれなりに楽しめる太陽光に設定した。

 とか細かいコトはさておいて、以下に撮ってきた写真をば。


※作例のリンク先は、撮影した画像データそのものです(ファイル名のみ変更してあります)。クリックすると撮影した画像が別ウィンドウで表示されます。

※キャプション内の撮影データは、画像解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/焦点距離(35mm判換算)です。すべてノイズリダクションONで撮影しています。


横浜赤レンガ倉庫。ライトアップされており、夜になると人通りも減り、格好の被写体かもしんない
3,008×2,000 / 4秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / 16mm
日本丸前から。ランドマークタワーの膝元に位置する公園となっていて、中央に日本丸が停泊(設置!?)しているので、被写体としていろいろな方向から狙える
3,008×2,000 / 1秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO100 / 16mm

コスモクロック21。ベイブリッジと並んで被写体になりまくりの観覧車ですな。夜間もライトアップ&自ら発光しており、どう撮っても夜景っぽくなる被写体のひとつ
3,008×2,000 / 1.6秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 27mm
横浜中華街入り口。夜の中華街は案外静かで、やっぱ昼間に良さげな被写体っつーか街かもしれないなぁとか思った
3,008×2,000 / 2秒 / F11 / 0EV / ISO100 / 16mm

 実はこの時、キヤノンのEOS 5Dを同時に持って行き、同じような被写体を撮っている。EOS 5Dに装着したレンズはEF 16-35mm F2.8L USM。α SweetとEOS 5Dの描写傾向はちょいと違うわけだが、それはさておき(別の機会・媒体で)、双方の画像を比べてみたら、AF DTズーム 11-18mm F4.5-5.6(D)の性能がよりよくわかった気がする。

 点光源の多い夜景で、しかも超広角レンズ、となると気になるのがゴーストだが、AF DTズーム 11-18mm F4.5-5.6(D)ではゴーストがほとんど見えてこない。一方、EF 16-35mm F2.8L USMでは、キレイなんスけどけっこー多めのゴーストが見えたりして。まぁズームレンジも対象としたボディも違う両レンズなので、一概に比較できないが、AF DTズーム 11-18mm F4.5-5.6(D)はα Sweet向けによくチューンされてるレンズなのかも、と感じた。


動く被写体もまた良し

 ベッドタウン~田舎の場合、空気がキレイだったりするので高い位置からの夜景がおもしろい。ちょっと小高い丘か、山腹まで行くと、意外なほどキレイな夜景を拝める。星空もよく見えるので、人工光と自然の光が織りなすその光の世界は、観ても撮っても美しいものだ。

 が、大都会は空気がイマイチであり星空は期待できず、高いところと言えばガラス越しの光景ばかり。実は人工光だけが頼りであり、なんつーかこう、大自然なフィーリングとはやっぱり程遠かったりする。けれど、夜もなお眠らない都会には、人工光源タップリであり、しかも動く人工光源があるから被写体として非常に面白かったりする。


平日の夜8時過ぎなのに営業中なメリーゴーランド。平日なので閑古鳥状態だが、それでも電飾が煌々としている。絞り込まなければ、Anti-Shakeの助けを借りて手持ちでも撮れるだろう
3,008×2,000 / 5秒 / F10 / 0EV / ISO100 / 16mm
平日の夜8時過ぎなのにメリーゴーランドに乗る人が!! てなわけで1枚。自ら光ってかつ動く被写体があると、夜景もずいぶん変わった印象になって愉快
3,008×2,000 / 3.2秒 / F10 / -0.7EV / ISO100 / 18mm

夜景の定番、ヘッドライトやテールランプが見せる光の軌跡入り風景だ。明るく照らされた道路、営業しまくり中のビル、わりと多いクルマ。ベッドタウン~田舎では揃いにくい条件である
3,008×2,000 / 5秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 16mm
前出した中華街の夜景だが、手前を横切る人の姿がスローシャッターにより消えかけている。この写真では効果が薄いが、静止する被写体と動く被写体のギャップが、夜景撮影の面白みのひとつだと思う
3,008×2,000 / 2秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 16mm

 α Sweetでは、1秒以上の露光時間となった場合、自動的に画像へのノイズリダクション処理がなされる(デフォルト)。ノイズリダクションはOFFにすることもできるが、カラー写真の場合はOFFにして7色のノイズを眺めても……特殊なケースを除いてあまり意味がないので通常はONですな。で、ONにした状態では、さすが今時のデジカメ、暗部のノイズはほとんど目立たなくなっている。

 なお、ノイズリダクションをONにしている場合でも、連写や連続ブラケット撮影をした場合、ノイズリダクション処理はなされない。今回の撮影では単写のブラケット撮影を行なったが、この場合は撮影直後にその都度ノイズリダクション処理が行なわれた。ノイズリダクション処理にかかる時間は10数秒程度(最長30秒だそうだ)。ちょい待たされるが、イライラするって感じではなかった。

 ちなみに、一昔前(と言っても3~4年前くらい)は、ノイズリダクション機構を持つデジカメでも、ここまでキレイにノイズ除去してくれなかったと記憶している。ノイズリダクション機構非搭載機だと、ノイズの中に被写体があるってほど盛大にノイズが乗ったものだ。


夜景@デジカメの楽しさ

 話が戻るが、やはりデジタルカメラによる夜景撮影は手軽でよい。

 デジタルカメラの場合、フィルムよりも明暗階調の幅が狭いとか、あるいは暗部にノイズが乗るorそれを強制的に除去した際に画像が平坦になりがちである、などのデメリットっつーか、銀塩カメラとのトレードオフはある。が、やはり、撮影直後に画像を確認でき、その直後により好ましい露出などに調整していけるという点は大きなメリットであり手軽さだ。

 例えば俺の場合、デジカメで夜景を撮った時、昼間の風景よりもずっと多くの枚数を撮ってしまう。夜景って露出の違いでその印象がかな~り大きく変わるので、撮っていてオモシロいってのもあるが、試してみてやっと見えてくるイメージがあったりするからだ。

 下の画像は、露出を変えて撮影した横浜赤レンガ倉庫。左から、暗め、平均的、明るめ、という感じ。


【-0.7EV】
3,008×2,000 / 2.5秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO100 / 16mm
【±0EV】
3,008×2,000 / 4秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / 16mm
【+0.7EV】
3,008×2,000 / 6秒 / F5.6 / +0.7EV / ISO100 / 16mm

 この赤レンガ倉庫の場合、拙者的にはどれも捨てがたい。っつーか捨てなくてもイイんですけどネ。ともあれ、左端は倉庫の重厚感があり夜の雰囲気も出ていてイイ感じ。中央は、わりと多くの人が選びそうな、あまり偏りのない露出。右端は、倉庫自体はやや明るめだが、雲がうっすら見えていて、また別の観点から雰囲気のある1枚になっていると思う。

 下の画像も段階的に露出を変えて撮ったもの。左から、暗め、平均的、明るめ、となる。


【F11】
3,008×2,000 / 1.6秒 / F11 / 0EV / ISO100 / 27mm
【F8】
3,008×2,000 / 1.6秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 27mm
【F5.6】
3,008×2,000 / 1.6秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / 27mm

 上の観覧車の写真は、真ん中のが夜景の露出としてはバランスが良いと思う。が、右端のは、思いっきり夜景っぽいハデさがあり、上空の雲も写っていたりして、ちょっと明るすぎっぽい印象はあるけれど、良好とも言えよう。でも、実際に撮影者の目が感じていたのは左端のもの。けっこー暗いんスよ、ココ。

 下は同じく、露出を変えて撮ったもの。左から、暗め、平均的、明るめ。


【-0.7EV】
3,008×2,000 / 3.2秒 / F10 / -0.7EV / ISO100 /18mm
【±0EV】
3,008×2,000 / 5秒 / F10 / 0EV / ISO100 / 18mm
【+0.7EV】
3,008×2,000 / 8秒 / F10 / +0.7EV / ISO100 / 18mm

 この写真は、全体的に明るく光る被写体(メリーゴーラウンド)が回転しすぎ!! てな印象ではあるが、露出的にまあまあなのは左端か中央だろう。右端のものはメリーゴーランドの光がオーバーになっているかもしれない。けど、個人的に好めたのは右端一枚だ。

 で、何が言いたいかと言えば、銀塩カメラの時代は、そーとーマニアックに撮影をしない限り、とりあえず夜景とりあえずキレイな被写体ってコトで満足していたように思う。あーちゃんと撮れてんじゃん、と。夜景ってキレイだねー、と。昼間の写真なら敢えて口に出さない感想が、夜景写真だと出ちゃったりする。

 なんと言うか、えーと、(撮影者的観点からすれば)かつての夜景写真って、写真が“被写体負け”していたような気がするのだ。衣装に着られちゃってる人と同様、写真が被写体に乗っ取られちゃってるような。

 そういう意味では、とりあえずちゃんと写ってれば「キレイねー」と言われる夜景写真であり比較的容易なシチュエーションとも言える。だが、実は対象をよく見てデッサンするように、レンズを通して被写体を何度も静止画化すると、より撮影者の満足感が高まるのが夜景写真の醍醐味なのかもしれない。と、デジカメを使うようになって理解したような気がしなくもない(銀塩カメラ時代の夜景写真失敗歴多々の)俺であった。

 ともかく、やっぱデジカメ使って、しかもそのデジカメが露出制御自由自在なデジタル一眼レフカメラなら、夜景撮影を楽しまない手はない。



URL
  コニカミノルタ
  http://konicaminolta.jp/
  製品情報(α Sweet DIGITAL)
  http://konicaminolta.jp/products/consumer/digital_camera/a_sweet_digital/
  レンズ交換式デジタルカメラ機種別記事リンク集(α Sweet DIGITAL)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/dslr.htm#a_sweet
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( スタパ齋藤 )
2005/10/12 00:17
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