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ペンタックス *ist DL【第7回】
伝統の「ソフトレンズ」に挑戦

Reported by 安孫子 卓郎


Fソフト85mm F2.8を装着した*ist DL
 ペンタックスといえばソフトレンズ。という想いを抱かれる方も多いのではないだろうか。何十年も前の話だが、筆者も故秋山庄太郎先生の作品にあこがれて、ソフトレンズを購入した口である。40代以降のペンタックスユーザーなら、そんな記憶を共有される方もいらっしゃることだろう。

 秋山先生も愛用していたソフトレンズの定番は、ブローニーサイズ、6×7用の120mm F3.5のソフトレンズだが、あまり近寄れないレンズのため、1.4倍のテレコンなどを併用するのが当時のトレンドだった。APS-C撮像素子の*ist DLで使用すればテレコンなしでも同じくらいになるわけだが、180mm相当とかなり長いレンズになる。よいレンズだが、MFのレンズであるし、今回はもう少し一般的な「FAソフト85mm F2.8」を使用することにした。

 ちなみにペンタックスのHPでソフトレンズを探す場合、デジタル一眼レフカメラのページから「交換レンズ」ページに移動しても見つからない。フイルムカメラのコーナーからページを移動すると、特殊レンズとしてソフトレンズが掲載されている。

 一般的にソフトレンズは、少し絞って使うのが上品でよいとされている。キヤノンやミノルタのように、絞りに関係なくソフト量を調整するタイプもあるが、ペンタックスの場合は開放だと大きくソフトがかかり、F8あたりでソフト量がゼロになる。そこであまり派手にソフトをかけすぎず、F5.6程度で弱くソフトをかけておくのが上品とされている。もちろんケースバイケース、好みで使い分ければよい。

 もうひとつ心得ておくことは、ピントの位置がファインダーの山と「ずれる」こと。ファインダー上でピントがあって見える位置から、少し近距離に補正したあたりが実際のピントの位置になる。

 この「少し」を定量的に表現するのは難しい。これはペンタックスに限ることではなく、キヨハラソフトやベス単、ニコンのおもしろレンズ工房に含まれる「ふわっとソフト90mm F4.8」といったレンズにおいても、筆者の知る限りソフトレンズはみな同じ傾向がある。もちろん、AFで使う分にはそのままカメラの合焦を信じておけばよい。また、フォーカスエイドが使えるならそれを頼りにしてかまわない。

 *ist DLにもフォーカスエイドはあるが、何しろスーパーインポーズがない関係上、どのAFポイントで合っているのかがわからないので、あまり頼りにならない。まあせっかくのAFソフトレンズでもあるから、そのままAFで撮影することにした。ソフトフォーカスなので、多少ピンボケでもわからないといえなくもない。ただし、不自然でないのはあくまでも「ほんの少し甘い」程度。ソフトフォーカスでもやはり、甘いものは甘いのだ。

 下の作例は絞りによるソフト量の変化。なおこのレンズ、*istシリーズでは手動絞りの範囲までは設定した絞り値で撮影できる。

※作例のリンク先は、撮影画像をリネームしたものです。
※作例データのキャプションは、使用レンズ/記録解像度(ピクセル)/露出時間/レンズF値/露出補正値/ISO感度/35mm判換算の焦点距離(35mm判換算、mm)です。


【F2.8】
FAソフト85mm F2.8 / 3,008×2,000 / 1/800秒 / F2.8 / 0 / ISO200 / 127mm
【F4】
FAソフト85mm F2.8 / 3,008×2,000 / 1/400秒 / F4 / 0 / ISO200 / 127mm

【F5.6】
FAソフト85mm F2.8 / 3,008×2,000 / 1/200秒 / F5.6 / 0 / ISO200 / 127mm

 撮影には彼岸花の名所、埼玉県の巾着田を訪れた。彼岸花(曼珠沙華)は、毎年9月の20日頃、彼岸の頃に咲くから彼岸花と呼ばれている。植物は天候、気温、地温などに左右されて開花の時期がずれるものだが、彼岸花は毎年きまって9月20日頃に咲く。一説によれば日照時間で開花の時期を判断しているといわれるが、はっきりした定説はないようだ。

 今回訪れたのは9月9日。早すぎるのはわかっていたが、題材としてコスモスもあればと踏んでの選択だ。しかしコスモスはまったく咲いてなく、彼岸花も1カ所だけ咲いていたのみ。ほかは茎も伸びておらず、だいぶ遅れているように見受けられた。一応の開花予想は9月20日頃となっており、おそらく見ごろは23日からだろう。

 実は*ist Dや*ist DSでもこのレンズを使ったことがある。同じ被写体ではないので厳密な比較ではないが、*ist DLに至るまで、ソフトフォーカスの階調表現は次第に向上しているように感じられた。たとえば、*ist Dではソフトのにじみに大きな段差ができる。それが*ist DSではだいぶ改善し、良くなっている印象を受けた。

 今回*ist DLで撮影してみたところでは、F2.8の大きなソフトフォーカスでも描写はきれい。ラチチュードそのものは変わっていないようで、白飛びするところは飛んでしまうことに変わりはないが、その範囲内での階調表現は、向上しているように感じられた。


かろうじて咲いていたヤブラン。ソフトフォーカスは階調性の善し悪しがはっきりするので、最低感度のISO200で撮影
FAソフト85mm F2.8 / 3,008×2,000 / 1/15秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO200 / 127mm
こちらは萩。林の渕に作られた花壇で。可憐な花だが、主題にするポイントが絞りにくく、またしおれた花も混じるのでなかなか撮りにくい。できるだけシンプルな構成の枝を選んで撮影
FAソフト85mm F2.8 / 3,008×2,000 / 1/50秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO200 / 127mm

近景ばかりでは何なので、少し離れた被写体を参考までに撮影。焦点距離が1.5倍相当になる*ist DLでは、風景などでは長すぎて使いにくい。ペンタックスには28mmのソフトレンズもあるので、風景ならそちらが好適だろう
FAソフト85mm F2.8 / 3,008×2,000 / 1/200秒 / F5.6 / 0 / ISO200 / 127mm

 これが1カ所だけ咲いていた彼岸花だ。左はF2.8のソフト最大状態。一般的に赤い花はマイナス補正をかけるが、ソフトフォーカスの場合はややオーバー目のほうがきれいになることが多い。そこで露出補正をしなしでややオーバー目にしてみた。右はF5.6。-0.3EVの補正をかけている。ソフトフォーカスの露出決定は大変難しく、ブラケットで撮るのがお奨め。RAW現像での簡易露出補正をする場合、ソフトレンズだと階調性が悪くなる可能性もあるため、RAWでもブラケットしておくほうがベストだろう。


FAソフト85mm F2.8 / 3,008×2,000 / 1/250秒 / F2.8 / 0 / ISO200 / 127mm FAソフト85mm F2.8 / 3,008×2,000 / 1/60秒 / F5.6 / -0.3 / ISO200 / 127mm

 花が少なかったので、代わりにソフトなトンボでもごらんいただこう。トンボの多い場所だが、彼岸花のシーズンは大混雑になるのでトンボ狙いの人は注意。


FAソフト85mm F2.8 / 3,008×2,000 / 1/125秒 / F5.6 / +0.3 / ISO200 / 127mm FAソフト85mm F2.8 / 3,008×2,000 / 1/100秒 / F5.6 / 0 / ISO200 / 127mm

FAソフト85mm F2.8 / 3,008×2,000 / 1/400秒 / F2.8 / 0 / ISO200 / 127mm FAソフト85mm F2.8 / 3,008×2,000 / 1/160秒 / F5.6 / 0 / ISO200 / 127mm


URL
  ペンタックス
  http://www.pentax.co.jp/
  製品情報(*ist DL)
  http://www.digital.pentax.co.jp/ja/35mm/ist-dl/
  製品情報(FAソフト 85mm F2.8)
  http://www.pentax.co.jp/japan/products/filmcamera/lens/index35_special.html#02
  レンズ交換式デジタルカメラ機種別記事リンク集(*ist DL)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/dslr.htm#istdl
  ひだか巾着田
  http://www.kinchakuda.com/


( 安孫子 卓郎 )
2005/09/16 00:59
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