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ペンタックス *ist DL【第6回】
100mmマクロで榛名山のユウスゲを撮る

Reported by 安孫子 卓郎


D FAマクロ 100mm F2.8を装着した*ist DL
 *ist DLにマクロレンズの「smc PENTAX D FA 100mm F2.8」をつけ、晩夏の榛名山へ出かけた。ちなみにsmc PENTAXとは独自のマルチコーティングを施したペンタックスレンズの商標で、SMCタクマーという名で登場した当時は画期的なものだった。

 榛名山は、東京・練馬から関越自動車道にのり、約90kmほどの高崎インターで降り、そこから1時間以下で到着する。榛名湖の湖畔など駐車場もあり、楽して「ネイチャーできる」場所である。今回はユウスゲの道と呼ばれる辺りを主に散策した。元々は湿原で見事なお花畑だったとのことだが、乾燥化が進み、ススキが増えて花が減ったそうだ。乾燥化が進むと地面が露出するので、木道からはずれて踏み込む人が増え、道ができ、さらに乾燥が進んで湿原が減少する。同じ問題は日本全国で起きているが、ここの自然もかなり危機的状況にあるといえるだろう。


D FAマクロ 100mm F2.8。クイックスシフトフォーカスにも対応する
 さて、天気は「残念ながら」晴れ。今回のメインターゲットは秋の花と蝶だったが、晴れると蝶があちこちに散らばってしまい、数が少なくなる。曇りであればユウスゲの道周辺にたくさんの蝶が集まり、9月にもたくさんの蝶が楽しめるらしい。また花の撮影も、マクロで撮るには曇りか霧雨くらいが望ましい。大きい花なら透過光で撮るすべもあるのだが、マツムシソウを始め、野草は園芸種と違いそれほど大きい花は少ない。というわけで、花だけを撮るにはいまいちの晴天だった。

 *ist DLをAFで使うと、3点あるうちのどのフォーカスポイントに合焦したのかわからず、精密な構図を求めるにはいまいちだ。しかし、マクロ撮影は基本的にMFで行なうため、個人的にはほとんど関係がない。もともとマクロの場合、大きくクローズアップすると花の内側はコントラストが低くてAFが合いにくい。MFだと細く突きだした雌しべの先端にピントを合わせたいなど、狙いもピンポイントになる。

 さらにAFが合焦したとしても、フォーカスロックで構図を整えるとコサイン誤差が起きる。通常の撮影ではごくわずかな差なので問題にならないが、マクロは被写体までの距離が近く、被写界深度も浅いので問題となりやすい。AFポイントでピントがあったら、構図には目をつぶってそのままシャッターを押すか、最初からMFで構図を決めるかのどちらかになる。厳密に撮ろうとすれば、結局はAFをあきらめ、MFが中心となるわけだ。

 MFではファインダーが重要になる。そういう意味では*ist DLのファインダーはなかなか見やすくてよい。とはいえ、終日MFで撮影していたら目が疲れてきたのか、ピントが合わなくなってきた。マクロだから精密なピントが要求されるし、老眼も進んできているので、一日中MFはしんどかった。やはりAFも併用したいのが本音なのだが……。

 ところで、下の2つの写真の花は、白い部分が米粒に似ているからママコナというらしい。左はホワイトバランスをデーライト(*ist DLでは太陽光)、右は日陰にした例。見た目の印象に近いのは太陽光のほうで、日陰は撮影者としては嘘っぽく思える。 ホワイトバランスは白を白として写し、オリジナルの色を再現しようという発想のものだが、夕日が当たれば赤くなり、森の中では緑がかぶる。ネイチャーにおいては、白を白く写しすぎて不自然だと考えているので、*ist DLでも太陽光で撮ることが多いのだ。

※作例のリンク先は、撮影画像をリネームしたものです。
※作例データのキャプションは、使用レンズ/記録解像度(ピクセル)/露出時間/レンズF値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/35mm判での焦点距離(mm)です。


D FA 100mm F2.8 / 3,008×2,000 / 1/125秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO400 / 太陽光 / 100mm D FA 100mm F2.8 / 3,008×2,000 / 1/125秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO400 / 太陽光 / 100mm

直接日差しが当たっていると、花だけ撮影しても絵にならないものだが、虫がいると、結構さまになるから不思議だ。蝶はベニシジミか
D FA 100mm F2.8 / 3,008×2,000 / 1/1,600秒 / F3.2 / 0EV / ISO200 / 太陽光 / 100mm
アキアカネだろうか。背景が暗いので-0.7EVの補正をかけて撮影。アクロバチックだ
D FA 100mm F2.8 / 3,008×2,000 / 1/1,000秒 / F2.8 / -0.7EV / ISO200 / 太陽光 / 100mm

ユウスゲ。木陰に咲いていたため、絶好の狙い目となった。茎の曲がり具合のボケと、木漏れ日のボケを意識しながら、若干マイナスに補正
D FA 100mm F2.8 / 3,008×2,000 / 1/1,000秒 / F2.8 / -0.7EV / ISO200 / 太陽光 / 100mm
羽根の裏の白いCの文字からシータテハというそうだ。100mmマクロは1.5倍で150mm。ネイチャーには便利なのだが、さらに長い望遠ズームがほしいケースも多い
D FA 100mm F2.8 / 3,008×2,000 / 1/250秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / 太陽光 / 100mm

これはクジャク蝶。羽根を閉じていると地味な蝶だが、広げると実に鮮やか。右側にセセリチョウが来たため、威嚇のために羽を広げている
D FA 100mm F2.8 / 3,008×2,000 / 1/500秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / 太陽光 / 100mm
キツリフネ。奥に虫が入っている。このころにはだいぶ疲れて、ピントが合わず苦労した
D FA 100mm F2.8 / 3,008×2,000 / 1/100秒 / F4 / 0EV / ISO400 / 太陽光 / 100mm


URL
  ペンタックス
  http://www.pentax.co.jp/
  製品情報(*ist DL)
  http://www.digital.pentax.co.jp/ja/35mm/ist-dl/
  製品情報(D FAマクロ 100mm F2.8)
  http://www.digital.pentax.co.jp/ja/lens/index35_macro.html#05
  レンズ交換式デジタルカメラ機種別記事リンク集(*ist DL)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/dslr.htm#istdl


( 安孫子 卓郎 )
2005/09/09 01:30
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