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コニカミノルタ α Sweet DIGITAL【第2回】
Anti-Shakeと俺と手ブレ

Reported by スタパ齋藤


 コレってけっこーマニアックなデジ一眼かもしれない。

 そう思いつつ「α Sweet DIGITAL」(以下、α Sweet)をいじくり始めてソノ気になってきたら、既に夜中であった。こ!! これはコニカミノルタ独自の手ブレ補正機構「Anti-Shake」の!! 実力の発揮しどころ!! 撮るしか!!

 コニカミノルタのプレスリリースには、Anti-Shakeは「手ブレしないで撮影可能と言われる「1/焦点距離」秒のシャッタースピードを基準として、シャッタースピード約2~3段分の補正効果が得られる」という。

 例えばAnti-Shakeナシで250mmのレンズを使う場合は、シャッター速度が1/250秒かそれよりも速ければ手ブレせずに撮影可能ということだ。これにAnti-Shakeが加われば、1/250秒から2~3段分シャッター速度が遅くて良いので、1/60秒や1/30秒でも手ブレせずに撮影可能ということになる。

 α Sweetのレンズキットに付属するレンズ「AF DTズーム 18-70mm F3.5-5.6(D)」なら、35mm判換算の焦点距離が約27~105mm。Anti-Shakeナシでも、約1/27~1/105秒より速いシャッター速度なら手ブレせず撮影可能。Anti-Shakeを使えば……広角側だと……まあ1/30秒から計算を始めて、1段で1/15秒、2段で1/8秒、3段で1/4秒となる。素晴らしい!! やっぱ撮るしか!! と意気込んだが、俺ンちの照明はかなり暗めであり、すなわちISO100で何か撮ろうとするとシャッター速度は1秒以上になりがちなのであった。

 余談だが、俺的視点、経験、独断&偏見から正直なトコロを申し上げると、上記の“「1/焦点距離」秒のシャッター速度”の話は、一種の都市伝説と言えよう。ていうかガセネタとも呼べる。あるいは戯言であり絵空事であり、ともかく俺とは関係のない数値である。


 つーかですね、俺のように怠惰な凡人が、例えば250mmのレンズを使った場合、1/500秒くらいのシャッター速度がなきゃぁ怖い。リバーサルフィルムを使って、撮影後に小さなルーペで確認する程度なら、1/250秒くらいでもブレていない(ように見える)が、デジタル一眼だとそうはいかない。何しろディスプレイで等倍以上の拡大表示を見れば、ブレが一発で見えちゃう。

 写真を等倍以上にまで拡大して検査するってコトにあんまり意味はないよーな気もするが、それは横に置いといて、例えば以前、俺史上最高値であったデジ一眼ことキヤノンのEOS-1Ds&300mmのレンズで撮った時、1/300秒より速いシャッター速度でもブレ多発。1/500秒とかでもブレていた。画像ブラウザで画面一杯に縮小表示するとブレがわからないが、等倍拡大表示するとブレてるんですな。明らかに。いやー極端にヘコみましたよあの経験。もう手持ちの全望遠系レンズを手放そうかと。いやそれより写真なんかよしちまおうかと。

 もっとも、百戦錬磨なプロカメラマンの方に言わせても「1/焦点距離(秒)ってよく言うけれども、ソレはあくまでも“可能”ということで、不可能じゃないけれども、厳密にはかなり難しいよ」とのこと。じゃあどうすれば? 「三脚とレリーズを使えばいいんだよ」と。なるほど。ちなみに、あの、やっぱ、1秒とかより遅いシャッター速度で手持ちで撮……「あー無理無理無理!!」と即答。

 あーすいません。相変わらず余談長くて。とにかく、ブレが目立ちにくい広角側で撮るにしても、しかもAnti-Shakeがあるにしても、1秒より長いシャッター速度にトライする勇気などない拙者。α Sweetで初めて撮る写真がブレブレだったりすると本格的に悲惨なので、とりあえず内蔵ストロボによる室内撮影を行なった。


良好な内蔵ストロボ、使えるノイズリダクション

 α Sweetのストロボ動作モードは、通常発光、赤目軽減発光、後幕シンクロ、ワイヤレスフラッシュから選べる。また、コニカミノルタのプログラムフラッシュ用のアクセサリーシューを実装しているので、コニカミノルタのフラッシュシステムを利用できる。

 ただし、例えばプログラムフラッシュ2500(D)を取り付けた場合、内蔵のストロボは持ち上げることができなくなり、使用できない。同じく、フラッシュシューアダプタを取り付けた場合も、内蔵ストロボが持ち上がらなくなるので、使えない。

 さておき、単純に内蔵ストロボを使ってみたんスけど、フツーにノープロブレムなストロボであった。プログラムオート、オートホワイトバランスで何も考えずに撮ってみたら、単純明快に好ましい結果が得られた。


※作例のリンク先は、撮影した画像データそのものです(ファイル名のみ変更してあります)。クリックすると撮影した画像が別ウィンドウで表示されます。

※キャプション内の撮影データは、画像解像度(ピクセル) / 露出時間 / 絞り値(F) / 露出補正値(EV) / ISO感度 / 焦点距離(35mm判換算、mm)です。


ほとんどα Sweetで初めて撮ったと言える写真。光量も適切だし十分精細に解像しているように思う。なお、猫にピントがキてないのは、猫が入っている籠内部が真っ暗でAFが効かなかったため(α Sweetではフラッシュ光を使ったAF補助光を利用できるが、なんか被写体となる動物が好まない強めのビーッていう光なのでオフにしている)。ピントは籠の入り口のエッジに合わせている。また、全体的にちょいと黄色みがかっているのは、拙宅の壁がタバコのヤニで黄色いため&照明が電球色蛍光灯だからと思われる
3,008×2,000 / 1/125(秒) / 5.6 / 0 / 80 / 105
若干後ピン!? な内蔵フラッシュ撮影結果。ただ、AFは非常に優秀で、暗めの状況下でも的確に動作してくれる。例えば新聞を読むにはツラい程度の明るさでも、ビシッとAFが働く
3,008×2,000 / 1/125(秒) / 5.6 / 0 / 80 / 105

 多くの来客に「えー何で部屋こんなに暗くしてんの~?」と言われる拙宅居間で砂漠が故郷の動物を撮ったりしていて「お!!」とか思ったのは、AFの動作だ。暗い場所で(補助光オフにして)もキビキビ動くし、ずいぶん的確に合焦してくれる。暗い上に、ピントをキメたい部分が超低コントラストだったりすると、さすがのAFちゃんも迷うが、そのタフさと精度は「さすが一眼レフ」と感じさせる。

 ストロボに関してちょいと感じたのは、他の多くのデジカメ(一眼もコンパクトも)がそうだが、プリ発光と本発光の間隔が微妙に長めであること。これは、通常の被写体を撮影する場合は何ら問題がないが、やや特殊な被写体を撮る場合、撮影結果に大きな問題を及ぼす。

 その“やや特殊な被写体”とは、ウチのロシアンブルー(猫)である。このコ、ストロボのプリ発光(赤目軽減発光のコトではなくストロボ光量調整のための発光)に敏感で、プリ発光時に目を閉じちゃうんですな。なので、顔をストロボ撮影しようとすると、目を閉じ気味のロシアンブルー写真となりがちなのであった。


内蔵ストロボのプリ発光に目を閉じちゃうロシアンブルー。α Sweetだけでなく、他の多くのデジカメのストロボ撮影でも似たような結果になってしまう。ただ、そうならないデジカメ(のストロボ)もある
3,008×2,000 / 1/60(秒) / 4 / 0 / 100 / 33
こちらはプリ発光に鈍感、というよりもプリ発光だろうが本発光だろうが目なんか閉じないねこ。このアメリカンショートヘアに見えるスコティッシュホールドが目を半開きにしているのは、ただ眠いだけなのだ
3,008×2,000 / 1/125(秒) / 5.6 / 0 / 100 / 90

 α Sweetのレンズキットに付属するAF DTズーム 18-70mm F3.5-5.6(D)で内蔵ストロボ撮影を行なうにおいて、ストロボ光量に関しては特に問題ないと思われた。まあ、さすがに約27mm相当の広角側では画面全体にまんべんなく光が行き渡ってはくれない。説明書には“このカメラの内蔵ストロボはレンズ表記上18mm以上の焦点距離の画角をカバーする”とあるが、実際はカバーしきれてないんですけど。でもガイドナンバー12のストロボ(光量がそんなに多くない)ゆえ、こんなモンでしょう。

 あと、レンズに付属するフードを取り付けたまま内蔵フラッシュで撮影すると、広角側で画面内にレンズフードによる影が出てしまう(この点は説明書にも注意書きがある)。


レンズフードによる影。ちなみに、こちらのねこは内蔵ストロボのプリ発光に鈍感なため、ストロボ撮影をしても瞳孔が開いた目ん玉パッチリの写真が撮れる
3,008×2,000 / 1/60(秒) / 3.5 / 0 / 100 / 27
35mm換算で40mm程度までズームアップすれば、レンズフードを装着したままでも影は出ない
3,008×2,000 / 1/60(秒) / 4.5 / 0 / 100 / 39

 それから、α Sweetでは、1秒よりも長いシャッター速度で撮影した場合はノイズリダクション処理を働かせることができる(無効にすることも可能)。

 また、バルブ撮影なんかもデキたりする。比較的に安価なワイヤードリモコンもあるので、夜景方面撮影にもイイかもしんない。と思い、長時間露光を試してみた。


電球色蛍光灯を光源とし、ホワイトバランスを手動で指定、色補正を多少行ない、25秒の露光で撮ってみた。露光時間から考えれば驚くほどノイズがない。が、被写体の質感がドエラく変わってしまうような違和感もあまりない
3,008×2,000 / 25(秒) / 22 / 0 / 100 / 27
 デジカメで長時間露光をする場合、ノイズ低減の機能はヒジョーに有り難いが、同時に、通常の撮影では見られないような描写をしちまうコトが多い。そのミョーな描写はミョーな描写として愉快だが、極端に人工的な描写になったりして「あからさまなノイズリダクション処理だなぁ」と思わされることもまた事実だ。

 が、α Sweetの場合、そーゆー強烈な違和感はないですな。ノイズリダクション処理でオモシロい写真を撮る、という使い方(!?)には向かないが、暗い場所で静物を自然な印象で撮る──本来の用途として実用的なノイズリダクションかもしれない。α Sweetのノイズリダクションについては、また日を改めてじっくり試してみたい。


ちょっとネムい!? ような気がしなくもなくもなくも……

 とりあえず撮ってみたらイイ感じの結果が出たα Sweet。よぉし太陽光の下でしっかり撮ろう!! と思ったら連続〆切地獄でありかつ台風上陸であったが、台風一過の夕方、ようやく外に出られたので、パパパパッと撮影してみた。


夕方、渋滞中、クルマの中から撮影。ややアンダー気味に撮ったが、光量は十分あり、遅くないシャッター速度と深めの絞り値で撮影した……つもりであった
3,008×2,000 / 1/200(秒) / 10 / -0.7 / 100 / 27
が、ビミョーにボケてるようなブレてるような!? あるいはクルマのエンジンの振動が影響した? 自然と言えば自然っぽい描写だが、もう少しクッキリ感が欲しいカモ
3,008×2,000 / 1/160(秒) / 10 / 0 / 100 / 27

夕方5時過ぎの空。まだシッカリと夏なので、実はそーんなに暗くない。雲を浮かび上がらせようと、アンダー気味にして撮影した
3,008×2,000 / 1/800(秒) / 10 / +0.7 / 100 / 27
のだが、これもまた、微妙にシャキッとしない結果に。先日の内蔵フラッシュ撮影結果と比べると、なんか別のカメラで撮ったみたい。なぜ!?
3,008×2,000 / 1/500(秒) / 10 / -0.7 / 100 / 27

広角側端と望遠側端で撮影。広角側端では、細かい屋根部分にモアレっぽい模様が。また、全体的にボヤケた印象がある
3,008×2,000 / 1/80(秒) / 10 / +0.7 / 100 / 27
望遠側ではしっかりした解像感もあり、屋根各部の材質質感までキッチリ描写しているように思える
3,008×2,000 / 1/160(秒) / 7.1 / 0 / 100 / 105

 期待通りの結果……では、なかった。結論から言えば、前述の室内での内蔵ストロボ撮影の結果と、夕方だけど光量十分の屋外撮影の結果が、どーもずいぶん違う感じ。つーか、その日に屋外で撮影した写真の大半が「ネムいような印象」であった。

 いや、パッと見、良好だとは思うんですよ。色も自然だし。ヘンな言い方をすれば、例えばペンタックスの*ist系のようにメリハリの効いた色は出さず、キヤノンのEOS系のようにクリアさを追求しているふうでもない。ある意味、中庸。好みにもよるわけだが、バランスがいいと思う。けど、クッキリ感やシャッキリさにおいて、すこーし物足りないような……。

 ちなみに、シャープネス等の画質調整系の設定はデフォルトのまま。前述の室内での内蔵ストロボ撮影と同様の設定だ。室内で撮った時は、まあストロボ光によるコントラスト向上もあると思うが、クッキリ感もシャッキリ加減もナイスな印象であった。で、外で撮ったらイキナリ……。この差は何なのだろう!? 何なのかーッ?

 って、まだあんまり枚数撮ってないんであーだこーだ言えないんですけど、ともかく、何だか納得できにくい結果を得ちゃった。ので、今後はそのあたりを意識しつつ、さらにα Sweetで撮りまくってゆきたい!!



URL
  コニカミノルタ
  http://konicaminolta.jp/
  製品情報(α Sweet DIGITAL)
  http://konicaminolta.jp/products/consumer/digital_camera/a_sweet_digital/
  製品情報(プログラムフラッシュ2500(D))
  http://konicaminolta.jp/products/consumer/camera/a-accessories/flash/pf2500/
  フラッシュシステムチャート
  http://konicaminolta.jp/products/consumer/camera/a-accessories/chart/flash/
  レンズ交換式デジタルカメラ機種別記事リンク集(α Sweet DIGITAL)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/dslr.htm#a_sweet

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コニカミノルタ、CCDシフト手ブレ補正搭載入門機「α-Sweet DIGITAL」(2005/07/15)


( スタパ齋藤 )
2005/08/31 00:06
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