デジカメ Watch
最新ニュース

ペンタックス *ist DL【第2回】
手持ちもアリ? な打ち上げ花火撮影

Reported by 安孫子 卓郎


装着レンズはレンズキット付属のDA 18-55mm F3.5-5.6
 暑いから夏なのか、夏だから暑いのか。筆者はこの時期は路上観察はおやすみにして、もっぱら夜のお出かけとなる。夏の夜、となれば花火である。まずは花火撮影の基本をおさらいしよう。

 一つ、ホワイトバランスはデーライト。花火は色がきれいなのである。この色を写したいのだが、オートホワイトバランスにしておくと色が抜ける場合も。他のモードで固定することも考えられるが、基本はデーライト。オートではいけない。

 一つ、感度はできるだけ低く。花火撮影の場合、感度はできる限り低いほうがよい。感度が高いと雲に反射した光や周辺の明かりを拾ったり、花火が重なったときに白とびを起こしやすくなる。

 一つ、露出はマニュアル。ISO200ならF11。ISO100ならF8あたりが基準。ただし場所や花火の種類で多少の変更は必要になる。あまりガチガチに固定しないで、何パターンか撮っておくほうがよいだろう。絞りを開けすぎると明るくなり花火がさえない。絞りすぎると太い光状のみで開いた後のなごりの光が写らない。上記基準から1絞り以内の調整をする程度だ。シャッター速度はだいたいにおいて4秒程度を中心に、2秒から8秒程度が使いやすい。あまり短いと花火が垂れるところが写らないし、あまり長いと次の花火と重なる。

 一つ、ピントもマニュアル。AFはだめ。広角側なら絞っていることもあり無限でもよい。大抵のレンズは、ピントの位置が無限遠を行き過ぎるので、望遠ならMFでピントを合わせる。

 一つ、固定概念を打ち破れ。スローシャッターだから三脚必須、というのは基本。だが、三脚がなければ撮れないと思うのは短絡だ。黒地に光の線のみなので、多少ブレてもそれほど醜くはない。ただし、ブレ写真は面白いが、傑作になる率は低い。人に見せるときは良く吟味して、単なるブレ写真オンパレードにならないように。また、地上の風景や鉄塔などが入る場合には、三脚がないとただのブレ写真になってしまうので、望遠側で花火だけを切り取るか、じゃまの写らないよい場所を確保しておく必要がある。

 一つ、写真向きの花火大会とは。海辺は海風があり、煙を流してくれるので比較的写真向きである。都会の大規模な花火大会は、数が多すぎて花火が重なり、煙も多く、打ち上げる高さも低い。高さが低いということは、大玉が比較的少ないということ。写真写りはいまいちとなる。「提供は○○」などとアナウンスする間延びした地方の花火大会のほうが、写真撮影には好適だろう。

※作例のリンク先は、撮影画像をコピー後、リネームしたものです。
※作例データのキャプションは、使用レンズ/記録解像度(ピクセル)/露出制御モード/露出時間/レンズF値/露出補正値(EV)/ISO感度/35mm判での焦点距離(mm) / ノイズリダクション(ON/OFF)です。


湖面から打ち上げられる様子を縦位置で(相模湖湖水祭)
DA 18-55mm F3.5-5.6 / 3,008×2,000 / 10秒 / 8 / 0 / 200 / 27 / ON
スタンダードに。絞り気味なので、光の線だけが強調される(相模湖湖水祭)
DA 18-55mm F3.5-5.6 / 3,008×2,000 / 8秒 / 16 / 0 /200 / 57 / ON

露光間ピントずらしを断行。成功の度合いはほどほどだが、六角形の絞りの形が出た。面白いが円形絞りのほうが良いとも思えて、微妙だ(相模湖湖水祭)
DA 18-55mm F3.5-5.6 / 3,008×2,000 / 8秒 / 16 / 0 / 200 / 82 / ON
こちらも露光間ピントずらし。最初にピントを合わせておいて、後から近距離に外したもの(相模湖湖水祭)
DA 18-55mm F3.5-5.6 / 3,008×2,000 / 4秒 / 8 / 0 / 200 / 82 / ON

 *ist DLと標準ズームでも花火は撮れる。絞って使うのでレンズは暗くてもOK。広角側で花火を丸ごと写してもよいが、望遠側で中心部をクローズアップしてもよい。花火の場合は、多少のブレなら許容できることも多い。手持ちで4秒、ブレないように撮ろうとすると失敗するが、意図してブラせば1枚くらいは傑作も……。

 なお筆者が行った昭島夢花火の場合、手持ちだと、余韻よりも光条の線を活かそうと絞りをF16、シャッター速度を基本的に2秒程度とした。比較的短いのは、余り長いとブレが激しくなるためだ。本当は1秒でも良かったくらいなのだが、夜空の中から花火が開く瞬間を写すには、ある程度の露光時間がないとその瞬間はなかなか写らない。

 もちろん、花火は三脚を使用して長時間露光するのが基本。しかし、そうすると誰でも同じような写真が撮れて、それ以上の写真にはなりにくい。時には手持ちで挑戦してみるのも良いだろう。


手持ちでいろいろと撮影した写真(昭島夢花火)
DA 18-55mm F3.5-5.6 / 3,008×2,000 / 2秒 / 16 / 0 / 200 / 82 / ON
ぐるぐる回しているので再現性はない(昭島夢花火)
DA 18-55mm F3.5-5.6 / 3,008×2,000 / 2秒 / 16 / 0 / 200 / 82mm / ON

こちらも手持ちでカメラを振ったもの(昭島夢花火)
DA 18-55mm F3.5-5.6 / 3,008×2,000 / 2秒 / 16 / 0 / 200 / 82 / ON
三脚での撮影に飽きた人は、こういうチャレンジも楽しいだろう(昭島夢花火)
DA 18-55mm F3.5-5.6 / 3,008×2,000 / 2秒 / 16 / 0 / 200 / 82 / ON


URL
  ペンタックス
  http://www.pentax.co.jp/
  製品情報
  http://www.digital.pentax.co.jp/ja/35mm/ist-dl/
  レンズ交換式デジタルカメラ機種別記事リンク集(*ist DL)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/dslr.htm#istdl
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm


( 安孫子 卓郎 )
2005/08/12 11:40
デジカメ Watch ホームページ
・記事の情報は執筆時または掲載時のものであり、現状では異なる可能性があります。
・記事の内容につき、個別にご回答することはいたしかねます。
・記事、写真、図表などの著作権は著作者に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。必要な場合はこのページ自身にリンクをお張りください。業務関係でご利用の場合は別途お問い合わせください。

Copyright (c) 2005 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.