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ニコン D50【第7回】
単焦点レンズでストリートスナップ仕様に

Reported by 本誌:田中 真一郎


Ai Nikkor 45mm F2.8Pを装着したD50
 前回の「打ち上げ花火撮影に挑戦」では、あまりにひどい出来を憐れに思われたのか、読者のみなさんや関係各方面から多数のご指摘、アドバイスをいただいた。参考になるご意見ばかりで、心から感謝しています。

 その中でもっとも多かったのが「単焦点レンズを使ったほうがいい」というもの。「ピントは無限遠に」とあっさり書いたが、ズームレンズでは無限遠よりも向こうにフォーカスリングが回ってしまい、ピントが外れてしまう(実際、作例はほとんどピンボケだった)。

 D50レンズキットの18-55mmのフォーカスリングには距離指標もないし、ファインダーで確認するのも夜間では困難だ。単焦点レンズなら無限遠より向こうに回ることがないから楽だろう、ということであった。次に打ち上げ花火を撮影する機会があるなら、単焦点レンズを持っていこうと誓った次第である。

 だからというわけではないが、今回は単焦点レンズとD50のお話。

 小型軽量なD50を初めて見て以来、D50にどうしても着けてみたいレンズがあった。それは「Ai Nikkor 45mm F2.8P」。鏡胴の長さが極端に短い、いわゆる「パンケーキ」と呼ばれるレンズだ。軽量コンパクトなボディに、薄いレンズのコンビなら、持ち歩きやすいカメラが作れるのではないか。特に、ストリートスナップには最適だろう。

 18-55mmの長さが74mmあるのに対し、45mm F2.8Pはたったの17mm。また、18-55mmの重さが約210gであるのに対し、45mm F2.8Pは約120g。45mmは本体材質に金属を使用し、質感の高い外観となっているにもかかわらず、大きさだけでなく重量も減る。


レンズキット付属のAF-S DX Zoom Nikkor ED 18~55mm F3.5~5.6Gを装着したD50
Ai Nikkor 45mm F2.8Pを装着するとこんなにコンパクトに。軽くなるうえに、カバンからの出し入れもしやすい

 ただし、「Ai Nikkor」となっているとおり、マニュアルフォーカス(MF)レンズである。筆者はAFに慣れきった怠惰な現代人ゆえ、いちいちピント操作をするのは面倒くさい。ましてやD50の小さなファインダーで、速写が要求されるストリートスナップでMFレンズを使うのは大変そうだ。

 そこで、少しでもピント操作の機会を減らそうと考えてみた。45mm F2.8Pには、他のMFレンズとの大きな違いがある。45mm F2.8Pはレンズ内にCPUを内蔵しているので、D50に装着した時でもマルチパターン測光や、プログラム/絞り優先/シャッタースピード優先のAEを使用できるのだ。


45mm F2.8Pの距離指標と被写界深度指標。線の色と絞りの数字の色が対応してるので、青い線がF16のときの被写界深度の範囲を表わす。2m~無限遠をカバーできる。
なお、絞り環の設定がF22になっているのは、D50への装着時にこのようにしておく必要があるから。これ以外の絞りになっていると、エラーになって撮影できない
 なので、絞り優先AEでF16に固定してしまう。こうすると、レンズの距離指標と被写界深度指標によれば、だいたい2m~無限遠が被写界深度に収まることになるから、そのようにフォーカスリングを合わせておく。

 もっともこの指標は35mm判の銀塩カメラのためのもので、デジタルカメラの被写界深度は変わるのだが、この設定で撮影してみたところ、だいたい目論見どおりの被写界深度を得られたので、これでよしとしておく。

 被写界深度に収める範囲は1.5mあたりから5mなど、好みに応じてセットすればよいだろう。絞りはF22にしてもよいのだが、被写界深度が1.5m~無限遠になる程度で、劇的に広がるというものではない。むしろ、デジタルカメラでここまで絞り込むと画質の低下が気になるし、シャッタースピードが遅くなりすぎるのも困るから、F16でとどめておく。

 最後に、シャッタースピードをかせぐために感度をISO400にしておく。これで、曇天や夏の5時頃までは1/30秒程度のシャッタースピードを確保できるはずだ。

 撮影結果は作例をご参照いただきたい。今回の作例は横須賀の早朝散歩だ。すべて、絞り優先AE、絞りF16、感度ISO400、オートホワイトバランス、マルチパターン測光、露出補正なしで撮影している。キャプションにはシャッタースピードのみ記載する。

 実際に使ってみてまず不安になったのが、やはりピントだ。D50には、一時的に絞りを設定値まで絞り込んで、ファインダーで写りを確認することができる「絞り込みプレビュー」機能がない。だから、ボケたファインダー像のままでシャッターを押すことになる。液晶画面で拡大表示すれば、被写界深度内の被写体はボケていないことがちゃんとわかるが、最初は不安だ。まあ、これは慣れればすむ話だ。


左はD50と45mm F2.8P、右はDA 40mmを付けたペンタックス *ist D
 最大の問題は焦点距離(画角)で、筆者の好みからすると45mm(35mm判換算で67.5mm)はいかにも長い。せめて35mm判換算で50mm程度くらいにはなってほしいが、パンケーキレンズに適した焦点距離は40mm前後だと聞いたことがあるので、これは無いものねだりなのだろう。もっとも、45mm F2.8Pで撮影しているうちに、この焦点距離に体が合ってきそうな感じがした。この不満も、さらに使い込んでいけば解決されることなのかもしれない。

 「誰にでも簡単に」というD50の性格を考えると、45mm F2.8Pはかなり特殊なレンズで、万人にお勧めできるものではない。が、D50のコンパクトさと機動性を生かすには悪くない選択肢だと感じた。D50に装着したときのルックスも悪くなく、「趣味の道具」としてのカメラの楽しみを味わえる。ペンタックス DA 40mm F2.8 Limitedのような、AFが使えるパンケーキレンズがあれば、ハードルはより下がるだろう。


シャッタースピードは1/320(秒)。JR横須賀駅を出るとすぐに港。対岸の埠頭の潜水艦では朝礼が行なわれていた 1/200(秒)。横須賀駅前のヴェルニー公園

1/100(秒)。カレーの街 横須賀のマスコット。横須賀には縁が深い筆者だが、こんなものがあるなんて今まで知りませんでした。横須賀駅にて 1/60(秒)。開いている店もまばらなドブ板通り

1/20(秒)。ドブ板通りの米海軍軍人向けのスナックのサイン。シャッタースピードが遅くなったうえに、焦って撮ったので手ブレしている 1/25(秒)。やはりドブ板通りの店。焦点距離が長いので、狭い場所ではこのような部分を切り取った写真が増えてしまう


URL
  ニコン
  http://www.nikon.co.jp/
  D50
  http://www.nikon-image.com/jpn/products/camera/digital/slr/d50/
  Ai Nikkor 45mm F2.8P
  http://www.nikon-image.com/jpn/products/lens/mf/singlefocal/normal/ai_45mmf28p.htm


( 本誌:田中 真一郎 )
2005/08/10 00:47
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