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松下電器 LUMIX DMC-FX8【最終回】
16:9ワイド画像の撮影と鑑賞(後編)

Reported by 本誌:伊達 浩二


 発表会のレポートで間が空いてしまったが、16:9ワイド画像について、もうちょっと試した。

●16:9ワイド画像のプリント

 デジカメ画像のプリントアウトといえばインクジェットプリンタが主力だが、この分野では16:9ワイド画像は恵まれていない。画像を出力するためには、プリントアウト用のソフトと用紙の供給が必要になる。16:9のワイド画像についていえば、いまの時点では両方ともほとんど対応されていない状態だ。

 もちろん、大きめの用紙にプリントアウトし、カットすればよいのだが、コンビニでも手軽に用紙が入手できるL判フチなし印刷に慣れた身には面倒くささが先に立つ。ソフトウェアと用紙の対応を期待したいところだ。


「FUJICOLORネットサービス」によるプリントアウト例。SDメモリーカードと比較すると大きさがわかる
 方向を転じて、インターネット上のプリントアウトサービスを探してみると、富士写真フイルムの「FUJICOLORネットサービス」が16:9比率の画像に対応していることがわかった。「HV」という型番(ハイビジョン版の意)で指定でき、用紙の大きさは89×158mmだ。これはL判(89×127mm)の横幅を伸ばした形になる。

 ネットプリントは10枚からオーダーできる。操作もInternet Explorerを使うとサムネール表示から指定でき、かなり使いやすい。オーダー時には自動修正の有無など、細かい指定もできる。

 HVのプリントアウトは1枚53円で、L判の37円よりやや高い。店頭で受け取らず、指定場所へ送ってもらう場合は、別途送料が210円かかる。今回は11枚頼んで、自宅に送ってもらい総額が793円だった。ちなみに発注の翌々日に到着した。

 用紙はL判がちょっと横長になったぐらいの印象で、ワイド感は思ったほどない。これはこれで手頃な大きさなのだが、縦を127mmにして、横を226mmぐらいにした、大きめの用紙(2HV判?)も選べるとなおいいだろう。

 また、画質は上々だったが、ネットワークサービスの自動修正はかなり強力で、曇天時に撮影した画像はかなり明るく修正されていた。撮影意図を重視する場合はオプションの指定に留意したい。


26型液晶TV「VIERA TH-26LX50」
●フラットパネルTVで写真を見る

 前回はワイド液晶搭載PCで画像を見てみたが、より、大きな画面で見てみたいと思い、26型の液晶TV「VIERA TH-26LX50」を借用し、自宅のリビングで使ってみた。

 VIERAシリーズは、デジタルカメラとの連携が重視されており、TVの前面パネルには、SDメモリーカードスロットが、リモコンには「メモリカード」というボタンが用意されている。このあたりはSDメモリーカードによるネットワークを目指す松下の構想によるものだろう。


VIERA前面パネルの操作部 ここにSDメモリーカードスロットが用意されている

VIERAのリモコン全景 リモコンの上部、左側に「メモリーカード」という専用のボタンが用意されている

 メモリーカードを差し込み、リモコンのボタンを押すだけで、9分割のサムネール表示が起動する。ここから、1枚ずつの表示、スライドショウ、DPOFの印字指定などが行なえる。操作自体はガイドが表示されるので迷うことは少ない。ちょっと迷ったのは、次の画像表示が、左右ではなく、上下に割り当てられていることぐらいだ。

 画面が26型と大きく、アスペクト比もばっちり合っているので、画面の迫力がある。SDカードスロットを使った表示は、通常のビデオケーブルで接続した場合とは比較にならないほど高画質だ。隣で見ていた家人もちょっとおどろいていたぐらいだ。

 処理速度はあまり速くなく、ちょっともたつく。スライドショウでは1秒間隔を指定しておくと、ちょうど5秒間隔で更新されるぐらいの速度だ。


マルチ表示、シングル表示、スライド表示が選択できる マルチ表示の例。簡単な画像情報も表示できる シングル表示の例。操作メニューは表示しないこともできる

スライド表示の例。LX50で300万画素級のデータを扱うと処理速度がかかるので、画面の切り替え時間は短めに設定したほうがよい LX50シリーズでは、300万画素のワイド画像を表示すると、画面一杯に表示できない。200万画素だと表示できる。改良を希望したいところだ

 ちょっと問題だったのは、このTVでは200万画素で撮影した画像は問題なく表示できるのだが、300万画素のワイド画像がフルスクリーンで表示できないことだ。たぶん、画像を表示用にスケーリングする際に、比率を決め打ちしてしまっているのだと思う。松下に確認したところ、本機は、そういう仕様ということで、カタログにも明記されているという。

 この上のクラスの500/600という3桁型番のシリーズでは、元の画像サイズに関わりなくフルスクリーンで表示できるという。また、表示速度も改善されているという。ただ、FX8の製品情報ページからリンクされているフラットTVの情報には、このあたりは明記されていない。高額で買い換え期間の長い製品だけに、より詳細な情報が提供されるように改善を望みたい。

 なお、別の機会に、松下のショウルームで50V型プラズマTVの「TH50PX500」で16:9のデジカメ画像を見る機会があった。横幅が110.6mmと1mを越える巨大で高画質のディスプレイによる表示は圧巻だった。液晶に比べて黒の締まり具合も良く、スゴイものを見たという印象だった。ショウルームということで、照明もプラズマに最適化されていたと思われるが、あれだけ追い込めるのなら、プラズマTVを使った16:9ワイド画像の写真展というのも面白いのではないかと思ったほどだ


●発展途上だが、TVでの表示は大きな可能性

 16:9のワイド画像について、撮影、PCでの鑑賞、プリントアウト、TVでの鑑賞とみてきた。

 今後に一番可能性を感じたのは、TVでの視聴だ。画質がこれだけ向上していると、画面の大きさが生きてくる。また、複数人で一緒に見られるのも利点だろう。FX8のユーザーは、ぜひ、店頭にSDカードを持って行って試してほしい。店頭では画面が一番明るい設定になっていることが多く、かならずしも静止画の表示には向いていないが、画面の迫力は感じてもらえるとおもう。

 ただし、先に述べたように、表示機能、情報提供などの各面で、まだ課題は多い。

 SDカードに情報が入っていれば安心で、いつでも活用できるというネットワークへの信頼感を維持するためにも、より一層の向上を期待したい。


TV側の画面調整メニュー。基本的に派手目に表示されるので、地味な方向に表示した方が静止画には向いているようだ 画面調整メニューの2枚目

●連載の最後に

 FX8を2カ月あまり使ってきたが、かなり満足度は高い。なんといっても手ブレ補正は有効で、撮影失敗の確率がかなり低いのがありがたい。

 シャッターボタンが重いこと、塗装がやや弱く感じることなど、気になる点もなくはないが、市場で上位を争うベストセラー機にふさわしい内容の製品だと思う。次に希望するとすれば、質感と軽快感の向上だろうか、今後のFXシリーズの展開に期待したい。



URL
  松下電器
  http://panasonic.jp/
  製品情報(DMC-FX8)
  http://panasonic.jp/dc/fx8/
  製品情報(DMC-FX8対応TV一覧)
  http://panasonic.jp/dc/easy_network/popup/tv.html
  富士写真フイルム
  http://www.fujifilm.co.jp/
  富士写真フイルムのネットプリント
  http://fujicolorprint.jp/


( 本誌:伊達 浩二 )
2005/07/29 16:29
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