デジカメ Watch
最新ニュース

ニコン D2X【第7回】
D2Xのホワイトバランスを考察する

Reported by 三浦 健司


 ここ数回の記事では筆者の興味からD2Xとレンズとの相性を探るテストが連続していた。そこで、今回はD2Xのホワイトバランスと長秒時ノイズについて探ってみたい。

 ホワイトバランスは、晴天、曇り、蛍光灯、白熱電球など異なる性質の光源に対し、白いものが白くなるよう調整する機能だ。

 ニコンのD2Xは、ホワイトバランスの調整を、カメラ内部の「CMOSセンサー」、「1005分割RGBセンサー」と、ペンタプリズム上部に設置されている「環境光センサー」で色温度を測り、調整をしている。

 ホワイトバランス調整には、「オート」をはじめとして、「電球」、「蛍光灯」、「晴天」、「晴天日陰」、「曇り」、「スピードライト」などがある。

 さらに正確なホワイトバランス調整をするには、グレーや白のターゲットを使う「プリセットホワイトバランス」(高精度プリセットホワイトバランス)がある。また、その簡易版として、あまり知られていないが環境光センサーを使うことでグレーチャートなどを必要としない「プリセットホワイトバランス」(以下、簡易プリセットホワイトバランス)がある。

 高精度プリセットホワイトバランスは、高精度、スピードライトを使用するときに使う。簡易プリセットホワイトバランスは、スポーツ撮影時にプリセットデータを瞬時に設定したい場合や、望遠レンズの使用時に無彩色な被写体を撮影しずらい場合、カメラ本体と被写体に同じ光源が当たっている場合に使う。

 なお、高精度と簡易プリセットホワイトバランスの設定方法は以下の手順になる。


【1】背面にあるホワイトバランスボタンを押しながらコマンドダイヤルで「PRE」表示にする。いったんホワイトバランスボタンを離す。

【2】再度、ホワイトバランスボタンを1.5秒以上押し込む。プリセット取得モードになる。「PRE」表示が点滅する。

――高精度プリセットホワイトバランスの手順

【3】プリセット取得モード中に、撮影する照明下で白またはグレーのチャートをファインダーいっぱいにとらえてシャッターボタンを押すと、プリセットデータが取得できる。なお、ピントが合わなくてもシャッターが切れ、CFカードに画像の記録は残らない。

――簡易プリセットホワイトバランスの手順

【3】プリセット取得モード中に、被写体を照らしている光源からの光が、環境光センサーに直接当たるようにする。その上でファンクションボタン(レンズ正面から見て左下、レンズ絞り込みボタンの下側)を押すと、プリセットデータが取得できる。

 ほかにも、カラーメーターなどで測った色温度の数値を直接数値を入力する「色温度設定」がある。

 いずれも撮影状況や用途に合わせて撮影者が選択していくことになる。


 では、気になるD2Xのホワイトバランス調整のテストをしていこう。

 まずテストにあたり使用した機材から紹介しよう。グレーチャートは、プロカメラショップ銀一のA4サイズが2枚入った「シルクグレーカード」を使用している。

 このカードは、400g/平方mのコシのある厚紙の上にポリプロピレンをひき、さらにその上から表面反射率18%グレー顔料でシルクスクリーン印刷したものだ。なお裏面は約90%ホワイトになっている。網点AMスクリーンなどの印刷で作られるグレーカードに較べて、完全に近い無彩色を実現しているので、色転びがきわめて少ない特徴を持つ。また、A4サイズ2枚で1,260円と安価なこと。かんたんにハサミで切れるので、手ごろなサイズに切り取って携帯しやすいのが便利だ。

 まず最初は身近な照明器具、蛍光灯と白熱電球をテストする。


※作例のリンク先は、撮影した画像データそのものです(ファイル名のみ変更してあります)。縦位置のものは、サムネールのみ回転していますが、拡大画像はあえて回転せずに掲載しています。クリックすると撮影した画像が別ウィンドウで表示されます。

※キャプションに撮影データがあるものは、画像解像度(ピクセル)/露出時間(秒)/絞り値(F)/ISO感度/レンズ焦点距離(mm)です。


【オートホワイトバランス / 蛍光灯】 【オートホワイトバランス / 白熱電球】

 ホワイトバランス調整をオート(以下、オートホワイトバランス)にした場合は、白熱電球には赤みが残り、蛍光灯には青みが残る結果となった。これはD2Xのオートホワイトバランスが、白いものを完璧に白くするよりも、ある程度、その光源の持つ雰囲気を残すようにしているからだろう。

 続いて、同条件の光源下で高精度プリセットホワイトバランスでテストする。


【高精度プリセットホワイトバランス / 蛍光灯】 【高精度プリセットホワイトバランス / 白熱電球】

 白熱電球の結果は、画面中央で輝度125、R125、G125、B126とほぼ完璧なホワイトバランス調整が行なわれる。また、蛍光灯の結果でも、画面中央で輝度133、R134、G134、B133と、こちらもほぼ完璧だ。

 以上のようにD2Xのプリセットホワイトバランスは、ほぼ完璧で高い信頼性を誇る。


 続いて自然光によるテストをする。

 テストは、オートホワイトバランス、高精度プリセットホワイトバランス、簡易プリセットホワイトバランスの3種類を行った。

 テストした場所は、天候が薄曇りの、時間は午後16時25分前後に、ほぼ真東向きの窓辺で行なっている。室内照明は消灯している。

 なお、テストのサンプルポイントは、X点804、Y点2142で測定している。


【オートホワイトバランス】 【高精度プリセットホワイトバランス】 【簡易プリセットホワイトバランス】

 まず、オートホワイトバランスは、輝度87、R86、G88、B91と微量Bが多めになった。だが現実問題としては、プリセットホワイトバランスと遜色のないレベルに仕上がるホワイトバランス調整といえる。

 続いて、高精度プリセットホワイトバランスの結果だ。輝度89、R89、G90、B92と、ほぼ完璧なホワイトバランス調整になっている。

 簡易プリセットホワイトバランスは、輝度83、R74、G87、B87と、ややシアン色ぎみになった。

 D2Xの簡易プリセットホワイトバランスは、カメラ本体と被写体に同一光源であること。さらに色温度の測定に悪影響を与えないように、環境光センサーの付近に“色彩のあるもの”がないこと。以上のような条件を整えないと、ほぼ完璧に近いホワイトバランス調整にはならない。

 ただし、この簡易プリセットホワイトバランスによって、ホワイトバランスがひとつの傾向に収まるととらえることもできる。つまり、Rをプラスに補正すればよく、その補正量も定量化できるのでバッチ処理が簡単にできる。

 結果から判断すると、自然光では、オートホワイトバランスと高精度プリセットホワイトバランスはほぼ完璧なホワイトバランス調整になる。また簡易プリセットホワイトバランスは、今回のテストではややシアンぎみという傾向が出たものの、十分に調整できる範囲に収まっている。こちらも簡便さでは捨てがたい魅力がある。

 最後に長秒時ノイズのテストをして筆を置きたい。


【長秒時ノイズ / オン】 【長秒時ノイズ / オフ】 Nikon Capture 4でノイズを比較。長秒時ノイズ・オン(左)とオフ

 夜景などを撮影する場合、おおむね露光時間が1/2秒より長くなると、画像に星状の長秒時ノイズが入る。一般的には、長秒時ノイズは露光時間が長くなるほどノイズ量が増える傾向のあることが知られている。

 今回のテストは夜景で、露出時間は30秒、長秒時ノイズをオン、オフにした。

 オフの画像はノイズが確認できる。

 オンの画像はほとんどノイズが確認できないぐらいに消える。また、わずかにほかの部分のザラツキが軽減しているようにも見える。

 なおNikon Capture 4では、この種のノイズを軽減する機能がないので、長秒時ノイズ対策はぜひカメラ側で設定しておきたい。



URL
  ニコン
  http://www.nikon.co.jp/
  製品情報
  http://www.nikon-image.com/jpn/products/camera/digital/slr/d2x/


( 三浦 健司 )
2005/07/13 00:32
デジカメ Watch ホームページ
・記事の情報は執筆時または掲載時のものであり、現状では異なる可能性があります。
・記事の内容につき、個別にご回答することはいたしかねます。
・記事、写真、図表などの著作権は著作者に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。必要な場合はこのページ自身にリンクをお張りください。業務関係でご利用の場合は別途お問い合わせください。

Copyright (c) 2005 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.