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リコーCaplio GX8【第1回】
旅のデジカメとは

Reported by ケニー・オブライエン


Caplio GX8。カメラ量販店にて54,800で購入
 リコーのデジカメというと、多くの人が「広角側に強い」との印象をもっていることだろう。私もそのひとりだ。先月の旅までは他社のコンパクトデジカメを使っていて、要所でワイドコンバージョンレンズを装着していた。それが、旅先でデジカメの買い換えを決意することになるとは。当時、発売を数週間後に控えたリコーの「Caplio GX8」、これしかないとまで現地で思ったのだ。

 それはウクライナのキエフで朝食後に、さて街に出ようかと思ったときだった。いつもかばんに入っているはずのワイドコンバージョンレンズがない。紛失したか? もしかして税関検査で引っかかり、別室で念入りに調べられたキエフのボリスピリ空港か……。結局のところ自宅に忘れてきたのだが、旧ソ連でワイドコンバージョンレンズがないのは痛い。なぜなら社会主義建築はムダにデカいからである。「コンバージョンレンズを必要としない、標準で広角撮影ができる機種」――このとき、Caplio GX8への想いがはっきりした。

 私がカメラを使うのは、もっぱら旅である。そして作画志向の撮りかたではなく、旅の記録がほとんどだ。記録といっても几帳面にアルバムを作成しているわけでもない。私の場合、写真は記憶のトリガーとして、現地での感動を呼び起こすためにある。そのためかっこつけた表現で恐縮だが、「私だけの感動」は写っていてほしい。

 ところが、感動というやつは簡単には写ってくれない。銀塩一眼レフを使っていたころは、アメリカ中西部を毎年レンタカーでまわって撮影していた。いまでも当地を訪れると、あの広さには感動する。ところがその圧倒される広さを普通に撮っても、まったくおもしろくない写真にしかならなかった。そこで考えたのは「広さに感動したなら広さを強調できるレンズを使うべきなのでは」と。

 最近はヨーロッパの東側に行くことが多い。ヨーロッパで好きなのは路地だ。曲がりくねって先が見通せないような路地だとゾクゾクする。こういうところはたいてい狭いので、広角レンズが重宝する。また前述のように旧社会主義国だと建物が巨大だ。ますますもって広角が必要となる。

 また、「旅のカメラ」は地味な方がいい。治安がよくない場所に行くならなおさらである。できるだけ現地人の物欲を刺激しないもの――しかし、求めるスペックは妥協できない。Caplio GX8は、高スペックながらいい意味で外観が地味だ。しかもとてもカメラらしい。一見してカメラだとわかる外観でないと、警戒がきびしい国の税関ではいろいろ質問されるし、実際に作動させてみたりと面倒なことになる。「わかりやすい」というのは私の旅装備ではかなり上位のポイントなのだ。


 さてマクラはこのくらいにして、第1回目は操作感を中心に初期インプレッションを書かせてもらおう。まずはホールド感。グリップの大きさと形状が手にあうため、とてもしっくりくる。最近のコンパクトデジカメのなかでは、しっかり構えられるカメラではないだろうか。スタイリッシュだとかボディカラーが選べるとか、最近のコンパクト機は「きちんと撮る」大切さを忘れている気がする。「きちんと撮る」のと「きちんと写す」のは違う。きちんと写すというのは撮影結果だけを気にした考えだ。一方きちんと撮るというのは、準備から実際の撮影、撮影結果としての写真、そして全体の満足感までを含むものだと思う。ホールディングの良いCaplio GX8は、構えただけできちんと撮れる予感がする。


グリップの「アップダウンダイヤル」をクリクリ回しているだけで、ちょっとステージが上がった気分。実際にはそれほど頻繁にパラメーターを変更しないが、やはり気分は大事だ 背面。表示言語を選べる機器では、たいていフランス語表示にしている。特に理由はない。中央上部の「ADJ」ボタンが便利 無骨でデカいグリップ。これが実にしっかりホールドできるのだ。無骨だっていいじゃないか。Caplio GX8は、しっかり構えて撮るカメラなんだから

 背面のボタン配置も、私にとってちょうどいい。私は手が小さいのだが、特にホールド位置をずらしてボタンを押さなければならないこともなく、撮影に必要なボタンはすべて親指で押している。

 よく変更するパラメーターをひとつのボタンで呼び出せる「ADJボタン」も便利だ。設定項目をひとつだけ追加でき、現在は測光方式を割り当てている。従来から中央重点測光とスポット測光をよく切り替えるから、これは重宝しそうだ。もうひとつの候補はフォーカス方式の切替だ。


まとめてこれだけ購入した。専用ケースは革製だ。できれば予備バッテリーも入るようにしてほしかった。でも最近のバッテリーは長持ちするので、こうした要望はごく少数派なのかもしれない
 カメラ本体とともにリチャージャブルバッテリーとバッテリーチャージャーのセット(実売5,250円、以下同)、予備のリチャージャブルバッテリー(4,179円)、専用ケース(2,350円)、1GBのSDメモリーカードも購入した。

 私は常にフルチャージした予備のバッテリーも携行している。大量に撮影するからではなく、寒冷地に行くことが多いからだ。2月に訪問したハバロフスクでは、日中でも零下24度で、外気に触れると10分ぐらいで残量が半分以下になるほど。寒冷地はバッテリーに厳しい環境だなので、予備バッテリーは必須となっている。また、Caplio GX8は単三アルカリ乾電池2本でも動作するから、非常時にも心強い。

 というわけで、Caplio GX8が私の「旅のデジカメ」として活躍してくれるかどうかをこれから語っていくつもり。それでは行ってきます。


とある私鉄駅前の、ごく日常の風景。広角端28mmでこれだけ入ってしまう。これならワイドコンバージョンレンズは不要かも。
3,264×2,448ピクセル / プログラムAE / 1/500秒 / F2.5 / ISO100


URL
  リコー
  http://www.ricoh.co.jp/
  製品情報
  http://www.ricoh.co.jp/dc/caplio/gx8/

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( ケニー・オブライエン )
2005/06/06 00:02
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