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キヤノンEOS Kiss Digital N【第5回】
銀塩EOSの資産継承

Reported by 伊達 浩二


 EOS Kiss Digital N(Kiss)を使うにあたって、もともと持っていた銀塩時代のEOSの資産に加え、マウントを乗り換えた知人からEOSの資産を譲ってもらった。段ボールに、いろいろなレンズや周辺機器が詰まっていた。

 自分が持っていたのがオリジナルのEOS Kissの時代、譲ってもらったのがEOS 5時代のものなので、'92~'93年頃の製品がほとんどだ。

 レンズについて言えば、人柄と懐具合が反映して、安物と、ちょっと癖のあるものばかりだ。周辺機器はストロボ関係が中心だ。


 キヤノンのレンズマウントは、'87年のEOS 650発表時に、それまでのFDマウントからEFマウントに変更され、それからは一貫している。集まったレンズ7本も、まったく問題なく使用できた。

 ただ、Kissの場合、撮影される画角が約1.6倍になるので、銀塩時代とまったく同じには使えない。

 たとえば、「EF20-35mm F3.5-4.5 USM」などは、当時の印象では超広角ズームレンズなのだが、画角が32~56mm相当になるので、広角としては画角が足りない。また、フィルター径が77mmと大きなレンズなので、画角が重なる標準レンズと別にわざわざ持ち歩くかというと考えてしまう。

 逆に、望遠の「EF100-300mm F4.5-5.6 USM」は、160~480mmと望遠側に寄りすぎてしまい、手持ちが難しくなる。

 カメラ付属の標準ズームも広角端が28mmなので45mm相当からと、中途半端な感じになってしまう。ただし、EOS 5用の28-105mm F3.5-4.5 USMのスムーズな動きは、ちょっと年式は古いが現役の高級車という印象で感心してしまった。

 やはり、1.6倍の画角の違いというのは、思っていたよりも大きな影響がある。使うレンズの選び方は、最初から考えなおさなければならないようだ。総じて言えば、望遠側の方が従来のレンズ資産を使える場合が多いだろう。


「EF135mm F2.8 SF」(左)と「EF50mm F2.5 コンパクトマクロ」。こういう特色のある単焦点レンズがデジタル一眼レフでつかえるのは、レンズ資産が継承できる幸せだ。右は「ライフサイズコンバータ EF」これがないと等倍撮影ができない
 一方で、「EF135mm F2.8 SF」と「EF50mm F2.5 コンパクトマクロ」のように得意技がある製品は、USMが載っていないことや、画角の変化を越えてKissにつけて遊んでみようという気になる。

 簡単に紹介すると、EF135mm F2.8 SFは、レンズにソフトフォーカス機構が内蔵されており、標準撮影以外に2段階のソフトフォーカス撮影が可能になる。EF50mm F2.5 コンパクトマクロは、旧式ではあるが、ライフサイズコンバータを併用することで等倍撮影まで対応できる。いずれ、Kissで使用した印象などもレポートしたい。


 さて、ストロボは「スピードライト420EZ」はともかく、「マクロリングライトML-3」が出てきたのにはびっくりしてしまった。マクロリングライトは、レンズ先端部のバヨネット部に装着する接写用の製品だ。

 さっそく電池を新品にし、Kissにセットすると発光しない。チャージは行なわれ、ML-3の発光ボタンを押すと光るので、インターフェイスの問題のようだ。

 Kissのマニュアル(P.101)を読むと「マニュアル発光機能を持つスピードライトは、マニュアル発光モードでお使いください」と書いてあるが、Kissの設定メニューには、そういう項目はない。


「スピードライト430EZ」(左)と「マクロリングライトML-3」。レンズ資産に比べると、ストロボは調光方式などで制御が進んでいるため、寿命は短いようだ EOS Kiss Digital Nに「EF50mm F2.5 コンパクトマクロ」と「マクロリングライトML-3」を装着した状態。迫力のあるスタイルで、俄然、やる気が出たのだが……

 結局、キヤノンに問い合わせてわかったのは、マニュアルの記述は、Kiss本体の設定ではなく、ストロボ側でマニュアル発光に設定しろという意味だったのだ。しかし、ML-3にはモード設定のスイッチはなく、残念ながらKissでは使えないのだった。せめて発光してくれれば、なんとか使いこなしようもあるのだが、しょうがない。ちなみに、EOS-1D系ではフル発光という制限付きながら使える。

 キヤノンのストロボの制御は、世代を追ってTTL、A-TTL、E-TTL、E-TTL IIと進化しており、カメラ本体とストロボ間でやりとりされる情報も増えている。ごく、おおざっぱにいえば、型番の末尾が「EX」であれば、E-TTL以降に対応しておりKissに適した製品、「EZ」の製品はTTL対応でKissではマニュアル発光でしか使えない、ということになる。同じ周辺機器でも、レンズに比べるとストロボの製品寿命は短いということだ。

 なお、周辺機器類の、EOS DIGITALでの対応情報はキヤノンのサイトのサポート情報にまとめられているので、銀塩EOSの資産を使おうと思っている方はご一読をお勧めする。

【お詫びと訂正】レポート初出時、キヤノンのストロボ制御に関する記述に「A-TTL」が抜けていました。お詫びして訂正いたします。



URL
  キヤノン
  http://canon.jp
  製品情報(EOS Kiss Digital N)
  http://cweb.canon.jp/camera/eosd/kissdn/
  サポート情報
  EOS DIGITALで使用可能なレンズ・外部ストロボ・その他アクセサリーについて
  http://cweb.canon.jp/e-support/qasearch/answer/eosd/q061100663783.html


( 伊達 浩二 )
2005/04/25 00:01
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