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オリンパスE-300【第9回】
小型軽量でお買い得? フォーサーズ最大の超弩級レンズを試す

Reported by 安孫子 卓郎


E-300に付けたED300mm F2.8
 E-1の発表と同時にリリースされたレンズの中で、超弩級戦艦と位置付けられるのが「ズイコーデジタルED300mm F2.8」である。全長285mm、重さ3,290g、価格は918,750円と、並大抵のレンズではない。

 一般的なサンニッパ(300mm F2.8)が、30万から50万円程度なのに対して、この価格は高すぎるという声が多く聞かれたが、「600mm F2.8相当」と考えれば、ほかのメーカーなら400mm F2.8を買わねばならず、例えばニコンなら4,440g、キヤノンなら5,370gもの重量になり、価格は120万円もする。そう考えるとフォーサーズの300m F2.8は比較的安くて小さいといえる。高名な動物写真家の方々が愛用していることからも、野鳥・野生動物など超望遠を必要とする撮影には利便性が高いのだろう。

 とはいうものの、筆者のように普段野鳥を撮らないカメラマンにとっては、重さも値段もかなりのものである。なかなか買えない貴重なレンズを借りることができたので、手近なところで動物写真が撮影できる、多摩動物公園へと出かけてみた。

 使ってみると、このレンズはさすがにすごい。AFも速いし音も静かである。逆光での撮影でもびくともしない。またE-300のピント精度はたいしたもので、AFポイントが3カ所しかないなど不便さはあるものの、信頼してAFで撮影ができるのはありがたい。これだけのレンズをMFで使うのは困難を極める。特に動く被写体ではAFに頼りたくなる。ある高名な動物写真家は、「手持ち撮影ができて便利だ」と述べている。まあ確かに、やってできないことはないと思う。

※作例のリンク先は、撮影した画像データをコピー後にリネームしたものです。クリックすると撮影した画像が別ウィンドウで表示されます。

※キャプション内の撮影データは、画像解像度/露出プログラム/ISO感度/絞り値/露出時間/露出補正値/焦点距離です。


かなりの逆光だがビクともしない。前玉を傷つけてしまうのはさすがに怖いので、作例はすべて借りたときについていたプロテクトフィルターを装着したまま撮影した
3,264×2,448 / 絞り優先AE / ISO100 / F2.8 / 1/1,600秒 / -0.3EV / 300mm
こういうレンズは重なりを利用しておもしろい絵作りが可能だ。アオサギだと思うが、距離が遠いため背景も形が残っており、作画していて楽しい
3,264×2,448 / 絞り優先AE / ISO100 / F2.8 / 1/3,200秒 / -1EV / 300mm

端のAFポイントを使い、オウムの目にピントを合わせる。普及価格帯のE-300だが、AF精度はトップクラスだ
3,264×2,448 / 絞り優先AE / ISO100 / F2.8 / 1/2,000秒 / 0EV / 300mm
狸山にて。距離が近いのでかなりのアップになるが、AFは十分追従する。AFポイントが3カ所しかないものの、このような超望遠レンズはアップ目の撮影が多いため、3カ所でも使いではある
3,264×2,448 / 絞り優先AE / ISO100 / F2.8 / 1/500秒 / -0.7EV / 300mm

 F2.8と比較的明るいため、シャッター速度は1/1,000秒くらい確保できることも多い。焦点距離(画角)とシャッタースピードの関係からすれば、手持ちは可能であるが、それもAFだからこそである。MFだとさすがに手持ちはつらいだろう。AFであればホールディングさえしっかりすればよいので、手持ちでもできないことはない。だが、やはりお奨めは三脚の使用である。長時間にわたって撮影していると手も疲れてふるえも出てくる。何よりこれほどのレンズを使ってブレてはもったいない。三脚を持ってゆけばさらに重たくはなるが、レンズを無駄にしないためにも三脚使用がのぞましい。

 最大の問題点は、撮影していないときである。撮影中は三脚を使用していれば重たくない。手持ちで撮影していても、撮っている最中は夢中であるし、重たくてもそれほど苦ではない。ところが撮影が終わって次のポイントに移動するときに、ぐっと重みがこたえてくる。三脚をたたむ間などの短時間であれば、首からぶら下げていても問題はない。しかしそのまま移動するのは、いささか首に不安を感じざるを得ないため、移動中は次のようにした。ストラップは首にかけて万が一の落下に備える。左手の肘を折り曲げ、水平近くまで上げて、その上にE-300につけたままの300mmF2.8を、三脚座が上になるようにひっくり返して置くスタイル。これなら比較的楽ではあるが、後半はかなりくたびれた。


1.4倍テレコンとの組み合わせ

 ズイコーデジタルには1.4倍のテレコンバーター「EC-14」がある。これを装着すれば、420mm F4となり、35mm判換算で840mm F4相当の画角での撮影が可能。そのままで撮影したものと、1.4倍のテレコンを使用した場合を比較したところ、テレコンを使用しても画質的には全く問題ない。AFも焦点距離が伸びるので若干は落ちるように思うが、ほとんど変わらないレベル。こういうレンズで使えば、テレコンも本望だろう。


【未装着時】3,264×2,448 / 絞り優先AE / ISO100 / F2.8 / 1/3,200秒 / -0.3EV / 300mm 【装着時】3,264×2,448 / 絞り優先AE / ISO100 / F4 / 1/2,000秒 / -0.3EV / 425mm

EC-14を装着して、鴨の羽ばたきをねらう。1/1,250秒が切れているので、しぶきも玉の状態で写し撮れる。鳥の撮影が多い人には魅力的なレンズだろう。3,264×2,448 / 絞り優先AE / ISO100 / F4 / 1/1,250秒 / -0.7EV / 425mm


URL
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/
  製品情報(E-300)
  http://www.olympus-esystem.jp/products/e300/
  製品情報(ED300mm F2.8)
  http://www.olympus-esystem.jp/products/lens/300_28/
  製品情報(EC-14)
  http://www.olympus-esystem.jp/products/lens/ec-14/
  レンズ交換式デジタルカメラ機種別記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/dslr.htm#e300


( 安孫子 卓郎 )
2005/04/01 00:53
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