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キヤノンEOS 20D【第16回】
JAZZライブを撮る~ISO3200の画質は?

Reported by 奥川 浩彦


会場のJAZZ INN LOVELY
 筆者は30年来のJAZZファンで、今回は名古屋のJAZZスポットとして有名な「JAZZ INN LOVELY」にお願いしてライブを撮影した。'70年にオープンしたライブハウスで、過去には日野皓正、山下洋輔、渡辺香津美、海外からはマックス・ローチ、ジョン・ルイス、ヘレン・メリルなど、JAZZファンなら誰でも知っているミュージシャンが演奏した場所だ。

 2月にはここから全国区へ飛躍したケイコ・リーがバースデーライブを行っているし、4月12、13日には渡辺貞夫のライブも予定されている。著名ミュージシャンが演奏する日は開店前に行列ができ、演奏中は立ち見が出るほどだが、普段のライブはチャージ2,000円前後の低価格で、お酒や食事とともに間近で生演奏が楽しめる。

 本日のステージは小濱安浩(ts)、後藤浩二(p)、日景修(b)、黒田和良(ds)のカルテットに、小濱氏の弟子で若干17歳の高校生、具志亮君(as)が数曲加わっている。とても聴きやすい演奏スタイルで、撮影するよりもビールを飲みながらゆっくり楽しみたいところだ。

 ライブハウスは一般的に暗い。使用するレンズは手ブレ補正付きの「EF-S17-85mm F4-5.6 IS USM」と、明るい単焦点の「EF50mmF1.8II」。これらを使い、ISO800~3200で撮影するのが今回の狙い。現像パラメーターのモノクロも初めて使用した。JAZZにモノクロは似合うという考えに加え、モノクロならカラーほど高感度ノイズが気にならないかも、と期待したためだ。

 まずは周囲のことを考え、20Dの電子音を切り、撮影画像の確認表示もOFFとする。最初は17-85mm F4-5.6を付けて撮影開始。プログラムオートが示すシャッター速度は1秒近いが、撮った画像を確認すると設定可能なシャッター速度は1/20~1/30秒。手ブレ補正の効果を3段とすると実質1/160~1/240秒といえるが、効果があるのは静止物に対してだけで、ミュージシャンのように動く被写体は当然被写体ブレする。ドラムのスティックなど、動きの速い被写体はブレを覚悟で撮影するが、それ以外はなるべく動きの止まる瞬間を狙ってシャッターを切る。

※作例のリンク先は、撮影した画像データをそのままコピーし、リネームしたものです。
※画像解像度(ピクセル)/露出モード/ISO感度/絞り値/露出時間/露出補正値/ホワイトバランス/焦点距離です。


ステージ全体。ベースとピアノはかなり暗い。3,504×2,336 / マニュアル / ISO1600 / F5.6 / 1/20秒 / 0EV / オート / 20mm 1/20秒。ドラマーの右スティックはブレて見えない。3,504×2,336 / マニュアル / ISO1600 / F5.6 / 1/20秒 / 0EV / オート / 17mm

 結果、やはり人が相手だと1/20秒では成功率が低く、撮れたのは数枚に1枚程度だった。とはいえISなしならほぼ全滅だったと考えると、手ブレ補正の効果には満足だ。


 後半はレンズを50mm F1.8に変更。ファインダーを覗いた瞬間にF1.8の明るさを実感する。焦点距離は35mm判換算で80mmなのでステージ全体を収めることはできないが、速いシャッター速度で切れる安心感で、撮影テンポが格段に向上する。ISO800でも撮影できるし、ISO1600や3200にすれば、普通にシャッターを切る感覚だ。

 17歳の具志亮君が演奏に加わる。彼の立ち位置は若干だが照明が明るい。撮影ポジションを移しながら、感度をISO800、1600、現像パラメーターもカラー、モノクロと変更しながら撮影してみる。ISO800でもノイズは少ない。50mm F1.8はキヤノンレンズの中でも極めて低価格なレンズだが、単焦点レンズならではの魅力を十分発揮してくれた。ISO1600でカラーとモノクロを比較すると、期待通りにモノクロの方がノイズが気になりにくい。またモノクロで撮ってみたいと感じた。

 最後にISO3200で撮影する。この連載でカスタム機能のISO3200を使用するのは初めてだ。明るい単焦点レンズと組み合わせての撮影は、ほとんど普段の感覚で撮影できる。今回のようにストロボが使用できない、あるいはストロボを使用すると雰囲気が出ないシーンでは効果絶大だ。比較すればノイズは増えているが、ISO3200に設定できることはプラスだと思う。等倍で見ると気になるノイズも、XGA程度で表示するなら問題ない。目的によっては積極的に使用しても良いだろう。


具志亮くんを50mm F1.8、ISO800で撮影。ノイズは少ない。2,336×3,504 / マニュアル / ISO800 / F2 / 1/80秒 / 0EV / オート / 50mm 同じく50mmでISO1600。さすがにノイズが気になる。2,336×3,504 / マニュアル / ISO1600 / F2.8 / 1/125秒 / 0EV / オート / 50mm ISO1600でモノクロ。比較すればノイズは気にならない。2,336×3,504 / マニュアル / ISO1600 / F2.8 / 1/128秒 / 0EV / ― / 50mm

ISO3200に設定。ノイズが気になるが、明るい単焦点レンズと組み合わせれば撮影は楽。3,504×2,336 / マニュアル / ISO3200 / F2.8 / 1/125秒 / 0EV / オート / 50mm ISO3200、モノクロ。やはりカラーよりノイズ感は少ない。3,504×2,336 / マニュアル / ISO3200 / F2.8 / 1/125秒 / 0EV / ― / 50mm

※初出時、小濱安弘氏の氏名を小濱安浩と誤って掲載していました。お詫びして訂正いたします。



URL
  キヤノン
  http://canon.jp/
  製品情報
  http://cweb.canon.jp/camera/20d/
  JAZZ INN LOVELY
  http://www.jin.ne.jp/lovely/


( 奥川 浩彦 )
2005/03/30 00:50
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