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ペンタックス *ist Ds【最終回】
クセはあるけど優れもの

Reported by 元麻布 春男


 11月の発売以来、5カ月近くにわたって*ist Dsを使ってきた。小型・軽量、ボタンやスイッチ類の少なさ、記録メディア(SDカード)などが気に入って購入したのだが、これらの点については全く不満はない。

 購入前は若干不安もあったが、バッテリ寿命についてもまず満足している。筆者が使用しているのは三洋電機の単三型2500シリーズのニッケル水素電池だが、たとえばIDF等の取材の場合、これを4本詰めて朝出かけて夕方ホテルに戻るまでに大体150~200枚程度の写真を撮る(別にコンパクトデジカメを併用)が、ストロボをあまり焚かないせいもあってか、バッテリ残量の警告を見ることはなかった。一応、予備の電池を1組常時携帯していたが、お世話にならずに済んだ。


上から最小容量がそれぞれ1,400mAh、1,500mAh、2,300mAhのニッケル水素単三電池。何気なく電池の大容量化は進んでいる
 一般に単三型電池を使用することのメリットとして、非常時にどこでも電池が入手可能である点が挙げられる。これは間違いないことだが、もう1つのメリットとして、電池の技術革新の恩恵を受けやすい、ということも挙げてよいと思う。新しい電極材料の開発など、電池の技術も日々進歩している。それは市販される電池にフィードバックされ、大容量の電池として製品化される。単三型という標準フォームファクターを採用したデジタルカメラなら、この恩恵を受けられる。つまり*ist Dsのバッテリ寿命は、今後さらに長くなる可能性を秘めているわけだ。

 *ist Dsのアドバンテージとして語られることが多いのは、このクラスとしては最も倍率が高く、見やすいファインダーだ。当然、ピントのヤマもつかみやすい。オートフォーカス全盛の時代に、ファインダーの見やすさにこだわるのは無意味なように思われるむきもあるかもしれないが、そんなことはない。オートフォーカスは決して万能ではないからだ。


梅の木に止まる鳥
TAMRON AF28-300mm(テレ端) / オートピクチャーモード風景 / 画像仕上げ:鮮やか / 1/180 / F8.0 / JPEGスーパーファイン / ホワイトバランスオート / マニュアルフォーカス / ISO 200
 右の写真はあまり適切な例ではないかもしれないが、羽根木公園で梅の木に止まる鳥を写したものだ。一応ピントはマニュアルで鳥に合わせたつもりだが、オートフォーカスだとピントが鳥にくるか、手前の枝にくるか、はたまた奥の梅の花にくるか、事実上運しだいになってしまう。測距点を選べるカメラでも、鳥と枝のように重なった対象物のどちらにピントを合わせるかの判断は難しい。こうした場合に一番確実なのは自分の手でピントを合わせることであり、それに勝るものはない。ファインダーをのぞいてマニュアルでピントを合わせるということに関して、おそらくこのクラス(10万円以下の普及価格帯)では*ist Dsがナンバーワンだと思われる。


 こうした優れた部分がある一方で、クセのようなものも感じる。たとえばオートピクチャーモードはほとんどカメラ任せになる撮影モードだが、ここで選ばれる撮影パラメータ(オートホワイトバランス、画像仕上げ等)を、基本モードで完全に再現することはどうやらできない。同じになるようパラメータを選んでも、完全に同じにはならないようだ。たとえば、晴天の太陽下で、オートホワイトバランスで撮影した場合と、ホワイトバランスを太陽光に設定した場合とで、必ずしも同じ絵になるとは限らない。撮影モードを選択するダイヤルの上側と下側で、全く異なるカメラという印象がある。

 オートピクチャーモードを選択すると、自動的に画像仕上げが鮮やかに固定されてしまう(彩度、シャープネス、コントラストが強い画像になってしまう)のが、良くも悪くも*ist Dsの個性で、そう思って使うのがスジだろう。若干どぎつい絵にはなる傾向はあるものの、オートモードそのものは比較的優秀で、それほど変な絵になることはあまりない。ただ、白熱灯のような色温度の低い照明下では、露出がアンダーに振られる傾向が強く出たり、太陽光下で黄色が強く出る場合があるようにも感じている。

 とはいえ、どんなカメラであろうと多少なりともクセはつきもの。結局は慣れの問題だろう。まだ5カ月ではすべてのクセを把握したとは到底いいがたいが、この短い連載が終わった後も、ボチボチと付き合っていこうと考えている。

※作例のリンク先は、撮影した画像データそのものです。


秋葉原のそば、湯島聖堂の大成殿(孔子廟)。昌平坂学問所の跡でもある。
PENTAX DA18-55mm(ワイド端) / オートピクチャーモード標準 / 画像仕上げ:鮮やか / 1/500 / F8.0 / JPEGスーパーファイン / ホワイトバランスオート / ISO 400
大成殿の中。内部は土、日、祝日に限り公開されている。
PENTAX DA18-55mm(24mm相当) / オートピクチャーモード標準 / 画像仕上げ:鮮やか / 1/20 / F4.0 / JPEGスーパーファイン / ホワイトバランスオート / ISO 400

大成殿手前の入徳門。大成殿は戦前に再建されたものだが、この入徳門は江戸時代のものがそのまま残っている。
PENTAX DA18-55mm(24mm相当) / オートピクチャーモード風景 / 画像仕上げ:鮮やか / 1/45 / F5.6 / 露出補正 -0.5 / JPEGスーパーファイン / ホワイトバランスオート / ISO 400
撮影時の天気は晴天。時間は2時過ぎだったが、それにしては黄色が強く出ている。
PENTAX DA18-55mm(38mm相当) / オートピクチャーモードマクロ / 画像仕上げ:鮮やか / 1/750 / F9.5 / 露出補正 / JPEGスーパーファイン / ホワイトバランスオート / ISO 400


( 元麻布 春男 )
2005/03/29 01:09
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