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オリンパスE-300【第8回】
OMの血統? デジタルで使うツインフラッシュ

Reported by 安孫子 卓郎


 ズイコー90mm F2.0マクロをはじめ、大昔のOM時代は「マクロのオリンパス」といわれたものだが、新しいズイコーデジタルのマクロレンズは今のところ50mm F2.0だけである。しかし、OMの伝統を継承したのか、早々にリリースされたのがツインとリングの接写用フラッシュシステムである。


E-300とSTF-22(コントローラFC-1、ツインフラッシュTF-22)の組み合わせ こちらはリングフラッシュのRF-11を装着したところ

 ツインフラッシュの「TF-22」とリングフラッシュの「RF-11」。このいずれかと、ホットシューに取り付けるコントローラーの「FC-1」とを組み合わせて使用する。たいていの場合、まずはコントローラーと発光部のセットモデル(ツインならSTF-22、リングならSRF-11)を購入するが、後から別の発光部だけを追加することもできる。使用できるレンズは50mm F2.0マクロのほか、14-54mm F2.8-3.5、50-200mm F2.8-3.5、11-22mm F2.8-3.5(TF-22のみ)。

 リングとツイン、どちらにするか迷うところだが、陰影を多少つけてクリエイティブに撮影するならツインフラッシュだ。E-300で使ってみると案外簡単。基本的にオートでそのまま使える。50mmマクロ単独はもちろんのこと、中間リングを使用して拡大接写を試みても、オートでちゃんと調光できるのは驚いた。デフューズパネルがセットされているので、発光部に装着。発光角度を最も内側にセットし、F11で絞り優先にすると、ほとんどの場合オートで問題ない。開放では制御しきれないこともあるようだが、絞り込めばオートで誰にでも使える。

 さらにクリエイティブな撮影を望むならマニュアルで調光すると良い。ツインフラッシュをマニュアルで、と聞くと「無理」と思う人もいるだろうが、やってみると実に簡単。というのはデジカメだからで、撮ってから液晶モニターを見て発光量を変えればよいわけ。倍率だ、距離だ、ガイドナンバーだと、フイルム時代は綿密に計算する必要があったが、デジタルでは撮ってから調整すればよいので計算の必要がない。

 ポイントは絞り優先にすることと、感度を100に固定すること。ホワイトバランスはオートで問題ない。感度を上げてしまうと調光オーバーになる可能性があり、絞りも開放付近ではオーバーになりがちだ。この2つに気をつければ、誰でもマニュアル調光ができるだろう。またマクロでは発光量が少ないため、チャージタイムがほとんどかからない。色々と工夫しながら撮影しても、コントローラーの電池がなくなる気配はなかった。

※作例のリンク先は、撮影した画像データをコピー後にリネームしたものです。クリックすると撮影した画像が別ウィンドウで表示されます。

※キャプション内の撮影データは、使用レンズ/画像解像度/露出プログラム/ISO感度/絞り値/露出時間/露出補正値/焦点距離です。


通常でも難しい赤いボケの花。花びらの中まできれいに光が回って自然な描写だ
ED50mm F2.0マクロ / 3,264×2,448 / 絞り優先AE / ISO100 / F5.6 / 1/100秒 / 0EV / オート / 50mm
黒い毛皮は露光が難しいが、オートのままで簡単に適正露光が得られた。他の数十枚でもほぼ同様の結果が得られており、偶然ではない
14-54mm F2.8-3.5 / 3,264×2,448 / 絞り優先AE / ISO100 / F3.5 / 1/100秒 / 0EV / オート / 54mm

発光部を外側やほぼ真後ろに向けることも可能。この作例は両側にバウンス板を置き、真横に向けて発光させたもの。ほぼ影のない柔らかい光で撮影ができる
14-54mm F2.8-3.5 / 3,264×2,448 / 絞り優先AE / ISO100 / F5.6 / 1/100秒 / 0EV / オート / 54mm
これも真横に向けてバウンスさせているが、右側を4:1と強めに発光させて、多少の陰影をつけた
14-54mm F2.8-3.5 / 3,264×2,448 / 絞り優先AE / ISO100 / F5.6 / 1/100秒 / -0.3EV / オート / 54mm

右から花びらが覆い被さっているので、右を強く1:4の発光。調光量も露出もマニュアルだが難しくはない。液晶モニターを見ながら値を変えるだけだ
ED50mm F2.0マクロ / 3,264×2,448 / 絞り優先AE / ISO100 / F16 / 1/60秒 / -0.7EV / マニュアル / 50mm
一度マニュアルで設定すれば、構図を自由に変えても同じ露光が得られる
ED50mm F2.0マクロ / 3,264×2,448 / 絞り優先AE / ISO100 / F16 / 1/60秒 / -0.7EV / マニュアル / 50mm

 残念なのは、発光データがExifに細かく反映されないこと。最近のExifデータは、各メーカーの進歩に追いつかないところもあって軽視されがち。ホワイトバランスなどもほとんど記入されておらず、メーカーノートの中に記載されて専用ソフトで読み出しているのが現状だ。今回E-300とツインフラッシュを使ってみて、発光データがメーカーノートにも記載されていないことがわかった。

 本来メーカーノートにはExifでは対応しきれないところをカバーしてもらいたいのだが、残念ながら肝心なところが抜けている。他社のツインフラッシュではどうなるのかわからないが、今後改善してもらいたい部分である。

 さらに最大の不満は、50mm F2.0マクロと組み合わせて使うのに必須のフラッシュアダプタリング「FR-1」が定価で13,125円もすること。当然マクロレンズで使うことが考えられるのに、単なるアダプタリングにこの価格は高すぎる。

 その上結構かさばるのが難点だが、使いこなしは非常に楽。50mm F2.0マクロとの組み合わせで、昆虫や植物採集などに威力を発揮する。難しそうだと尻込みしている人でも、十分にお奨めできる製品だ。


クリップオン、リング、ツインの撮り比べ

 E-300用のクリップオンストロボ「FL-36」も交えて同一条件で撮り比べてみた。すべて3,264×2,448ピクセル、絞り優先AE、ISO100、絞り値F8、シャッター速度1/100秒、露出補正なし、ホワイトバランスオートで撮影。レンズは50mm F2.0マクロで統一している。


【FL-36】発光部を上に向け、バウンス板を使って撮影。花そのものは柔らかく撮れているが、下の方に影が見える 【RF-11】「リングフラッシュ」といいつつも2カ所や4カ所が発光する製品もあるが、RF-11は完全な円形に発光する 【TF-22】マクロではツインが一番使い出がありそうだ。工夫すれば無影撮影も行なえるし、調光量を加減して陰影をつけることも可能。GNも22と大きく、被写体との距離が少し離れても対応できる


URL
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/
  製品情報(E-300)
  http://www.olympus-esystem.jp/products/e300/
  製品情報(Eシステムマクロフラッシュシステム)
  http://www.olympus-esystem.jp/products/flash/macro/


( 安孫子 卓郎 )
2005/03/25 00:29
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