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ペンタックス *ist Ds【第7回】
単焦点レンズ、冬の時代

Reported by 元麻布 春男


PIE2005でペンタックスが公表したデジタル一眼レフ向けレンズのロードマップ
 手ごろな価格で買えて、気軽に使える単焦点レンズが欲しい、というのは前回書いたことだが、単焦点レンズの市場性はどんどん厳しくなっているようだ。先週、東京ビッグサイトで開催されたフォトイメージングエクスポ2005(PIE2005)のペンタックスブースに示されていたロードマップによると、今年から来年にかけて予定されている単焦点レンズは2本、広角と望遠それぞれのデジタル専用Limitedレンズだけだった。

 現行品でも、デジタル対応として発売されたのはパンケーキ(DA40mm F2.8Limited、デジタル専用)あるいはマクロ(デジタル、フィルム兼用のDFA Macro 50mm F2.8およびDFA Macro 100mm F2.8)に限られる。要するに、極端に小型軽量(パンケーキ)か、ズームでは寄れない距離まで寄れる(マクロ)か、そういった「特徴」がないと、単焦点レンズというのは新規に商品化できない、ということなのだろう。

 昔も、単焦点レンズとズームレンズの住み分けはあったけれど、もっと単焦点レンズの居場所が広かった。明るく高画質な単焦点レンズと、便利だけれど暗くて画質に妥協が必要なズームレンズ、という区別が厳然としてあったように思う。この原則は変わっていないのだろうけれど、圧倒的にズームレンズの領域が拡大しているのは、非球面レンズやEDレンズなどにより、ズームレンズの画質が向上していることが大きな要因だろう。


 デジタル一眼レフカメラの場合、最低感度がISO200で、ISO800は常用域に入る。昔は最初に買うレンズとして50mm F1.2やF1.4といった明るい標準レンズを買ったものだが、高感度が当たり前になったことで、それほど明るいレンズにこだわる必要がなくなった。一眼レフの場合、レンズが明るければファインダーも明るくなるという大きなメリットがあるのだが、オートフォーカスの普及で、これも以前ほどは重要ではない。

 もう1つ大きいのは、デジタルになって撮影中に簡単に感度を変えられるようになったことだろう。デジタルといえど感度を上げればノイズが増えるが、状況に合わせて感度設定できることがズームレンズの普及を後押ししている。フィルムカメラだと、一度高感度フィルムを入れてしまうと、基本的には撮り切るまで高感度で使うしかない。NDフィルターで感度を相殺することはできても、画質まで低感度フィルム並みになるわけではない。もちろん、こうした理屈以上に、コンパクトタイプのデジタルカメラでズームレンズ内蔵が当たり前になっていることも、カメラのレンズはズームできて当たり前、という意識を植え付けるという点で、ズームレンズの普及に貢献しているのだろう。

 さて、ロードマップに戻って2本の単焦点Limitedレンズだが、「薄型」とあるものの、説明員の方から、これらがいわゆるパンケーキレンズである、という言質をもらうことはできなかった。まあ、常識的にはそう考えてもいいだろう。とすると将来のペンタックスデジタル一眼レフ用単焦点レンズは、広角、標準、望遠とパンケーキタイプで構成されることになる。かなり個性的なラインナップだ。


ガラス越しに展示された2本のズームレンズ
 ズームレンズでは、会場で2本が参考出品されていた。1つは直前のPMA2005でも参考出品されていたDA50-200mmF4-5.6 ED、もう1本がDA12-24mmF4 ED AL(IF)だ。いずれもデジタル専用だが、軽量コンパクトな4倍望遠レンズである前者は、キットレンズ(DA18mmF3.5-55mmF5.6 AL)とペアになりそうな雰囲気で、値段の方もお手ごろ価格が期待される。ロードマップで真下に、ほぼ同じ焦点域をカバーする「DFA高性能望遠ズーム」(高級版)があることも、DA50-200mmF4-5.6EDが低価格に設定されると推測される理由の1つだ。このクラスの高性能望遠ズームというと、現行ラインナップではFA★ズーム 80mm-200mmF2.8ED(IF)があるが、DFA高性能望遠ズームがフィルム一眼レフとデジタル一眼レフの共用であることを考えると、事実上の後継製品ということになるのかもしれない。ひょっとすると初のDFA★(スター)レンズになるのだろうか。

 DA50-200mmF4-5.6EDに比べるとFA12-24mm F4は、ちょっと値が張りそうだ。パッと見では同じような大きさに見えるが、こちらの方が実際は大きい。重量がまだ未公表になっていることからして、DA50-200mmF4-5.6EDより製品化時期が遅いのかもしれないが、すでに形になっているのだから、それほど遅れることもあるまい。ただ、いずれのレンズもガラスケース越しの展示で、持参の*ist Dsに装着するのはもちろん、触ることもできなかったのは残念だった。

 ちなみに、ペンタックスのレンズカタログには、なぜかデジタル対応レンズが一切掲載されていない。その理由をうかがってみたが、特別な意図はないとのこと。次の全面改訂時には、デジタル対応レンズもカタログに掲載されるようだ。

※作例のリンク先は、撮影した画像データそのものです(ファイル名のみ変更してあります)。


PENTAX DA18-55mm(テレ端) / プログラムオート / 画像仕上げ:ナチュラル(彩度やや強、シャープネス標準、コントラスト標準) / JPEGスーパーファイン / ホワイトバランス:ストロボ / ストロボ強制発光 / 1/125 / F5.6 / 露出補正+0.5 / ISO400
PIE2005 ソニーブースでDSC-T7のデモをするモデルさん。これまで*ist DsのオートAEを比較的信頼してきたが、PIE2005会場ではアンダー傾向が強く出た。同じ屋内イベントでもIDF等では経験しなかったことなので、最初はとまどった
TAMRON AF28-300mm(73mm相当) / オートピクチャーモード人物 / 画像仕上げ:鮮やか / JPEGスーパーファイン /ホワイトバランス:オート / 1/125 / F4.5 / 露出補正+1.0 / ISO400
PIE2005 ペンタックスブースで、MPEG-4動画が撮れるコンパクトデジタルカメラOptio S5nのデモをするモデルさん

PENTAX FA28mm / オートピクチャーモードマクロ / 画像仕上げ:鮮やか / JPEGスーパーファイン / ホワイトバランス:オート / 1/90 / F5.6 / ISO200
羽根木公園のヤブツバキ
TAMRON AF28-300mm(135mm相当) / プログラムオート / 画像仕上げ:ナチュラル(彩度やや強、シャープネスやや強、コントラストやや強) / JPEGスーパーファイン / ホワイトバランス:オート / 1/350 / F9.5 / ISO200

PENTAX FA28mm / オートピクチャーモード標準 / 画像仕上げ:鮮やか / JPEGスーパーファイン / ホワイトバランス:オート / 1/125 / F5.6 / ISO200
羽根木公園の梅も今年は遅れ気味。2月末まで開かれていた梅まつりが終わってから見ごろとなった印象


( 元麻布 春男 )
2005/03/22 15:14
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