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キヤノンEOS 20D【第14回】
フィギュアスケート~浅田真央を撮る

Reported by 奥川 浩彦


 筆者の地元、名古屋はフィギュアスケート王国だ。過去には伊藤みどり、最近では安藤美姫、浅田真央の2人は来年の冬季トリノ五輪とその4年後のバンクーバー五輪のメダル候補といわれている。

 2004年12月に行なわれた全日本選手権で2年連続優勝を果たした安藤美姫選手は現在17歳、中京大中京高校の2年生だ。女子初の4回転ジャンプで一躍有名になり、雑誌やテレビに多数登場している。写真週刊誌には熱愛報道? も出る過熱振りだ。3月18~19日の世界選手権での活躍も期待される。

 浅田真央選手は3月3日の世界ジュニア選手権で優勝、12月のジュニアグランプリファイナルに続き世界タイトル二冠を達成した。名古屋市立高針台中学2年、14歳ですでに3回転半を飛ぶ期待の星だ。残念ながらトリノには年齢制限で参加できない。ちなみに前年の世界ジュニア優勝者は安藤美姫選手。

 今回は世界ジュニア選手権直前の愛知県大会に出場した浅田真央選手を撮影した。

 場所は自宅から車で10分程のレインボーアイスアリーナ。フィギュアスケートは撮影どころか、大会を見るのも初めてだ。予備知識がなく行き当たりばったりで会場へ向かったが、場外はそれほど人影もなく閑散としている。世界の浅田選手が前日のショートプログラム1位と地元朝刊紙に載っても、あくまで県大会ってことで入場無料、観客席も100人程度で撮影場所は自由に選べる状況だ。

 解放されている観客席はバックスタンド側2階席のみ。中央前方に陣取って撮影開始だ。運良くお目当てのジュニア選手権の女子フリーが始まった。浅田選手は一番最後に登場するので、その間にテスト撮影をする。

 しばらくして、正面と背面で演技が異なることに気付いた。採点競技だから当然なのだが審判員の方向が正面となり、両手を広げて片足で滑る決めポーズをはじめ、バックスタンド方向に滑る選手はいない。バックスタンド側のメリットは練習や演技の出入りが目の前になり、選手を間近で見られることだ。

 会場の明るさは微妙だ。室内としては明るい方だが、速いシャッターを切るにはISO800か1600に上げる必要がある。スタンドからリンクまでの距離はそこそこで、焦点距離200~300mmのレンズで十分だ。シャッター速度1/320秒でテスト撮影を始めるが、スピンやジャンプで被写体がブレしてしまう。できれば1/500~1/1,000秒のシャッター速度で撮影したい。また、リンクの中央と周辺では光量に差があり、暗いのは周辺。悲しいかなどの選手も周辺付近でジャンプすることが多いので、条件は厳しい。AFも選手ではなくリンク表面に合うことがあり、AFセンサーはセンター1点を使用することに。

 レンズは明るさを重視してEF200mm F2.8を選択する。最初は観客席の前列で撮影するが、角度が緩くなる分、審判員が写るなど背景がスッキリしない。よくよく回りを見渡すと報道カメラマンはF2.8の大口径レンズを使用して上段で撮影をしている。中段に移動してファインダーを覗くと背景はスッキリするがやや距離が遠く被写体は小さめとなる。EF300mm F4の選択肢もあるがレンズが暗くなるのは少々辛い。


浅田選手。2,336×3,504 / ISO1600 / マニュアルAE / F2.8 / 1/800秒 / 0EV / オート / 200mm 3,504×2,336 / ISO1600 / マニュアルAE / F2.8 / 1/800秒 / 0EV / オート / 200mm

3,504×2,336 / ISO1600 / マニュアルAE / F2.8 / 1/800秒 / 0EV / オート / 200mm 審判に向かって演技。後ろ姿は残念。3,504×2,336 / ISO1600 / マニュアルAE / F2.8 / 1/800秒 / 0EV / オート / 200mm

3,504×2,336 / ISO1600 / マニュアルAE / F2.8 / 1/800秒 / 0EV / オート / 200mm フィニッシュを決めた後バックスタンドへ挨拶。2,336×3,504 / ISO1600 / マニュアルAE / F2.8 / 1/1,250秒 / 0EV / オート / 200mm

【お詫びと訂正】記事初出時、作例写真のリンク先を誤っておりました。お詫びして訂正させていただきます。

 浅田選手の演技が始まる。演技時間はわずか3~4分、一発勝負なので安全を考え、シャッター速度を1/800に設定する。他の選手もかなり上手なのだが、浅田選手の演技は素人目に見てもワンランク違う。スピンやジャンプの回転も他の選手より速く感じたので、途中からシャッター速度を1/1,250秒に上げる。

 でき映えは――微妙。高感度撮影のノイズを許容範囲と見るか否かは個人の判断によるだろう。試しにトリミングしてL判にプリントしてみるとそこそこ綺麗だ。柔道やバスケットなど、子供の室内競技、あるいは演劇やバレエなどを撮影して身内にプリントを渡すなら、コンパクトカメラとは一味違う写真が渡せるだろう。標準ズームでは少々厳しいのでF2.8クラスの望遠レンズがあれば撮影範囲が広がるのでお奨めだ。



URL
  キヤノン
  http://canon.jp/
  製品情報
  http://cweb.canon.jp/camera/20d/
  フィギュアスケート世界選手権2005公式サイト
  http://www.worlds2005.com/
  世界ジュニア選手権結果(PDF)
  http://www.isufs.org/results/wjc2005/WJC05_Ladies_FS_Score.pdf


( 奥川 浩彦 )
2005/03/16 00:16
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