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オリンパスE-300【第6回】
フォーサーズ唯一のマクロレンズを使う

Reported by 安孫子 卓郎


E-300とズイコーデジタルED 50mm F2.0 Macro
 E-1と共に最初にリリースされたレンズのひとつが「ズイコーデジタルED 50mm F2.0 Macro」だ。フォーサーズでの焦点距離50mmは100mmに相当するので、適度なワーキングディスタンス(被写体からレンズ面までの距離)が得られる「中望遠マクロ」といえる。

 撮影倍率は1/2倍。35mm判の等倍に相当する。35mm用レンズの場合、現在は等倍のマクロが普通なので、デジカメにつけて1.5倍になると等倍以上の拡大撮影が行なえる。そこから見ると物足りないともいえるのだが、等倍付近の撮影ともなると三脚を据えなくては、しっかりした撮影が行ないにくい。APS-C撮像素子のデジカメに100mmのマクロをつければ大きなボケの美しいマクロ撮影が行なえるのだが、手ブレも大きくなり、コサイン誤差によるピント移動もあり、難易度は高くなる。そこへ行くとフォーサーズでの50mmマクロは被写界深度も深く、ワーキングディスタンスもあり、倍率も高くなりすぎない。面白みとしては今ひとつだが、扱いやすさという点では群を抜くレンズだ。

 今回は新宿御苑の温室に出かけてみた。冬場に温室の撮影をするときの注意だが、いきなり寒い屋外から温室の中にはいると、レンズが曇ってしまうことがある。レンズやカメラの内部に結露するため、場合によると錆びなどの原因にもなる。「E-300と違いE-1なら防塵防滴」、といいたいところだが、内部の結露に関しては関係ない。

 その対策にはコツがある。多くの温室は、湿度の高いジャングル温室から始まっていることが多い。そこで、まずはカメラバッグや上着の中などにカメラをしまったまま、湿度の高い場所をサッと通り抜けてしまう。サボテンなど比較的乾燥した場所があるので、まずはそこで撮影。レンズが十分暖まったのち、戻るか、一周してするかして、ジャングル温室での撮影に取りかかる。

 このレンズには、ひとつ気に入らないところがある。電動のピントリングである。冒頭で使ったコサイン誤差とは、構図を変える(レンズの角度を変える)とピントが移動してしまうことで、マクロ領域ほど問題になりやすい。これを避けるには、初めに構図を決めておき、MFでピントを合わせるのがコツ。しかしMFの場合、電動でクルクル回るピントリングは使いにくい。筆者も大部分のレンズはAFで撮影するが、本格的なマクロ撮影だけはMFの方が撮りやすい。

 「測距点が多ければ」と思われるだろうが、筆者のニーズからすれば、マクロ用には少なくとも20カ所程度のAFポイントがほしいところだ。また数が多くても、マクロではコントラストが低く、どうにもピントが合わないケースも多い。オリンパスは今年、標準と望遠マクロレンズをリリースするそうだが、ピントリングの改善だけは強く望みたい。


※作例のリンク先は、撮影した画像データをコピーし、リネームしたものです。
※キャプション内の撮影データは、画像解像度(ピクセル)/ISO感度/露出モード/絞り値/露出時間/露出補正値/焦点距離(35mm判換算)です。


ジャスミナム レクス。手前の花にピントを合わせた。3,264×2,448 / 絞り優先AE / ISO100 / F2.8 / 1/320秒 / +0.3EV / 50mm 奥のつぼみにピントを合わせ、手前は前ボケに。前ボケが大きさが大切なので、より接近して撮影する。3,264×2,448 / 絞り優先AE / ISO100 / F2.8 / 1/160秒 / +0.3EV / 50mm

ノウゼンカツラ科のキンレイジュ。背景までに距離があり、花全体をとらえてもいけそうだったので、少し引いたところから全体を撮影。3,264×2,448 / 絞り優先AE / ISO100 / F2 / 1/2,000秒 / 0EV / 50mm さらに上の三輪だけを切り取って中のシベにピントを合わせる。ここまでコントラストが低いと、いかなるAFも苦戦は免れない。ピントを固定し、カメラを前後させ撮影する。3,264×2,448 / 絞り優先AE / ISO100 / F4.5 / 1/250秒 / 0EV / 50mm

クササンタンカ。直射日光が当たってない場合の作例。3,264×2,448 / 絞り優先AE / ISO100 / F2 / 1/320秒 / 0EV / 50mm 日が差すとこれくらい色が変わる。花の色を出すなら弱い日差しが必須。3,264×2,448 / 絞り優先AE / ISO100 / F2 / 1/1,250秒 / 0EV / 50mm


URL
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/
  製品情報(E-300)
  http://www.olympus-esystem.jp/products/e300/
  製品情報(E-300)
  http://www.olympus-esystem.jp/products/lens/50_20M/


( 安孫子 卓郎 )
2005/03/11 00:44
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