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キヤノンEOS 20D【第3回】
AF性能に満足するも、異例の事態に弱気の虫が

Reported by 奥川 浩彦


混雑したスプーン周辺。定番の場所が空いていない
 F1グランプリは土曜日に計90分のフリー走行と日曜日のスタート順を決める予選を行なう。しかし今年はF1史上初の台風による中止の事態となる。土曜日にキャンセルされた予選は日曜日の午前中に変更となり、1日で予選と決勝を行なう異例のグランプリとなった。結果として周回数の多い(=撮影機会の多い)フリー走行は一度もまともに行なわれない、EOS 20Dに取って悲しい展開だ。

 日曜日、天気は良好。鈴鹿市内は近年にない大渋滞だ。サーキットには'90年前後のセナプロ時代並みの大観衆が集まっている。これだけ人が集まると撮影場所を確保するのは困難を極める。しかも周回数の多いフリー走行と違い現在の予選方式は1台ずつ1ラップでタイムアタックをするので撮影チャンスも少ない。目指すはヘアピンとサーキット一番奥のスプーンカーブだ。

 1回目の予選。ヘアピンの撮影場所をクリッピングポイントの正面アングルと決めた。「スミマセン、スミマセン」と座っている観客の間を50mほどかき分けたどり着く。シートを広げ場所取りしてる人に「最初の10台くらい撮らせてもらえますか」とお願いして隙間を確保。新しいカメラがなかったら絶対ここまで来ない、というより激混みの決勝日にカメラなぞ持って来ないだろう。

 マシンを正面から撮影する時はできるだけシャッター速度を上げたい。1/500秒でシャッターを切るためにISO400にセット、レンズは300mm F4に×1.4コンバーターを装着。35mm判換算で焦点距離672mmとなるが、基本的にサーキットでは手持ちで撮影している。この場所でも昨年EOS D60ではAFが追従できず置きピンで撮っていたが、20Dはそこそこ追従しているようなのでAFで撮影する。

 空は晴れているが、路面はウェット。本来であればマシンは赤白のコーナー縁石をかすめて通るので、コーナーの頂点に置きピンして待っていれば、ファインダーにマシンが現れ、シャッターを切るだけだ。ところが水の溜まりやすいイン側を避けるため各車が通るラインが一定しない。加えて他人の隙間を借りて撮影してるのでレンズも振りにくく、極めて悪条件の撮影だ。こうなると672mm相当のファインダーにマシンを収めるのは筆者の腕では難しく、結果的にピンボケも多くなる。EOS 20Dの液晶画面で拡大してもそこそこ写っている程度ならわかるが、細かいピントまでは残念ながら確認できない。


スプーン入り口。シャッター速度は1/125秒。3,504×2,336 / シャッター速度優先AE / ISO 100 / F6.3 / 1/125(秒) / 0 / オート / 300mm 同じくスプーンカーブ。弱気の1/160秒。3,504×2,336 / シャッター速度優先AE / ISO 100 / F7.1 / 1/160(秒) / 0.7 / オート / 300mm

300mm F4に×1.4コンバータで撮影。3,504×2,336 / シャッター速度優先AE / ISO 400 / F6.3 / 1/500(秒) / 0 / オート / 420mm 同じくヘアピンにて。3,504×2,336 / シャッター速度優先AE / ISO 400 / F7.1 / 1/500(秒) / 0 / オート / 420mm

 予選1回目の途中でヘアピンを後にしてスプーンカーブへ移動。ここにも驚くほど観客がいる。定番の撮影ポイントはすでに望遠レンズが並んでいて隙間がない。少し外れた足場の悪い斜面で我慢して2回目の予選に臨む。流し取りの場合はシャッター速度は1/60秒から1/125秒が標準的だ。1/250秒以上ではスピード感の表現は難しい。これはどんなレンズを使用していてもほぼ共通だ。1/8~1/30秒は極端に成功率は落ちるがアートな絵を撮ることができる。

 決勝は撮影する気がないのでこの予選が最後となる。金曜から悪条件もあり満足に撮れていない。ここでは少々弱気な感はあるがシャッター速度を1/125~1/160秒と安全な方向にセットして臨むことにする。レンズはコンバーターを外し300mm F4、感度もISO100に戻す。しかし弱気は結果に影響し、例えばフェラーリ、シューマッハの画像を拡大して見るとバイザー越しに顔が見えたり、手袋のマルボロの刺繍も認識できたりとまずまずとも思えるが、縮小して全体を見ると1/160秒での撮影はイマイチ迫力に欠ける。

 1年越しの思いで臨んだ“F1にデジイチ”計画は台風の影響で決して満足できるものではなかったが、20Dの実力を感じることはできた。2005年、19年目の鈴鹿でリベンジだ。



URL
  キヤノン
  http://canon.jp/
  製品情報
  http://cweb.canon.jp/camera/20d/


( 奥川 浩彦 )
2004/12/22 01:11
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