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ペンタックス「DA★ 55mm F1.4 SDM」

交換レンズ実写ギャラリー
Reported by 中村文夫

K20D / DA★ 55mm F1.4 SDM / 約7.6MB / 3,104×4,672 / 1/1,000秒 / F1.4 / 0EV / ISO100 / WB:オート




K20Dに装着した状態。発売は2月20日。店頭予想価格は8万円前後の見込み
 DA★ 55mm F1.4 SDMはAPSフォーマットを採用したデジタルカメラ専用レンズだ。35mm判に画角を換算すると焦点距離84.5mmに相当。昔からポートレート用として活躍してきた大口径中望遠レンズのデジタル版だ。

 製品名に付いている★(スター)は高品位レンズの意味。解像力やコントラスト、発色やボケ味など、あらゆる意味で最高の画質を追求した製品である。

 ペンタックスにはFA★ 85mm F1.4という有名なレンズがある。このレンズはフィルムカメラの時代の製品で、シャープな切れ味と美しいボケで定評がある。製造中止になった今でもポートレート撮影用の名玉して中古市場で絶大な人気を誇っている。今回レポートするDA★ 55mm F1.4 SDMは、このレンズの描写を意識して設計されたものであるという。

 設計者はFA★ 85mm F1.4を手掛けた平川純氏。彼はDA 40mm F2.8 Limitedをはじめ、数々の名レンズを世に送り出しているが、今回のDA★ 55mm F1.4 SDMは久しぶりに設計した高級レンズとのこと。なお平川氏自ら主催する掲示板にコメントが掲載されているので、興味のある人は覗いてみるとよいだろう。

 DA★ 55mm F1.4 SDMはデジタル専用レンズなので、デジタルカメラで使用した場合に最高の性能が発揮できるよう、最新のテクノロジーが注ぎ込まれている。

 まず最初に挙げたいのが、エアロ・ブライト・コーティングだ。ペンタックスのレンズは古くからSMCと名付けられたマルチコーティングを採用、逆光に強く悪条件でもクリアな像が得られることで知られている。従来のコーティングの上に新開発のシリカエアロゲルをコート。シリカナノ粒子の集合体に均質な空隙を含ませたナノテク材料をコーティングに用い、反射率を抑えフレアやゴーストを低減するとともに高い透過率を実現した。

 今回のレポートでは従来からあるスーパーマルチコーティングを施したレンズと比較してみたところ非常に高い効果が確認できた。また専用フードの内側に植毛を施すなど、フレアやゴーストへの対策も万全である。このほかレンズ第1面には、SP(スーパープロテクト)コーティングを施し汚れが付きにくくなっている。


 レンズ構成は8群9枚で、コマ収差や収差変化を徹底的に抑えた設計を採用。第8レンズに異常低分散ガラスを使用し、色のにじみを高度に補正している。そのため絞り開放から高コントラストでシャープな像を得ることができる。このほかペンタックスの交換レンズとして初めて円形絞りを採用。開放からF2.8程度まで絞りが円形に保たれるので、ハイライト部のボケが多角形になることがない。

 AF駆動はSDM(超音波モーター)。AFスピードは従来品とそれほど変わらないが、作動音が静かで使っていて気持ちがよい。なお、他のDAスターレンズのようにAFカプラー駆動メカを装備していないのでSDM対応ボディでないとAFが作動せず、*ist Dなどの初期のボディだとピント合わせMFになる。

 実際に使ってみて強く感じたのは、ピント合わせが非常に難しいレンズであるということ。絞り開放だと想像以上に被写界深度が浅く、一旦ピントを合わせた後、カメラや被写体がほんの少し前後に動いただけで、ピンボケになってしまう。特にポートレートなど、中~近距離撮影では、この影響を受けやすく、かなり慎重にピントを確認したつもりでも、ピンボケになることが多い。

 またこのレンズは、ピントが合うと非常にシャープだが、少しでもピントがずれると、たちどころに鮮明さが失われる。いわば、ちょっとハンドルを切っただけで、敏感に反応するレーシングカーのようなもの。とにかく、このレンズの使いこなしのポイントは、“正確なピント合わせ”に尽きる。

モデル:原智美(ルフプロモーション)

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。





K20D / DA★ 55mm F1.4 SDM / 約10.5MB / 3,104×4,672 / 1/800秒 / F11 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート K20D / DA★ 55mm F1.4 SDM / 約7.0MB / 4,672×3,104 / 1/60秒 / F1.4 / 0EV / ISO100 / WB:オート

K20D / DA★ 55mm F1.4 SDM / 約7.9MB / 4,672×3,104 / 1/4000秒 / F1.4 / 0EV / ISO100 / WB:オート

K20D / DA★ 55mm F1.4 SDM / 約7.1MB / 3,104×4,672 / 1/50秒 / F2.5 / 0EV / ISO100 / WB:オート K20D / DA★ 55mm F1.4 SDM / 約7.0MB / 4,672×3,104 / 1/200秒 / F1.4 / 0EV / ISO100 / WB:オート

K20D / DA★ 55mm F1.4 SDM / 約6.9MB / 4,672×3,104 / 1/4,000秒 / F2.2 / 0EV / ISO100 / WB:オート K20D / DA★ 55mm F1.4 SDM / 約7.8MB / 3,104×4,672 / 1/2,000秒 / F1.4 / 0EV / ISO100 / WB:オート

K20D / DA★ 55mm F1.4 SDM / 約8.7MB / 3,104×4,672 / 1/1,000秒 / F1.4 / 0EV / ISO100 / WB:オート K20D / DA★ 55mm F1.4 SDM / 約8.1MB / 3,104×4,672 / 1/320秒 / F2 / 0EV / ISO100 / WB:オート

K20D / DA★ 55mm F1.4 SDM / 約6.7MB / 3,104×4,672 / 1/500秒 / F1.4 / 0EV / ISO100 / WB:オート

K20D / DA★ 55mm F1.4 SDM / 約5.6MB / 4,672×3,104 / 1/4,000秒 / F1.4 / 0EV / ISO100 / WB:オート




K20D / DA★ 55mm F1.4 SDM / 約6.7MB / 3,104×4,672 / 1/1250秒 / F1.4 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート





URL
  ペンタックス
  http://www.pentax.jp/
  製品情報
  http://www.pentax.jp/japan/imaging/digital/lens/index35_long.html#11

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中村文夫
(なかむら ふみお) 1959年生まれ。学習院大学法学部卒業。カメラメーカー勤務を経て1996年にフォトグラファーとして独立。カメラ専門誌のハウツーやメカニズム記事の執筆を中心に、写真教室など、幅広い分野で活躍中。クラシックカメラに関する造詣も深く、所有するカメラは300台を超える。1998年よりカメラグランプリ選考委員。

2009/02/16 12:40
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