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ニコン「AF-S NIKKOR 50mm F1.4 G」

交換レンズ実写ギャラリー
Reported by 大浦タケシ

D3X / AF-S NIKKOR 50mm F1.4 G / 約8.3MB / 4,032×6,048 / 1/320秒 / F2 / +1EV / ISO100 / WB:オート / 50mm




D3Xに装着したところ。発売は2008年12月5日。価格は6万3,000円
 32年ぶりに新規光学設計となったニコンの標準レンズだ。有効2,450万画素フルサイズフォーマット(FXフォーマット)のD3Xとともに発表された。大口径F1.4であることと、比較的手に入れやすい価格設定が魅力である。量販店における実勢価格は現在5万3,000円前後である。

 レンズ構成は7群8枚。変形ガウスタイプで、6群7枚であるAi AF Nikkor 50mm F1.4 Dの後群に1枚加わったものとなる。標準レンズは光学特性の秀逸なレンズが多いが、この1枚を加えたことでサジタルコマフレアおよび色コマ収差をさらに低減する。残念ながら最新のナノクリスタルコートは採用されていないが、フレアやゴーストに対しても強い光学設計ゆえ見送られたということだ。

 絞り羽根は9枚。絞りリングのないGタイプのため、Ai方式以前のカメラに装着して楽しむことはできない。AF駆動には超音波モーターSWM機構を採用しており、静粛性の高いスムーズなAFを実現するとともに、D40、D40X、D60にも装着することが可能。合焦後のMFによるピントの微調整も可能なフルタイムMF機能も搭載している。フィルター径は58mm、重量は約280gとコンパクトに仕上がったレンズだ。

 得られる描写は単焦点レンズらしいコントラストとシャープネスの高いものである。フレアの発生が少なくクリアで、ヌケの良さはこれまでのニッコールのなかでもトップレベル。そのうえ光学解像度も高く、線の繊細さは安価な標準ズームと比べるまでもない。開放絞りでも比較的芯のある描写が得られるのもこのレンズの特徴だ。前述したとおりナノクリスタルコートは採用されていないが、充分な光学特性でデジタルに即した現代的な味付けのレンズといえる。ボケ味に関しても柔らかく、円形絞りのため絞り込んでも真円に近いためか、どの絞り値でも嫌みのないものだ。なお、MF時のフォーカシングは適度なトルク感があり操作性も良好である。

 ズームレンズが主流となって、標準レンズがそれまでの主役的存在から脇役に退いて久しい。カメラ愛好家のなかには標準レンズを所有していないユーザーも多くいるのではないだろうか。そのようななか登場した本レンズは、デジタル時代の新しいスタンダードに相応しい光学性能と描写特性を有する。D3XをはじめD3、D700といったフルサイズ機でその真価を発揮するが、APS-Cサイズ(DXフォーマット)のユーザーも持っていて決して損のないレンズといえるだろう。

※モデル:中神幸子(マイルストーン)

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D3X / AF-S NIKKOR 50mm F1.4 G / 約12.4MB / 6,048×4,032 / 1/640秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 50mm D3X / AF-S NIKKOR 50mm F1.4 G / 約14.0MB / 6,048×4,032 / 1/30秒 / F8 / -2.0EV / ISO100 / WB:オート / 50mm

D3X / AF-S NIKKOR 50mm F1.4 G / 約19.8MB / 4,032×6,048 / 1/320秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 50mm D3X / AF-S NIKKOR 50mm F1.4 G / 約7.5MB / 4,032×6,048 / 1/320秒 / F2 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / 50mm

D3X / AF-S NIKKOR 50mm F1.4 G / 約14.3MB / 6,048×4,032 / 1/400秒 / F4 / -0.7EV / ISO100 / WB:晴天 / 50mm D3X / AF-S NIKKOR 50mm F1.4 G / 約10.8MB / 4,032×6,048 / 1/1,600秒 / F4 / +0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 50mm

D3X / AF-S NIKKOR 50mm F1.4 G / 約7.4MB / 4,032×6,048 / 1/400秒 / F2 / +1.3EV / ISO100 / WB:オート / 50mm D3X / AF-S NIKKOR 50mm F1.4 G / 約12.3MB / 4,032×6,048 / 1/640秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 50mm

D3X / AF-S NIKKOR 50mm F1.4 G / 約12.7MB / 4,032×6,048 / 1/250秒 / F8 / -0.3EV / ISO100 / WB:オート / 50mm D3X / AF-S NIKKOR 50mm F1.4 G / 約12.7MB / 6,048×4,032 / 1/250秒 / F2 / -1EV / ISO1600 / WB:オート / 50mm

D3X / AF-S NIKKOR 50mm F1.4 G / 約11.0MB / 6,048×4,032 / 1/100秒 / F2.8 / -0.7EV / ISO800 / WB:オート / 50mm D3X / AF-S NIKKOR 50mm F1.4 G / 約10.8MB / 6,048×4,032 / 1/160秒 / F1.4 / -0.7EV / ISO400 / WB:オート / 50mm

D3X / AF-S NIKKOR 50mm F1.4 G / 約7.6MB / 4,032×6,048 / 1/25秒 / F5.6 / +1EV / ISO100 / WB:オート / 50mm D3X / AF-S NIKKOR 50mm F1.4 G / 約10.5MB / 4,032×6,048 / 1/60秒 / F2.8 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 50mm




D3X / AF-S NIKKOR 50mm F1.4 G / 約6.1MB / 4,032×6,048 / 1/400秒 / F1.4 / +2.0EV / ISO100 / WB:オート / 50mm





URL
  ニコン
  http://www.nikon.co.jp/
  製品情報
  http://www.nikon-image.com/jpn/products/lens/af/singlefocal/normal/af-s_50mmf14g.htm

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大浦タケシ
(おおうら・たけし)1965年宮崎県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、二輪雑誌編集部、デザイン企画会社を経てフリーに。コマーシャル撮影の現場でデジタルカメラに接した経験を活かし主に写真雑誌等の記事を執筆する。プライベートでは写真を見ることも好きでギャラリー巡りは大切な日課となっている。カメラグランプリ選考委員。

2009/02/02 00:12
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