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キヤノン「EF 200mm F2 L IS USM」

交換レンズ実写ギャラリー
Reported by 河田一規

EOS 5D / 4,368×2,912 / 絞り優先AE / 1/400秒 / F2 / 0EV / ISO100 / WB:オート




EOS 5Dに装着したところ。同社のサンニッパに比べると、三脚座の脚が長くなり、三脚座をハンドル代わりにして持ち歩きやすくなっている。価格は89万2,500円
 キヤノンの200mm大口径単焦点レンズとしては、EF 200mm F1.8 L USMが1988年からラインナップされていたが、数年前に生産終了となっていた。今回のEF 200mm F2 L IS USMはその後継モデルで、開放F値こそF1.8からF2へと若干暗くなっているものの、F1.8モデルでは搭載されていなかった手ブレ補正機構を搭載するなど、現代的にアップデートされている。

 鏡胴デザインは同社の大口径単焦点望遠レンズに共通したもので、外装色はもちろんホワイト。いまやキヤノン大口径望遠レンズを象徴する白鏡胴だが、これは単にデザイン的にカッコイイから白くしたというだけではなく、炎天下で鏡胴内の温度が極端に高くなって部材の精度が狂わないよう、光を吸収する黒ではなく、反射する白色にしたという話はもはや伝説的といえるほど有名な話だ。今回は運よく晴天下で試用できたが、確かに触れないほど熱くなることはなく、白鏡胴の効果は高そうだ。

 大口径ということでサイズはそれなりに大きく、最大径と重量はサンニッパ(300mm F2.8)とほぼ同じ。焦点距離の違いにより全長はサンニッパよりも5cm弱ほど短いが、かなりの重量級レンズであることは間違いない。ただし、従来あった200mm F1.8と比べると、若干の小口径化と、マグネシウム鏡胴の採用などにより、約500gほど軽量化され、手ブレ補正の採用と相まって、手持ち撮影はかなりやりやすくなっている。

 その手ブレ補正だが、同社EF 300mm F2.8 L IS USMに搭載されているものは補正効果がシャッター速度約2段分なのに対し、EF 200mm F2 L IS USMでは最新だけあって約5段分の補正効果があるという。今回はすべて手持ちで撮影したが、約500カット撮影して、明らかな手ブレによる失敗は10枚程度という好結果だった。一般的に言われている「1/焦点距離」を手ブレ限界シャッター速度とすると、200mmレンズの手ブレ限界シャッター速度はちょっとオマケして1/250秒。そこから5段下のシャッター速度は何と1/8秒! 筆者の非力な腕力ではさすがにそこまで低速だとブレる確率の方が高くなるが、かなり強力な手ブレ補正であることは実感できた。

 また、レンズ側の手ブレ補正最大のメリットであるファインダー像の安定も大したもので、望遠レンズではやはりレンズ側手ブレ補正はありがたい。



 画質は文句なしに良質で、絞り開放から「本当に開放なのかっ!」と思うほど高コントラストでシャープな結像を得られる。特に感動なのはピントの立ち上がり方で、ピントのピークから急激にフォーカスアウトしていく「ピントのグラデーション」はF2.8クラスとはあきらかに違うもので、F2の凄さを大いに感じる部分だ。

 ボケ味は近距離側でわずかに渦巻く印象があるが、基本的には二線ボケ傾向は少なく、美しいボケだと思う。今回はフルサイズのEOS 5Dと組み合わせて試用したが、絞り開放で画面周辺にピントを合わせた場合でも、実にキレのいいピントが得られた。

 このクラスの大口径望遠レンズとしては、一般的にサンニッパがポピュラーだけれど、200mm F2の方が撮影対象的に応用範囲が広く、これから注目されるのではないだろうか。1.4倍のテレコンを併用すれば280mm F2.8としても使えるし、EOS 40DなどのAPS-Cサイズセンサーボディと組み合わせたときの画角変化(320mm相当)を考えても、個人的にはサンニッパより魅力的に感じる。

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、使用ボディ/記録解像度(ピクセル)/露出モード/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランスを表します。





EOS 5D / 2,912×4,368 / 絞り優先AE / 1/500秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO100 / WB:オート

EOS 5D / 4,368×2,912 / 絞り優先AE / 1/2,500秒 / F2 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート


EOS 5D / 4,368×2,912 / 絞り優先AE / 1/500秒 / F8 / -0.3EV / ISO100 / WB:オート EOS 5D / 2,912×4,368 / 絞り優先AE / 1/4,000秒 / F2 / 0EV / ISO100 / WB:オート

EOS 5D / 4,368×2,912 / 絞り優先AE / 1/320秒 / F2 / 0EV / ISO100 / WB:オート

EOS 5D / 4,368×2,912 / 絞り優先AE / 1/500秒 / F2 / +1EV / ISO100 / WB:オート


EOS 5D / 4,368×2,912 / 絞り優先AE / 1/200秒 / F2 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート

EOS 5D / 2,912×4,368 / 絞り優先AE / 1/200秒 / F2 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート


EOS 5D / 2,912×4,368 / 絞り優先AE / 1/1,250秒 / F2 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート

EOS 5D / 2,912×4,368 / 絞り優先AE / 1/250秒 / F3.2 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート


EOS 5D / 2,912×4,368 / 絞り優先AE / 1/500秒 / F2 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート

EOS 5D / 4,368×2,912 / 絞り優先AE / 1/800秒 / F2.8 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート


EOS 5D / 4,368×2,912 / 絞り優先AE / 1/800秒 / F2 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート

EOS 5D / 2,912×4,368 / 絞り優先AE / 1/500秒 / F2 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート





EOS 5D / 4,368×2,912 / 絞り優先AE / 1/3,200秒 / F2 / -0.3EV / ISO100 / WB:オート





URL
  キヤノン
  http://cweb.canon.jp/ef/lineup/telephoto/ef200-f2l/
  製品情報
  http://cweb.canon.jp/ef/lineup/telephoto/ef200-f2l/

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河田一規
(かわだ かずのり)1961年、神奈川県横浜市生まれ。結婚式場のスタッフカメラマン、写真家助手を経て1997年よりフリー。雑誌等での人物撮影の他、写真雑誌にハウツー記事、カメラ・レンズのレビュー記事を執筆中。クラカメからデジタルまでカメラなら何でも好き。最初に買ったデジカメはソニーのDSC-F1。

2008/05/30 00:48
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