デジカメ Watch

【伊達淳一のレンズが欲しいッ!】ペンタックス「DA 35mm F2.8 Macro Limited」

〜見ているだけで幸せになれる高質感レンズ
Reported by 伊達 淳一

 「smc PENTAX DA 35mm F2.8 Macro Limited」は、35mm判換算で53.5mm相当の画角が得られる、デジタル専用の“標準マクロレンズ”だ。Limitedシリーズとしては初のマクロレンズで、光学系はトキナーAT-X M35 PRO DXと共通だが、レンズの外装はペンタックス(HOYA株式会社PENTAXイメージング事業部)のオリジナル設計で、レンズ鏡胴や内蔵フード、レンズキャップはアルミ削り出し素材が使われている。かつてのマニュアルフォーカスレンズ(Mシリーズ)を彷彿とさせる質感だ。

 最短撮影距離は13.9cmで、レンズ単体で等倍撮影も可能。レンズ前面には、汚れに強いSP(Super Protect)コーティングが施されている。シングルAF合焦後にそのままMF操作が行なえるQuick-Shift Focus機構も備わっていて、親指AFで使用すれば、AFとMFをシームレスに使い分けることができて便利だ。

 ところで、ボクは標準マクロはちょっと苦手だ。中望遠マクロよりも画角が広く、背景にいろいろなものが写り込んでしまうのと、ワーキングディスタンス(被写体からレンズ先端までの撮影距離)が短いので、自分やレンズの影が被写体にかかりやすく、撮影場所によっては十分被写体に近寄ることができないからだ。

 でも、このDA 35mm F2.8 Macro Limited の実物を見たら、その瞬間にひと目惚れ。即、予約してしまった。写真を撮らなくても、ボディにレンズをつけて、あれこれいじり回しているだけでも所有欲を満たしてくれるだけの質感を備えている。ボクは使わないレンズをコレクションする趣味は基本的にはないのだが、それでも見ているだけで幸せになれるレンズは存在する。このDA 35mm F2.8 Macro Limited もそんな1本だ。


繰り出し時

 マクロレンズといえば、かつては文書や図版を複写するための特殊レンズで、最短撮影距離が短く、最大撮影倍率が高い(被写体を大きく写せる)ことと、レンズの収差、特に歪曲収差(ディストーション)がしっかり抑えられていて、周辺までシャープな描写が得られることが求められてきた。しかし今では、開放F値が(汎用ズームレンズよりも)明るく、最短撮影距離が短いレンズとして、ポートレート撮影や草花の接写に愛用する人が多く、ボケ味がキレイなことも重要になってきた。コントラストの高い被写体でもフワッと溶けるようにボケていく、いわゆる柔らかいボケと、絞り羽根の枚数が多く、絞っても円形に近いボケが得られることが求められている。

 そういう観点から見ても、DA 35mm F2.8 Macro Limited の描写は水準を満たしている。ペンタックスには珍しく、絞り羽根は9枚と多く、円形絞りとまではいかないものの、絞っていってもさほど角張った感じはしない。光点のボケの輪郭に多少縁取りが生じるので、文句なしのボケ味とまでは言い難いが、背景が煩雑になりやすい標準マクロ(しかもデジタル専用なので焦点距離も短く、なおさら背景をボカしにくい)としては、かなり穏やかなボケと言えるのではないだろうか。手前に極端に高コントラストの被写体を入れて中途半端な前ボケにでもしない限り、キレイなボケ味が得られるレンズだと思う。

 遠景の描写が甘めだという声も聞かれるが、確かに近接撮影時のシャープな描写に比べると、少々切れが悪くなる印象はある。絞り開放で撮影すると単焦点レンズとしてはいささかモノ足りない切れ味ではあるが、F5.6〜8くらいまで絞り込むとキリッとシャープな描写になる。まあ、汎用ズームでもF8まで絞り込めば、結構シャープな描写が得られるので、絞り開放からシャープな像を結んでこそ単焦点レンズの存在意義がある、とも言えるが、K20Dのファインシャープネスの効果も相まって、個人的には十分魅力が感じられる描写。あまりに遠景の描写が甘い場合は、微妙なピンボケを疑ってみたほうがいいだろう。

 標準マクロは苦手だったボクだが、今ではすっかり DA 35mm F2.8 Macro Limitedがお気に入り。K20Dと持って出かける定番レンズとなっている。


絞りによるボケの変化

※サムネールをクリックすると、等倍の画像を別ウィンドウで表示します。
※すべてK20D / 4,672×3,104ピクセル / マニュアル露出 / ISO100 / WB:オートで撮影しています。


F2.8
F4

F5.6
F8

F11

歪曲収差と周辺光量

※サムネールをクリックすると、等倍の画像を別ウィンドウで表示します。
※すべてK20D / 4,672×3,104ピクセル / マニュアル露出 / ISO100 / WB:太陽光で撮影しています。


F2.8
F4

F5.6
F8

F11

実写作例

※サムネールをクリックすると、等倍の画像を別ウィンドウで表示します。
※すべてK20Dで撮影しています。
※画像下のデータは露出モード/シャッター速度/絞り/露出補正値/感度/ホワイトバランス/画像仕上/ダイナミックレンジ拡大/高感度NRです。


マニュアル露出 / 1/80秒 / F4.5 / 0EV / ISO100 / オート / 雅(MIYABI) / OFF / OFF
マニュアル露出 / 1/40秒 / F4 / 0EV / ISO100 / オート / 雅(MIYABI) / OFF / OFF

マニュアル露出 / 1/1,250秒 / F4 / 0EV / ISO100 / オート / 雅(MIYABI) / OFF / OFF
マニュアル露出 / 1/320秒 / F4 / 0EV / ISO100 / オート / 雅(MIYABI) / OFF / OFF

絞り優先AE / 1/200秒 / F2.8 / +0.3EV / ISO500 / 太陽光(Amber 1) / 風景 / OFF / OFF
絞り優先AE / 1/500秒 / F5.6 / 0EV / ISO125 / 太陽光(Amber 2+Magenta 4) / 風景 / OFF / OFF

絞り優先AE / 1/30秒 / F2.8 / -0.3EV / ISO250 / 太陽光 / 風景 / OFF / OFF
絞り優先AE / 1/250秒 / F2.8 / 0EV / ISO250 / 太陽光 / ナチュラル / OFF / OFF

絞り優先AE / 1/1,250秒 / F5.6 / +0.3EV / ISO200 / オート / 雅(MIYABI) / ON / OFF
絞り優先AE / 1/2,500秒 / F3.2 / +0.3EV / ISO200 / オート / 雅(MIYABI) / ON / OFF

絞り優先AE / 1/2,000秒 / F3.2 / +0.3EV / ISO200 / オート / 雅(MIYABI) / ON / OFF
絞り優先AE / 1/2,500秒 / F3.5 / 0EV / ISO200 / オート / 雅(MIYABI) / ON / OFF

絞り優先AE / 1/4,000秒 / F3.5 / 0EV / ISO200 / オート / 雅(MIYABI) / ON / OFF
絞り優先AE / 1/1,000秒 / F5 / +0.3EV / ISO200 / オート / 雅(MIYABI) / ON / OFF

絞り優先AE / 1/500秒 / F8 / +0.3EV / ISO200 / オート / 雅(MIYABI) / ON / OFF
絞り優先AE / 1/50秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / オート / 雅(MIYABI) / OFF / OFF

絞り優先AE / 1/1,000秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / オート / ナチュラル / OFF / OFF
絞り優先AE / 1/800秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / オート / ナチュラル / OFF / OFF

絞り優先AE / 1/1,600秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / 太陽光 / ナチュラル / OFF / OFF
絞り優先AE / 1/800秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / 太陽光 / ナチュラル / OFF / OFF

絞り優先AE / 1/2,500秒 / F2.8 / -0.3EV / ISO100 / 太陽光 / ナチュラル / OFF / OFF 絞り優先AE / 1/1,250秒 / F3.2 / 0EV / ISO100 / 太陽光 / ナチュラル / OFF / OFF

絞り優先AE / 1/800秒 / F2.8 / +0.3EV / ISO200 / 太陽光 / ナチュラル / ON / OFF
絞り優先AE / 1/400秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / 太陽光 / ナチュラル / ON / OFF

絞り優先AE / 1/2,000秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / 太陽光 / ナチュラル / ON / OFF
絞り優先AE / 1/1,600秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / 太陽光 / ナチュラル / ON / OFF

絞り優先AE / 1/200秒 / F3.5 / 0EV / ISO200 / 太陽光 / ナチュラル / ON / OFF
絞り優先AE / 1/500秒 / F4 / 0EV / ISO200 / 太陽光 / ナチュラル / ON / OFF

絞り優先AE / 1/320秒 / F4 / 0EV / ISO200 / 太陽光 / ナチュラル / ON / OFF
絞り優先AE / 1/200秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO200 / 太陽光 / ナチュラル / ON / OFF

絞り優先AE / 1/125秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO200 / 太陽光 / ナチュラル / ON / OFF
絞り優先AE / 1/640秒 / F3.5 / 0EV / ISO200 / 太陽光 / ナチュラル / ON / OFF

絞り優先AE / 1/125秒 / F4.5 / 0EV / ISO200 / オート / ナチュラル / ON / OFF
絞り優先AE / 1/100秒 / F2.8 / +0.7EV / ISO200 / 色温度指定(5,000K) / 鮮やか / OFF / OFF

絞り優先AE / 1/80秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / 昼白色蛍光灯 / ナチュラル / OFF / OFF 絞り優先AE / 1/125秒 / F3.5 / +0.7EV / ISO200 / 昼白色蛍光灯 / ナチュラル / OFF / OFF

絞り優先AE / 1/125秒 / F3.5 / 0EV / ISO200 / オート / ナチュラル / OFF / OFF
絞り優先AE / 1/125秒 / F4 / 0EV / ISO200 / オート / ナチュラル / OFF / OFF


URL
  ペンタックス
  http://www.pentax.jp/
  製品情報
  http://www.pentax.jp/japan/imaging/digital/lens/index35_normal.html#07

関連記事
ペンタックス、「DA 35mm F2.8 Macro Limited」を正式発表(2008/01/24)



伊達 淳一
1962年生まれ。千葉大学工学部画像工学科卒業。写真、ビデオカメラ、パソコン誌で カメラマンとして活動する一方、その専門知識を活かし、ライターとしても活躍。黎 明期からデジタルカメラを専門にし、カメラマンよりもライター業が多くなる。自ら も身銭を切ってデジカメを数多く購入しているヒトバシラーだ。ただし、鳥撮りに関 してはまだ半年。飛びモノが撮れるように日々精進中なり

2008/05/27 00:02
デジカメ Watch ホームページ
・記事の情報は執筆時または掲載時のものであり、現状では異なる可能性があります。
・記事の内容につき、個別にご回答することはいたしかねます。
・記事、写真、図表などの著作権は著作者に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。必要な場合はこのページ自身にリンクをお張りください。業務関係でご利用の場合は別途お問い合わせください。

Copyright (c) 2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.