デジカメ Watch

コシナ「Ultron 40mm F2 SL II Aspherical」

交換レンズ実写ギャラリー
Reported by 小山 伸也

D3 / 4,256×2,832 / 1/20秒 / F8 / -0.5EV / ISO200 / WB:オート




 コシナ製フォクトレンダーブランドの単焦点マニュアルフォーカスレンズ、Ultron 40mm F2がリニューアルした。光学的に大きな変更はないものの、全長が約5mm短くなり、重さが約50g軽くなった。ニコンAi-SマウントとペンタックスKAマウント用が用意され、ニコン用はCPUを内蔵。D80やD40などでもカメラ内蔵の露出計が動作する。専用フードに加え、フードに取り付ける専用クローズアップレンズが付属する。


D3に装着したところ。価格は5万円 コンパクトなのでD40に良く似合う

※レンズの外観は製品版と若干異なります

 今回は主にD3とD40で撮影を行なった。画質は、昨今の単焦点レンズらしく豊富な階調を持ち、全体的な発色も好ましい。また、歪曲収差や絞り開放での周辺光量落ちが見られるものの、パンケーキスタイルのレンズとしては、絞り開放でのボケ味も心地よいものだった。逆光で太陽などの強い光源が画面内に入ったとしても、比較的ゴーストやフレアが発生しにくいのも心強い。

 最短撮影距離は38cmで、撮影倍率は1:7。付属のクローズアップレンズを装着すると最短撮影距離は25cmとなり、撮影倍率も1:4となる。若干シャープネスが低下するが、クローズアップレンズを使うとなると、少々の画質低下はやむを得ないところだろう。

 このレンズの特徴は使い勝手にある。ニコンのMFレンズはCPUを内蔵していないものがほとんどだが、そうしたレンズをデジタル一眼レフカメラで使うと、上位モデルでしかカメラ内蔵の露出計が動作しない。繰り返しになるが、本機はMFレンズでありながらCPUを搭載。ニコンのデジタルカメラ全モデルで内蔵露出計が使用できる。中でもD40xやD40ユーザーには、小型ボディを活かせるパンケーキレンズが、魅力的に映るかもしれない。

 レンズ本体は200g。特にD3だと重心がカメラ側に寄るため手ブレをおこしにくく、D3が得意とする高感度撮影と組み合わせると、少し暗いシーンでも充分手持ち撮影が可能だ。D3の見やすいファインダーなら、ピント合わせは問題ない。加えてフォーカスエイドも効く。

 焦点距離は40mm。APS-Cサイズの撮像素子を搭載した機種では、35mm判カメラ換算で焦点距離60mm相当の画角になる。標準レンズと比べるとやや長めのレンズとなるが、クローズアップレンズも装着できるので、60mmマクロレンズを持ち歩いてスナップしていると考えればよいだろう。その上で、F2の明るい単焦点レンズとしても楽しめる。

 金属製ボディの造りは大変良く、絞りリングを使った操作や、滑らかなフォーカスリングの感触を堪能できる。特にD40と組み合わせた場合、往年の小型一眼レフカメラとパンケーキレンズを持ち歩いた感覚が蘇ることだろう。

【お詫びと訂正】記事初出時、現行レンズにCPU内蔵レンズがないと記述しましたが、PC Micro Nikkor 85mm F2.8 Dに内蔵されております。お詫びして訂正させていただきます。

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、使用ボディ/記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランスを表します。
  • 強調のため一部の項目を1行目に抜粋した場合もあります。





D3 / 4,256×2,832 / 1/250秒 / F5.6 / -0.5EV / ISO200 / WB:オート D3 / 4,256×2,832 / 1/250秒 / F5.6 / -0.5EV / ISO200 / WB:オート

D3 / 4,256×2,832 / 1/350秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / WB:オート D3 / 4,256×2,832 / 1/350秒 / F11 / +1EV / ISO200 / WB:オート

D3 / 4,256×2,832 / 1/30秒 / F2.8 / -0.5EV / ISO200 / WB:オート D40 / 3,008×2,000 / 1秒 / F8 / -0.67EV / ISO200 / WB:オート

専用クローズアップレンズなし
D3 / 4,256×2,832 / 1秒 / F8 / -0.5EV / ISO200 / WB:オート
専用クローズアップレンズを装着
D3 / 4,256×2,832 / 1/20秒 / F8 / -0.5EV / ISO200 / WB:オート




D3 / 4,256×2,832 / 1/350秒 / F2 / -1EV / ISO200 / WB:オート




F2
D3 / 4,256×2,832 / 1/45秒 / 0EV / ISO200 / WB:オート
F2.8
D3 / 4,256×2,832 / 1/30秒 / 0EV / ISO200 / WB:オート
F4
D3 / 4,256×2,832 / 1/15秒 / 0EV / ISO200 / WB:オート

F5.6
D3 / 4,256×2,832 / 1/6秒 / 0EV / ISO200 / WB:オート
F8
D3 / 4,256×2,832 / 1/3秒 / 0EV / ISO200 / WB:オート
F11
D3 / 4,256×2,832 / 1/2秒 / 0EV / ISO200 / WB:オート

F16
D3 / 4,256×2,832 / 1.5秒 / 0EV / ISO200 / WB:オート
F22
D3 / 4,256×2,832 / 2秒 / 0EV / ISO200 / WB:オート





URL
  コシナ
  http://www.cosina.co.jp/
  製品情報
  http://www.cosina.co.jp/seihin/voigt/v-lens/sl2/40sl2

関連記事
【伊達淳一のレンズが欲しいッ!】コシナ「フォクトレンダー Ultron 40mm F2 SL II Aspherical」(2008/01/08)
コシナ、開放F2のパンケーキレンズ「Ultron 40mm F2 SL II」(2007/11/02)



小山 伸也
中央大学理工学部卒業後、オーディオメーカー、カメラメーカーを経て2002年春にフリーになる。カメラ雑誌で写真やカメラの解説、鉄道や航空雑誌で車両や航空機の解説など幅広く活躍している。カメラメーカー勤務時には日本カメラショーなどの講師を務めていた。1955年生まれ東京都出身。

2008/01/29 00:03
デジカメ Watch ホームページ
・記事の情報は執筆時または掲載時のものであり、現状では異なる可能性があります。
・記事の内容につき、個別にご回答することはいたしかねます。
・記事、写真、図表などの著作権は著作者に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。必要な場合はこのページ自身にリンクをお張りください。業務関係でご利用の場合は別途お問い合わせください。

Copyright (c) 2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.