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オリンパス「ZUIKO DIGITAL ED 70-300mm F4-5.6」

交換レンズ実写ギャラリー
Reported by 安孫子 卓郎

E-510 / 3,648×2,736 / 1/20秒 / F8 / -0.3EV / ISO100 / WB:晴れ / 70mm

E-510に装着。価格は4万9,875円
 オリンパスのレンズは3グレードに分類されているが、このレンズはリーズナブルなスタンダードグレードに含まれる。E-1発売時、オリンパスは中間ランクのハイグレードレンズを揃えてスタートした。このグレードのレンズたちは、光学性能と価格のバランスで考えると驚異的な性能を誇る。しかし、より低価格を求める市場の声にこたえて投入されたのがスタンダードグレードである。

 ただ初期に投入されたレンズたちは、価格なりの性能にとどまっており、上位グレードを含むZUIKO DIGITAL全体の魅力を伝えるには力不足であった。そうした反省を踏まえてのことだろうか、最近投入されているスタンダードグレードのレンズは、低価格ではあるが光学性能も改善されており、コストパフォーマンスの高い製品となっている。

 本レンズもスタンダードクラスだが、EDレンズが使用されているなど光学性能に磨きをかけている。他社にもこのクラスのレンズは存在するが、APS-Cサイズ相当の撮像素子では、画角が焦点距離450~480mm相当(35mm判換算、以下同)なのに対し、フォーサーズでは600mm相当の焦点距離になる。450mm相当で撮影すれば、他社よりちょっぴり明るく使えるというメリットもある。

 最短撮影距離はAFで1.2mまで。しかしレンズ側のスイッチをMFに切り替えると、ズーム全域で0.96mまで拡張され、300mmでは0.5倍でのマクロ撮影が可能となる。さらに、テレコンバーターや中間リングも使用できるので、さらなる撮影倍率アップも可能である。最大撮影倍率での撮影がMF操作になることを不満をもたれる方もおられるだろうが、600mmで等倍相当という撮影は、どんなボディを使ってもAFではかなり厳しい。それ以前に手持ち撮影そのものが難しい。0.96mものワーキングディスタンスを確保しながら等倍相当の撮影ができるというのは、新しい被写体を開拓してくれるレンズだと言える。

 このレンズはインナーフォーカスではなく、撮影距離が短くなるとレンズが繰り出される、昔ながらの方式を採用している。したがって300mmの最短撮影距離では、かなりの長さまで繰り出される。インナーフォーカスのズームは「300mmで0.96mだから0.5倍」といった単純な計算が当てはまらない。律儀なオリンパスなので、そのあたりを考慮してインナーフォーカスではなく、従来の方式を採用したのかな、などとも思うが、マクロ以外での使い勝手はインナーフォーカスの方が良い。またこのレンズ、SWDが採用されていないこともあわせ、AFスピード的には「速い」とはいえない。E-510と組み合わせる限り、動いている被写体の撮影にはかなり困難が予想される。

 価格は安いが、使用方法や使用目的が限定されるレンズだ。ほかのデジタル専用の手ブレ補正レンズでも同じだが、安いからといって安易に使うと、失敗写真量産レンズとなりかねない。「100万円のレンズを使っているんだ」くらいの心構えでしっかり使えば、新しい撮影分野を切り開いてくれるレンズだといえよう。

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、使用ボディ/記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。
  • 強調のため一部の項目を1行目に抜粋した場合もあります。





E-510 / 3,648×2,736 / 1/25秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:曇り / 70mm
E-510 / 3,648×2,736 / 1/60秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:曇り / 70mm

E-510 / 3,648×2,736 / 1/13秒 / F11 / 0EV / ISO100 / WB:曇り / 108mm E-510 / 3,648×2,736 / 1/60秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ / 70mm

E-510 / 3,648×2,736 / 1/250秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ / 300mm
E-510 / 3,648×2,736 / 1/40秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:曇り / 300mm

E-510 / 3,648×2,736 / 1/40秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ / 300mm
E-510 / 3,648×2,736 / 1/125秒 / F7.1 / +0.3EV / ISO100 / WB:晴れ / 300mm




E-510 / 3,648×2,736 / 1/15秒 / F8 / -0.3EV / ISO100 / WB:晴れ / 141mm




F5.6
E-510 / 3,648×2,736 / 1/320秒 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ / 300mm
F8
E-510 / 3,648×2,736 / 1/160秒 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ / 300mm
F11
E-510 / 3,648×2,736 / 1/80秒 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ / 300mm

F16
E-510 / 3,648×2,736 / 1/40秒 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ / 300mm
F22
E-510 / 3,648×2,736 / 1/20秒 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ / 300mm





URL
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/
  製品情報
  http://olympus-imaging.jp/product/dslr/accessory/lens/70-300_40-56/

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安孫子 卓郎
(あびこたくお) きわめて頻繁に「我孫子」と誤変換されるので、「我孫子ではなく安孫子です」がキャッチフレーズ(^^;。大学を卒業後、医薬品会社に就職。医薬品営業からパソコンシステムの営業を経て脱サラ。デジタルカメラオンリーのカメラマンを目指す。写真展「デジタルカメラの世界」など開催。現在パソコン誌、写真誌等で執筆中。

2007/11/27 00:02
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