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コシナ「C Biogon T* 21mm F4.5 ZM」

交換レンズ実写ギャラリー
Reported by 河田 一規

M8 / 3,936×2,624 / 1/8秒 / F4.5 / 0EV / ISO160 / WB:太陽光




M8に装着したところ。今回はシルバーを試用したが、ブラックタイプも用意されている。6月27日発売で、価格はどちらも11万250円。フードは丸形と角形の2種類が別売で用意されるが、今回は丸形(7,875円)を使った。ファインダーはコシナ/ツァイスの25/28mm用(4万1,475円)を使用
 本来はコシナの銀塩レンジファインダー機「Zeiss Ikon」(ツァイスイコン)用だが、同機が採用するZMマウントはライカMマウントと事実上互換性があるため、デジタルレンジファインダー機であるライカM8や、エプソンR-D1およびR-D1sにも装着できる。

 装着した場合、M8は約28mm相当、R-D1/R-D1sでは約32mm相当の画角(35mm判フルサイズ換算で)となる。いずれの場合もボディ内蔵のファインダーでは対応できないため、外付け式のビューファインダーを別途用意したい。その際には、CCDサイズによる画角換算ファクターを考慮したビューファインダーを用意した方が良いだろう。今回の試用ではM8を使ったので、ビューファインダーはコシナ/ツァイスブランドの25/28mm用を用意してもらった。

 コシナ/ツァイスにはすでに「Biogon 21mm F2.8 ZM」という同一焦点距離で、より大口径なレンズが存在する。そのため、一見すると本レンズはそれの小口径・廉価版のように思われるかもしれないが、実はそうではない。このレンズはツァイスの天才光学設計者として名高いベルテレ博士が、半世紀以上前に設計開発したオリジナルの「Biogon 21mm F4.5」に敬意を表しつつ現代的にリニューアルした、いわばオマージュプロダクトなのだ。Biogon 21mm F2.8 ZMが12万円なのに対して、本レンズは11万250円と、開放F値の割に価格差が少ないことからもこのレンズの位置づけが理解できると思う。

 実際に手にしてみると、21mm F4.5というスペックの割にはずしりとした手応えがあり、重厚感のある作りこみが素晴らしい。もちろん、レンジファインダー用レンズなので絶対的には小型軽量なのだが、金属製鏡胴とガラスによる「手に心地よい重量感」とでもいうべき至福の感触を味わうことができる。「このレンズで写真を撮りたい!」という撮影へのモチベーションが湧いてくる外観といえよう。コスト重視の製品も必要だけど、いろいろな角度から写真を楽しむためには、こういった作りの良い満足感の高いレンズも絶対に必要だと思う。

 すでにZMシリーズではおなじみの1/3EVステップの絞りリングは、クリック感が小気味よいし、控えめな指掛かりの付いたフォーカスリングの動きも絶品。操作感についてはまったく文句はない。小口径ゆえに絞り開放から十分に深い被写界深度を利用すれば、目測ピント合わせで軽快かつスピーディに撮影できるのもこういったレンズの美点であろう。また、今回試用した25/28mmビューファインダーのクリアで高倍率な見えの良さも特筆に値する。


 撮影結果はご覧の通り。広角レンズにつきものの歪曲収差はまったくなく、直線がまっすぐに再現されるのは実に気持ちがよい。色味についてはカメラ側のファクターが大きいのであまり断定的なことは言えないものの、最新レンズらしいコントラストの高さや、解像感の高さは十分に実感することができた。周辺光量についてはM8で使用する限り、それほど大きくは落ちなかった。個人的にはこういったレンジファインダー用広角レンズの場合、もっと周辺落ちがあったほうがドラマチックで好きなのだが、これについては光量落ちが少ないのを褒めるべきだろう。

 絞りは開放から抜群にシャープで、絞り込んでもさほどシャープさは変わらない。デジタルではF16くらいから回折の影響でシャープさが少し落ちるようだ。また、ボディの距離計に連動するのは0.7mまでだが、連動範囲外の目測で0.5mまで寄ることができる。開放でもピントは深いので、ストラップの長さ等を使った簡易的な距離合わせでもピントは十分に合う。

 なお、ライカM8では21~35mmの広角レンズを使用するときはUV/IRフィルターを使い、さらにレンズの焦点距離や開放F値をボディ側に伝える6bitコード検出をオンにするよう推奨している。今回はライカ製レンズではないので6bitコードはもちろん刻印されておらず、ゆえにUV/IRフィルターも装着していない状態で試用した。M8のファームウェアは最新の1.102。彩度やコントラストなどのパラメータはすべてデフォルトのままだ。

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、使用ボディ/記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランスを表します。
  • 強調のため一部の項目を1行目に抜粋した場合もあります。


M8 / 3,936×2,624 / 1/500秒 / F8 / 0EV / ISO160 / WB:太陽光
M8 / 3,936×2,624 / 1/250秒 / F8 / 0EV / ISO160 / WB:オート

M8 / 3,936×2,624 / 1/500秒 / F8 / 0EV / ISO160 / WB:太陽光
M8 / 3,936×2,624 / 1/500秒 / F8 / 0EV / ISO160 / WB:太陽光

M8 / 3,936×2,624 / 1/360秒 / F8 / 0EV / ISO160 / WB:太陽光
M8 / 3,936×2,624 / 1/360秒 / F8 / 0EV / ISO160 / WB:太陽光

M8 / 3,936×2,624 / 1/750秒 / F8 / 0EV / ISO160 / WB:太陽光
M8 / 3,936×2,624 / 1/60秒 / F5.6 / 0EV / ISO160 / WB:太陽光

M8 / 3,936×2,624 / 1/8秒 / F4.5 / 0EV / ISO160 / WB:太陽光
M8 / 3,936×2,624 / 1/250秒 / F8 / 0EV / ISO160 / WB:太陽光

M8 / 3,936×2,624 / 1/16秒 / F4.5 / 0EV / ISO160 / WB:太陽光
M8 / 3,936×2,624 / 1/6秒 / F4.5 / 0EV / ISO160 / WB:オート

M8 / 3,936×2,624 / 1/750秒 / F8 / 0EV / ISO160 / WB:太陽光
M8 / 3,936×2,624 / 1/750秒 / F8 / 0EV / ISO160 / WB:太陽光

M8 / 3,936×2,624 / 1/125秒 / F8 / 0EV / ISO160 / WB:太陽光
M8 / 3,936×2,624 / 1/6秒 / F4.5 / 0EV / ISO160 / WB:太陽光

M8 / 3,936×2,624 / 1/60秒 / F5.6 / 0EV / ISO160 / WB:太陽光(最短距離) M8 / 3,936×2,624 / 1/125秒 / F4.5 / 0EV / ISO160 / WB:太陽光(最短距離)




M8 / 3,936×2,624 / 1/750秒 / F8 / 0EV / ISO160 / WB:太陽光




F4.5
M8 / 3,936×2,624 / 1/180秒 / +1EV / ISO160 / WB:太陽光
F5.6
M8 / 3,936×2,624 / 1/125秒 / +1EV / ISO160 / WB:太陽光
F8
M8 / 3,936×2,624 / 1/60秒 / +1EV / ISO160 / WB:太陽光

F11
M8 / 3,936×2,624 / 1/30秒 / +1EV / ISO160 / WB:太陽光
F16
M8 / 3,936×2,624 / 1/16秒 / +1EV / ISO160 / WB:太陽光
F22
M8 / 3,936×2,624 / 1/8秒 / +1EV / ISO160 / WB:太陽光





URL
  コシナ
  http://www.cosina.co.jp/
  製品情報
  http://www.cosina.co.jp/seihin/co/c-b-21/

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河田 一規
(かわだ かずのり)1961年、神奈川県横浜市生まれ。結婚式場のスタッフカメラマン、写真家助手を経て1997年よりフリー。雑誌等での人物撮影の他、写真雑誌にハウツー記事、カメラ・レンズのレビュー記事を執筆中。クラカメからデジタルまでカメラなら何でも好き。最初に買ったデジカメはソニーのDSC-F1。

2007/07/31 00:01
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