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BENBO「トレッカーミニ自由雲台」

~特殊三脚メーカーのオーソドックスな自由雲台

 先日、自宅の機材庫を整理していたら細長い自由雲台が出てきた。かつて浅沼商会が輸入販売をしていた(現在は取り扱いをしていない)英BENBO製の自由雲台だ。BENBOといえば、「上段より下段が太く、石突部分がシールドされている」、「本体部分に大きなレバーが1つあり、このレバーの調整で開脚角度が自由自在になる」、「エレベーターの角度も自在になり、地面スレスレから高い位置まで自由にセットできる」という特殊三脚で、沼地や水の中での撮影でも、脚の伸縮部分に水や泥が浸からないという特徴的な三脚だった。

 言葉ではなかなかわかりづらいが、1度見たら忘れられない、インパクトのあるスタイルの三脚である。BENBO 1型から5型までのラインナップ以外に、軽量機種として用意されていたのが「トレッカー」。構造はそのままに、パイプサイズを細く、持ち運びを優先した設計のものだ。特殊なだけに慣れが必要な三脚には手を出さず、自由雲台のみを購入したのを思い出した。ツマミを緩めて動きを確認してみたところ、ボールを動かすと滑らかに動くのが確認できた。そこで、所有する三脚の3ウェイ雲台と交換し使ってみることにした。


貼られたロゴシールの下には「MADE IN ENGLAND」の文字。英国の三脚メーカーは他に「UNI-LOCK」や放送用の「VINTEN」などがある
操作箇所は2カ所のツマミのみ。ボールの固定と水平パンの固定をそれぞれ調整する

ボール部にはかなりグリスがついている印象。ボール下部には、白いプラスチック部品が見えている
海外製の雲台には珍しく、三脚取り付け部のメスネジがU1/4インチ(小ネジ)

ツマミの形状はレバーとダイヤルの中間といった印象の十字型
 自由雲台には、左右2つのブロックでボールを固定するタイプ(ベルボンとスリックの一部が採用している形式)と、ボール外周を覆う部品に対し下から「臼」のような形状の部品が押し上げて固定するタイプ(GitzoのセンターボールヘッドやManfrotto、スリック、ケンコー、ハンザの高精度タイプが採用している形式)の2形式に分けることができる。さらに後者は縦位置セット用の溝が固定のタイプ(Gitzo、Manfrotto)と、溝が回転できるタイプ(国産高精度タイプの自由雲台)に分かれる。

 BENBOトレッカーミニ自由雲台は、ボール外周を覆う部品に対し、下から固定部品が押し上げられるタイプで、縦位置にセットするための溝の位置は回転しない。従って、縦位置にセットするときは、必ずボールを固定するツマミの位置が、溝と90度の位置となってしまい、調整することはできない。

 一見小さいサイズだが、手にするとずっしりとした印象。240gという重量自体は、自由雲台として軽量な方だが、全体の大きさが小さいため、軽さを感じない。雲台込みで1.5kg程度の三脚なら、雲台は500g程度。このBENBOトレッカーミニ自由雲台に変えることで、200g以上軽量化できることになる。この軽量化と、ハンドルがなくなってコンパクトに持ち運べることが、自由雲台を使うことの大きなメリットだ。

 三脚への取り付けはU1/4インチネジのみの対応。スリック、ベルボンなど国産の三脚や、雲台取り付けネジのサイズが変更できるGitzoは問題ないが、Manfrottoの三脚に取り付けるには、アダプターが必要である。


カメラと雲台の固定は、ボールを緩めた状態でカメラ台そのものをクルクル回して固定する
ツマミと縦位置にセットする溝の位置関係が固定されているため、シャッターボタンが下の状態で縦にセットすることになる

 デジタル一眼レフカメラ+標準ズームの組み合わせで載せてみた。カメラの取り付けは、ボールを緩めてカメラを載せる台ごと回転させる構造。片手でカメラを支えながらの作業となるため、あまり重量級機材を載せるのには向かない。もちろん、この雲台の対象機材を考えれば、これで十分な仕様だ。もし早くカメラの着脱をしたいなら、クイックシューを取り付けて使った方がいいだろう。

 カメラを縦位置にセットするときには、カメラの背面から見て雲台の右側にカメラがくるようにセットすることになる。ボールを固定するツマミが手前にくるので、向きの調整に便利だ。シャッターボタンが下側にくるよう、縦位置にすることになる。こうすると、レンズの重量がかかるときでも、カメラネジが締まる方向に力がかかり、カメラが緩むことがない。逆方向(シャッターボタンが上に来る位置)で縦位置にすると、ボールを固定するツマミが被写体側になるので、操作がしづらいばかりか、レンズの重量がかかるとカメラネジが緩んでくることになる。

 縦位置シャッター付のボディをつけるとすれば、シャッターが下側になるのでは……とも思うが、このサイズの雲台に縦位置グリップ付きの大きなボディをつけることはまず考えられないのでOKだろう。

 当時の価格で1万2,000円は、サイズの割に高価に思えるが、軽くスムーズな動きは、オーソドックスながら精度の高い自由雲台だ。ユニークなBENBO三脚とともに、もう一度正式に輸入販売されないかな、と思える。



( 木村 英夫 )
2007/10/30 00:13
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