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日本HP Photosmart 2575 All-in-One

お買い得感の高い低価格で扱いやすい複合機


 日本HPの新製品の複合機シリーズでは普及価格帯に位置づけられるこの「Photosmart 2575 All-in-One」。上位機種のPhotosmart 3310/3210と比べると最も大きな違いは同社の新技術であるSPT(スケーラブル・プリンティング・テクノロジー)に対応していない点が挙げられる。

 SPTは、日本HPが5年の歳月をかけたという、インクを無駄なく利用し、印刷速度を向上させる技術で、高速・低コストを実現するためのものだが、この2575はその技術を搭載していないため、いわば既存の製品のブラッシュアップ版と見ていいだろう。

 今年から同社のプリンタは「Photosmart」の名称で統一されたが、2575は実質的には昨年の「PSC 2355」の後継機種と言えるだろう。新製品の中では唯一本体上部右側に操作パネルを配置したデザインは、逆に従来通りの見慣れたデザインだ。そのためインターフェイスも他のモデルとは異なるものとなっている。

 インターフェイスとしては、上位モデルに比べて数字キーが省かれており、基本的にはPSC 2355と同様のもので、また他社製品にも近い操作性と言える。写真印刷、スキャナ、コピー用にそれぞれ別個スタート/メニューボタンを備えるためややボタン数が多いが、その分操作性はよく、分かりやすい。

 機能としては、プリンタが解像度4,800dpi、インクが6色と4色の交換式、インク滴は5plと15pl、印刷速度はL判1枚で最速21秒、コストはL判1枚約23円、スキャナはCIS方式で解像度は2,400dpiなど。

 印刷画質については、やはり写真印刷を中心に見ると少々厳しい面がある。インク滴サイズが混合している場合、画質面で不利になる可能性がある。実際の画質は、粒状感はあるものの、それ以上に細部の表現に不安が残る結果となった。グラデーションの部分は比較的自然なようだが、精細感については今一歩と感じた。

 A4サイズの写真印刷で上位機種並みの画質を求めるのは、そもそも価格帯的にも筋違いと言えるので、このあたりは自分自身の目的と許容範囲をどのレベルに置くかで判断するしかないだろう。もともとモノクロ印刷には定評のあった同社だけに、普通紙へのモノクロ印刷では大きな不満はない。また、SPTを搭載した上位モデルに比べると、画質に加えてスピードやコストも見劣りするが、何より複合機でありながら16,800円(HP Directplus価格)という低価格が魅力だ。

 エントリークラスの複合機で最安値というわけではないが、機能や性能で考えるとお買い得感は高い。複合機を低価格で利用したいというユーザーにとっては有力な選択肢になるだろう。

※印刷結果は印刷結果と近似するよう配慮したが、完全に同一の色にはなっていない点に注意して欲しい。また階調の残り具合を見せるため、黒側は意図的にやや浮かせる調整としている。

※テスト方法についてはこちら。

印刷結果



( 小山 安博 )
2005/12/19 17:15
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