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エプソン カラリオダイレクト PM-D800

コストパフォーマンスの高い手軽な高画質プリンタ


 エプソンの新製品における単機能機のフラッグシップがこの「PM-D800」だ。メモリカードリーダーも備えるダイレクトプリント機で、2.4型の液晶ディスプレイも備え、PCを経由しない単独でのプリントにも対応する。

 プリント時の最大解像度は5,760dpi、6色インク、カラー450ノズル、ブラック90ノズル、「オートフォトファイン!EX」をはじめとした新画像処理エンジンなどといったスペックは、基本的に複合機のミドルクラスである「PM-A890」と同等だ。

 ただ、A890のインク滴1.5plに対してD800は3plであり、印刷スピード・ランニングコストともにA890とは差がついている。このあたりはエプソンの複合機優先のスタンスが明確に打ち出されている部分と言えるだろう。

 画質については、A890と比べるとインク滴の差か、空のグラデーションなどでざらつきが見られ、A890側は極小インク滴の効果が現れ、肉眼ではドットがわからないレベルだった。ただ、それも大きな差ではなく、一見したところは色の傾向も奥行き感もほとんど変わらないように見える。

 他メーカーの単機能機と同じく、複合機との比較が難しいところ。特にこのD800の場合、A890が比較対象となる。プリント画質については確かに差があるものの、複合機と単機能機というスペック差がそのまま価格差に表れた格好で、実売では1万円程度の差がある。これに関しては、複合機としての機能が必要なのか否かで選択するといいだろう。

 ただ、仮にスキャナをすでに所有しているなどの理由で複合機を選ばない場合、単機能機としてどれを選ぶのかが難しい。それというのも、エプソンは今回の新製品では単機能機のフラッグシップとも呼ぶべき新製品を投入していないからだ。既存製品であれば、8色光沢顔料を使ったPXシリーズもあるが、Epson Color対応などの新機能を搭載した新製品では、単機能はこのD800が最上位と言っていい。

 そうなると、画質ではA950/A890と確実に画質の差があるD800は少々物足りないと感じるユーザーも出てくるのではないだろうか。その意味では、画質を求めるユーザーはA950を選択するのが一番無難と言えるだろう。

 ただ、これはどこまで写真印刷を重視するかという点にかかっている。D800でも、Epson Colorの処理により、PCで写真を補正しなくても、簡単に素早く安定して美しいプリントが実現できるので、一般的な写真印刷であれば十分満足できるはずだ。

 なお、D800はダイレクトプリンタとして、メモリカードスロットも搭載、PCなしでも写真印刷が可能。Epson Colorは特にこうしたダイレクトプリント時に威力を発揮する。PCレスでの印刷におけるユーザーインターフェイスは他の機種と同等と考えていい。

 D800は、手軽に高画質印刷を求める場合に適したプリンタだ。複合機を選ぶ必要がない場合は、コストとスペック、性能を考えるとD800は有力な選択肢になるだろう。

※印刷結果は印刷結果と近似するよう配慮したが、完全に同一の色にはなっていない点に注意して欲しい。また階調の残り具合を見せるため、黒側は意図的にやや浮かせる調整としている。

※テスト方法についてはこちら。

印刷結果



( 小山 安博 )
2005/12/15 17:10
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