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エプソン カラリオ PM-A890

ファミリー向けに懐の深い高機能機


 エプソンの新製品群のうち、複合機のミドルクラスに位置づけられるのがこの「PM-A890」。大まかな新機能としては上位モデルのPM-A950と同等で、基本的なスペックアップに加え、「Epson Color」への対応が中心となる。

 A950との違いはプリントヘッドのインクノズル数や液晶サイズ、スキャナスペックなどで、PM-Gインク(6色染料)やインク滴1.5pl、解像度5,760dpiといったスペックは同一だ。そのため、A950と比べて、プリント画質に関してはそれほど大きな違いはないと言っていい。Epson Colorによる絵作りに関しても特に差は見られず、写真印刷においては印刷速度が異なる点が最も大きな性能差だろう。

 キヤノンの新製品群では、ラインナップ間の差は純粋なスペックの差だったのだが、A950とA890については機能部分でも差が設けられており、A890は赤外線通信に標準対応、携帯電話の赤外線機能を使い、携帯電話に保存した写真やアドレスデータなどを、ワイヤレスでプリントできるほか、携帯電話で入力した文字を写真に付加することもできる。また、PCを経由しないダイレクトプリントで16:9のワイド用紙に対応している。このあたりは、A950が写真を扱うユーザー層をターゲットにしたのに対し、A890がファミリー層やライトユーザーを見据え、より楽しんでプリンタを使えるよう工夫した結果と言えそうだ。

 本体前面にあるインターフェイスはA950と大きな違いはなく、液晶サイズがA950の3.5型に対して2.5型という点が大きな違いだ。また、前面からの給紙、前面収納されるインクカートリッジなど、使い勝手の部分でA950が優れている面も多い。

 スキャナ部は、A950が光学解像度4,800dpiで、A890が3,200dpiとスペック的な差がつけられているが、A950同様にネガ/ポジ35mmフィルムの読み取りには対応している。

 繰り返しになるが、印刷品質に関しては上位モデルのA950と同等品質を実現している点がA890の大きなメリットだ。プリントの傾向についてはA950のレビューを参考にして欲しいが、A950の画質傾向がそのままA890にも当てはまる。派手さはないが色の深みを感じられ、奥行き感や立体感といった写真としての存在感も高く感じられる結果となる。

 印刷速度をそれほど重視しない場合は、携帯電話との連携機能が標準で搭載されるA890の方が有利でもある。スキャナの性能差もあり、一概にどちらが優れているとは言い難いが、A890のコストパフォーマンスは高いと言える。

 フィルム写真の取り込みから写真の出力までを最高品質で行ないたい場合はA950を選ぶべきだが、デジタル写真の出力だけで考えればA890は十分な実力を備えており、手書き合成シート、ラベル印刷に加えてA950にはない携帯電話連携を含め、ファミリー層までも取り込める懐の広さがA890の魅力だろう。

※印刷結果は印刷結果と近似するよう配慮したが、完全に同一の色にはなっていない点に注意して欲しい。また階調の残り具合を見せるため、黒側は意図的にやや浮かせる調整としている。

※テスト方法についてはこちら。

印刷結果



( 小山 安博 )
2005/12/15 17:05
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