デジカメ Watch

キヤノン PIXUS iP7500

写真もモノクロ文書印刷も高品質なオールマイティ単機能機


 「PIXUS iP7500」は、キヤノンの新製品群のうちの単機能機。写真印刷としての最上位モデルは昨年発売された「iP8600」となるが、今年の単機能機の新製品群の中ではフラッグシップに位置づけられる製品だ。プリントヘッドは他の新製品と同様に最大9,600dpi、最小1plのインク滴と、基本スペックは変わらない。

 iP7500では、MP950と同様に7色のインクを採用(iP8600は8色)。6色の染料インクと顔料系ブラックの7色で、高い印刷品質を実現している。基本的なプリンタスペックはMP950同等と考えて良さそうで、印刷速度もほぼ同じ結果になった。

 肝心の画質も、7色インク、1plのスペックを存分に発揮しており、明部から暗部まで、なめらかな階調で写真が印刷される。空の部分にも目で見えるレベルのざらつき感はなく、豊かな発色は7色インクならではだろう。

 基本的な写真印刷の方向性はMP950と同じと考えていいだろう。色味や精細感、色乗りなどは同じ傾向。もちろん、顔料系ブラックを採用したことで、モノクロ印刷に関しての品質も高い。

 悩ましいのがiP8600との比較だ。iP8600の詳細はMP950のレビューでも記述されているが、iP7500のプリンタ部分はMP950の単機能機版と考えてよく、画質や色の傾向も同等なので、MP950とiP8600との差がそのままiP7500との差につながっていると見て差し支えなさそうだ。つまりiP7500は、写真印刷に十分な実力を備えつつモノクロ印刷についても優秀な結果を誇るが、全弾2plのiP8600と比べて異なる傾向を示している。

 写真印刷単独で考えると、iP8600に軍配が上がりそうな様子だが、それでもiP7500も十分な高画質を実現しており、十分満足できる仕上がりになる。顔料ブラックの搭載によるモノクロ文書印刷の品質向上は、普通紙印刷も多用する場合には有利な点だ。そのほか、自動両面印刷や、前面と背面の2カ所の給紙にも対応するなど、スペック的には他の製品に劣るものではない。

 そういった点をふまえると、写真印刷もモノクロ文書印刷も重視したいユーザーに適しているのがiP7500と言える。MP950との差は、多機能か単機能か、という点だけと考えてよく、すでにスキャナを所有しているなどで複合機を選択する必要がない場合に選ぶといいだろう。

 また、iP7500はメモリカードスロットも液晶ディスプレイもなく、ボタン類も少ないシンプルな外観だ。USBでデジカメを直結する以外はPCレスでの利用ができない。が、逆にPCだけの利用と割り切れば特に使い勝手も悪くなく、また単機能機である分価格的にも有利。シンプルな使い勝手と低価格を求めつつ、性能も妥協したくない場合の選択肢として有望だろう。

※印刷結果は印刷結果と近似するよう配慮したが、完全に同一の色にはなっていない点に注意して欲しい。また階調の残り具合を見せるため、黒側は意図的にやや浮かせる調整としている。

※テスト方法についてはこちら。

印刷結果



( 小山 安博 )
2005/12/13 15:39
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