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サンタバーバラへの海岸線ドライブ


EOS 5D / シグマ 24-70mm F2.8 EX DG Macro(36mm) / F8 / 1/200秒 / ISO100
小型のストロボを使用
 LAの国際空港、通称LAXの少し南の、海風が心地よいレドンドビーチに住んでいても、気分転換にもっときれいなところへ出かけたくなる僕は、贅沢な人間かもしれない。いつもさわやかないい風を肌で感じて、充分な暖かい光に包まれていたいのだ。

 11月最初のウイークエンド、朝の9時半、僕はここという目的地なしにLAから北上し、きれいな海岸線沿のドライブに出た。ゆっくり北上して日が暮れたら、海岸線のモーテルにでも1泊しようと思っていた。波の音だけ聞こえ、潮の匂いがする静寂の中に身を置ければ、安モーテルでもビールとポテトチップスがあればハッピーになれる。南下してサンディエゴ方向という手もあるが、カリフォルニアは北へ行くほど人も少なくなるし、海岸線も山もきれいになると思っている僕は、北カリフォルニアのビッグファンである。

 LAX付近からは、サンディエゴフリーウェイ(405号線)を15分ほど北上してベンチュラフリーウェイ(101号線)に乗り換え、北上する。この日は多少雲があるもののほぼ快晴で、サングラスが必需品となるカリフォルニアのドライブ日となった。

 家を出て1時間半も走るとフリーウェイから太平洋に突き出した立派な桟橋が見え、休憩のため立ち止まった(写真1)。桟橋でも船が着くものでなく、カリフォルニアではよく見かけるリクリエーションのための桟橋で、海辺のパーキング場に車を止めて桟橋の上に行ってみると釣りをしている人、ベンチに座って本を読んでいる人、散歩している人が程よくいる(写真2、3)。人が多過ぎても疲れるし、まったくいなくても寂しい。この程よい人数が大事なのだ。この海岸はレンタル自転車やサーフボードもあり、地元の人たちの憩いの場になっているようだ(写真4)。

※すべてRAWで撮影し、JPEGに変換しました。画像をクリックすると等倍の画像を別ウィンドウで開きます。
※画像下のデータはカメラ/レンズ(実焦点距離)/絞り/シャッター速度/感度です。ホワイトバランスはすべて昼光色です。


写真1
EOS 20D / シグマ55-200(147mm) / F8 / 1/320秒 / ISO100
写真2
EOS 5D / シグマ 24-70mm F2.8 EX DG Macro(70mm) / F14 / 1/125秒 / ISO100

写真3
EOS 5D / シグマ 24-70mm F2.8 EX DG Macro(70mm) / F13 / 1/125秒 / ISO100
写真4
EOS 5D / シグマ 24-70mm F2.8 EX DG Macro(48mm) / F14 / 1/125秒 / ISO100

 45分ほど休憩して、フリーウェイに戻り30分走ると、スペイン風の町並みが美しいサンタバーバラに着いた(写真5、6、7、8)。せっかくフリーウェイを降りたので、カリフォルニアにある21のミッション(伝道所)の中で最も美しいと言われている観光名所のひとつでもあるOld Mission Santa Barbaraに立ち寄った(写真9、10)。

 カリフォルニアでは小学4年生の終りに、ミッションの歴史についてレポートを作る課題ある。紙などを使い、建物の模型も作る。息子も4年だから親としては一応見ておこうとの思いもあったが、21あるどのミッションが課題になるかはまだわからない。いずれにしても親が手伝うことになることは間違いない。800マイルも走り、娘の課題のミッションまで写真を撮りに行ってレポートを完成させた友人もいるぐらい、結構大変な課題である。


写真5
EOS 5D / シグマ 24-70mm F2.8 EX DG Macro(36mm) / F13 / 1/125秒 / ISO100
写真6
EOS 5D / シグマ 24-70mm F2.8 EX DG Macro(36mm) / F13 / 1/125秒 / ISO100

写真7
EOS 5D / シグマ 12-24mm F4.5-5.6 EX DG ASPHERICAL /HSM (12mm) / F13 / 1/125秒 / ISO100
写真8
EOS 5D / シグマ 24-70mm F2.8 EX DG Macro(12mm) / F10 / 1/125秒 / ISO100

写真9
EOS 5D / シグマ 24-70mm F2.8 EX DG Macro(70mm) / F13 / 1/125秒 / ISO100
ポストカードはここからの写真が多い。バラの花にピントを合わせた
写真10
EOS 5D / シグマ 24-70mm F2.8 EX DG Macro(64mm) / F4 / 1/60秒 / ISO800
手前のバラを入れての写真は、キャンドルにも

 さて、このミッションでブラブラしているとお腹が減って、だんだん疲れてきた。冬時間になり、日没も5時前だし、この先あと200マイル以上は走らないと景色にも変化がない。来る途中に立ち寄った海岸で太陽が沈む光景をゆっくり待ち、そのままロスに戻るのも悪くないと思えてきた僕は、日常生活からすでにリフレッシュできていたのかもしれない。せっかく持ってきた宿泊道具は無駄になるが。

 午後3時ごろサンタバーバラを出た。ハイウェイ101に入り10分ほども南下すると、何となく惹かれる思いがする海岸がちらりと見えたので、すばやくフリーウェイを降りた。海岸のパーキング場からは、松林があって海が見えない。しかし、海岸へ行く道から、サーフボード持ったサーファーが数人戻って来た。その間にもサーフボードを積んだ車が何台かパーキング場に来たので、ここはサーファーが多い海岸だとわかった。

 海に通じる松林の中を100mほど下ると、石ころだらけの歩きにくい海岸に出た。海を見ると、遠浅の大きな太平洋が広がっている。転ばないように少しだけ歩くと、海水で濡れた金髪が美しい少女が、海を眺めている。もちろん隣にはサーフボードがある。写真を撮らせてもらおうとそばに行くと、少女ではなく14歳の少年だった(写真11)。また少し歩くとウエットスーツに着替え、これから海に入ろうとしていた父と娘のサーファーがいた。何とも微笑ましい光景ではないか。その場に座ってもらい写真を撮った(冒頭の写真)。

 101に戻り、午前中立ち寄った桟橋に着くと夕暮れが迫っていた(写真12、13)。海とは反対方向の東の空からは月が出ていた(写真14)。

 太陽に1日中照らされ、最後は月に出迎えられ、この日の僕は幸せな旅人であった。


写真11
EOS 5D / シグマ 24-70mm F2.8 EX DG Macro(39mm) / F9 / 1/200秒 / ISO100
小型のストロボを使用
写真12
EOS 5D / シグマ 24-70mm F2.8 EX DG Macro(42mm) / F8 / 1/100秒 / ISO100

写真13
EOS 20D / シグマ 55-200mm F4-5.6 DC(147mm) / F8 / 1/125秒 / ISO100,
写真14
EOS 5D / シグマ 24-70mm F2.8 EX DG Macro(70mm) / F8 / 1/60秒 / ISO200


URL
  バックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dialy_backnumber/
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押本 龍一
(おしもとりゅういち)東京品川生まれ。英語習得目的のため2年間の予定で1982年に渡米する。1984年、ニューヨークで広告写真に出会い、予定変更。大手クライアントを持つコマ―シャルスタジオで働き始める。1988年にPhotographerで永住権取得。1991年よりフリー、1995年LAに移動。現在はLAを拠点にショービジネス関係の撮影が主。日本からの仕事も開拓中。 http://oshimoto.net

2006/12/06 01:22
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