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モノ・レイク(後編)
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雪が降った5月のセコイア
[2008/06/25]

5月、霧のキングス・キャニオン
[2008/06/11]

サンタ・クルーズ島へ日帰りの旅
[2008/05/21]

春のデスバレー(後半)
[2008/05/07]

春のデスバレー(前半)
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パソ・ロブレスの冬
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モハヴェ砂漠の冬(後半)
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モハヴェ砂漠の冬(前半)
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砂漠のルート66
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サークル・Xランチ、サンタモニカ・マウンテンズ
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冬のカーピンテリア
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12月のニューヨーク(後半)
[2008/01/16]


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女性アスリートを撮る


写真8
F7.1 / 1/100秒 / 42mm
 アメリカでは過食と運動不足で、肥満が深刻な問題だ。しかし、運動する人はかなり気合を入れて毎日運動する。いや鍛えると言った方がいいかもしれない。強くなりたいのか、それとも美しくなりたいのか、スポーツジムでは女性が男性に負けずにいい汗を流している。僕はよくハイキングに行くが、山ですれ違うのは圧倒的に女性が多い。それも1人で来る若い女性が多い。彼女らの表情を見ていると、自然を楽しむために来ている単なるハイカーではなく、明らかに体を鍛えに来ているのだと思う。

 独立していると言うか、彼女らに戦う戦士のような強さを感じる。鍛えるために生きているのか、生きるために鍛えているのか、どちらが先かわからないが、なんともたくましい。彼女らとお付き合いする男性は、相当シェイプアップしていないと相手にされないかもしれない。

 そんな女性の代表のような、「女性ランナーを撮影」( http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dialy/2006/05/31/3898.html )で登場したアスリートを、また撮影した。彼女は競技にも参加している現役ランナーだが、スポーツジムではトレーナーとしても活躍していて、毎日体を鍛え上げている。彼女と一緒にいると、僕まで体が軽くなり、遠くに飛べるような気持ちになるし、運動せずにはいられない気持ちになるから不思議である。

 僕はカメラボディ1台にレンズ1本、それに小さなストロボをカメラバックに入れて、小さなスタンド1本を車のトランクに放り込み、LAの飛行場から車で20分と便利な、ビーチバレーの大会で有名なマンハッタンビーチに出かけた。LAのビーチは夏でも海風で涼しく、冬もそんなに寒くないから、運動好きの人には最高だ。そして何よりビーチは人を開放的な気持ちにさせる。しかし、不運にもこの日は霧が出て風も強く寒く、しかたなく撮影を近所にある公園に変更した。

 まず、彼女がいつでも運動できるように持ち歩いているマットを公園の芝生に敷いて、腹筋運動と足のストレッチ運動。本物のアスリートが、ウォーミングアップ的な基本運動をしているだけでも絵になるから、カメラマンとしては嬉しい。まず横から撮り、次に公園にあるテーブルに乗って撮った。腹筋運動をモデル正面から撮るとなぜか絵にならず、モデルの頭をカメラマンに方向に向けた。激しい運動シーンでも、実際に写真にするとつまらない絵になることがあり、すぐにシャッターを押せるとは限らない。


写真1
ストロボにつけたイエローのカバー。これをテープでストロボに貼った
 この日は、海から離れても太陽は出ず、曇り。僕は、太陽が当たらない寂しげな雰囲気にパンチを入れるため、小型ストロボにイエローのカバーをしてモデルに当てた(写真1)。黒人の肌にイエローが反射して、寂しさが軽減されたと思う。ストロボはスタンドの上に乗せているから、好きな角度に動かせた(写真2~5)。

※使用したカメラはキャノン EOS 20D、レンズはシグマ 24-70mm F2.8 EX DG MACRO。すべてオートホワイトバランス、ISO100、マニュアルフォーカスで撮影しています。
※写真下のデータは絞り/シャッター速度/実焦点距離です。


写真2
F10 / 1/250秒 / 45mm
写真3
F10 / 1/200秒 / 70mm

写真4
F10 / 1/200秒 / 39mm
写真5
F10 / 1/200秒 / 42mm

 次は、芝生で短距離スタートの格好(写真6)。本物のランナーだからすぐ決まる。そして、同じスポットでガンガン足上げ運動(写真7)。「疲れるまで止まらないで」と、頼んだら、なかなか終わらない、さすがいつも鍛えている彼女はタフだった。


写真6
F8 / 1/250秒 / 36mm
写真7
F6.3 / 1/250秒 / 52mm

 アスリートを撮影する時は派手なアクションの瞬間を想像するけど、激しく体を動かした後のアスリートもなかなか絵になると思う。僕も運動が大好きだからいつも思うが、運動した後、数十秒ぐらいは何か不思議な充実したエネルギーが体の中に残るものだ。そんなエネルギーが残っているアスリートも撮影してみた。特別なエネルギーが感じられるだろうか。このカットは、ストロボは当てていない(写真8~11)。


写真9
F6.3 / 1/100秒 / 56mm
写真10
F5.6 / 1/125秒 / 70mm
写真11
F5.6 / 1/100秒 / 52mm


URL
  バックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dialy_backnumber/



押本 龍一
(おしもとりゅういち)東京品川生まれ。英語習得目的のため2年間の予定で1982年に渡米する。1984年、ニューヨークで広告写真に出会い、予定変更。大手クライアントを持つコマ―シャルスタジオで働き始める。1988年にPhotographerで永住権取得。1991年よりフリー、1995年LAに移動。現在はLAを拠点にショービジネス関係の撮影が主。日本からの仕事も開拓中。 http://oshimoto.net

2006/10/11 16:56
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