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ソニー、サイバーショット2007年春モデル発表会を開催

~三好和義氏とアンジェラ・アキさんがハイビジョン出力機能をアピール

左から、ソニーマーケティングの鹿野清氏、三好和義氏、アンジェラ・アキさん、ソニーの石塚茂樹氏、同 今村昌志氏
 ソニーは28日、同日発表したコンパクトデジタルカメラ「サイバーショット」シリーズの、2007年春モデルの発表会を都内で開催した。写真家の三好和義氏や、CMソングを歌うアンジェラ・アキさんが登場し、「ハイビジョン出力による見る機能の向上」と「Bionz搭載による撮影機能の向上」をアピールした。

 また、デジタル一眼レフカメラ「α」シリーズについても、「今年は商品ラインナップを拡充する」(同社 デジタルイメージング事業本部長 石塚茂樹)とのコメントがあった。


動画がハイビジョン化された時の感動を、静止画でも

左からW80、T100、T20、H7
 発表されたサイバーショットは既報どおり「DSC-T100」、「DSC-T20」、「DSC-W80」、「DSC-H7」の4機種と、DSC-W80に静止画ハイビジョン出力機能付プリンタを同梱したキットモデル「DSC-W80HDPR」。さらに、コンパクトフォトプリンタ「ピクチャーステーション DPP-FP90」と「同DPP-FP70」も発表された。

 石塚氏はまず「サイバーショットシリーズは10年間で全世界累計6,500万台を出荷した」、「T、W、Sシリーのヒットにより、2006年は計画比1割増の1,700万台を出荷した」と、同シリーズが好調ぶりをアピールした。

【お詫びと訂正】記事初出時、2006年の出荷台数を2,700万台と記述しましたが、1,700万台の誤りでした。お詫びして訂正させていただきます。


石塚茂樹氏
ステージに飾られた2007年春モデル

 春モデルがハイビジョン出力を前面に打ち出した背景には、「写真をデータとして保存、加工したり、TVに出力できる」というデジタルカメラならではのメリットと、またハイビジョンTVが全国で累計1,400万台出荷される(2007年3月予測値)など、地上波デジタル放送の開始をきっかけとしたハイビジョンの普及がある。

 石塚氏は「ハイビジョン静止画を大画面TVで楽しむ“HDフォトビューイング”により、動画がハイビジョンになった時の感動を、静止画でも味わっていただく」と、同社が推し進めるHDワールドにサイバーショットも参画させることを表明した。

 また同氏は、ソニーのデジタルイメージング事業の将来を「“Image” Your tomorrow」という言葉で表し、「新しい写真文化を創出し、それを支えるためにHDビューイングや音フォト(音楽付きスライドショウを自動生成する機能)を開発した。従来のカメラの楽しみ方を大切にしながら、アナログでできなかったデジタルならではの楽しみ得られる、新しいカメラを開発していく」とした。


「撮る機能の強化」の中核はBionz

今村昌志氏。手に持っているのはT20のピンク
 サイバーショットの開発責任者である同社 デジタルイメージング事業本部 パーソナルイメージング事業部長の今村昌志氏は、春モデルの新技術を紹介した。

 同氏はまず2006年のコンパクトデジタルカメラ市場について「業界予測に反し前年比121%の出荷を記録した。これはBRICsをはじめとする地域の新規需要だけでなく、日本、欧米のような成熟した市場でも買換え需要が喚起された結果」とし、その要因を「手ブレ補正、高感度などの新しい価値が買い替えを促進した」と分析した。


2006年はコンパクトデジカメが予想外の躍進
サイバーショットTシリーズも薄型、スタイリッシュ、手ブレ軽減など新しい価値を提供してきた

 続いて、「撮る機能の強化」と「見る、見せる楽しみの創造」という2つのコンセプトを、春モデルの「2つの軸」と紹介し、これらを「The Best Camera Experience」と総称した。

 「撮る機能の強化」は具体的には新画像処理エンジン「Bionz」の搭載。「αシリーズで培われた信号処理技術を、サイバーショット用に新開発されたエンジンに組み込み、αシリーズの画像処理エンジンと同じブランドネームを与えた」と明かし、その特徴を「高速処理と、ハードウェア実装された顔検出エンジン」とした。


撮る機能と見る、見せる機能を両輪に
撮る機能を支えるのがBionz

ソニーの顔検出機能は「顔キメ」と呼ぶ
 顔検出機能については「検出が速く、きちんと追尾する性能を磨き上げた。また、AF、AEだけでなくホワイトバランスも調整する」とした。なお、同社の顔検出機能には「顔キメ」という名称が与えられている。

 また、新しいノイズ処理によりISO3200でも従来機ISO1000レベルの画像を確保したこと、α100のDレンジオプティマイザーを移植したこと、トリミング、赤目補正、ソフトフォーカス、魚眼効果をはじめとするカメラ内レタッチ機能を備えたこと、AF、AE、AWB、ストロボ調光などの基本性能が向上したことなどを紹介。

 さらに、新たに採用されたユーザーインターフェイスを「リッチなグラフィックスと機能ガイドによって、お客様に優しい使い勝手を実現した」と述べた。


顔検出機能はホワイトバランスも調節する
カメラの基本性能が向上。Dレンジオプティマイザーも搭載された

カメラ内レタッチ機能
新ユーザーインターフェイス

3型液晶モニターと5倍ズームのT100。「サイバーショットシリーズのフラッグシップ」と表現された
T20は「見せる、スタイリッシュなT」

「運動会に最適」なH7
光学ファインダーを備えた「コンベンショナルな形」のW80。W50に手ブレ補正を追加

Tシリーズ用0.77倍ワイコン「VCL-DE07T」。T9以降のTシリーズに装着可能
VCL-DE07Tは、レンズ部を挟み込むように装着。バネで押さえつける

カラフルなオプションのケースはT100、T20、W80共通で使える
T100、T20とW80にはマリンパックも用意される

こちらはH7用オプション
テレコンをつけたH7

同時発表されたBionz搭載のデジタルフォトプリンタ「DPP-FP70」
DPP-FP90は、デジタル一眼イメージの黒。「For Use Wiht α」の文字が見える

ハイビジョン出力はαにも展開

音フォトもハイビジョンに
 続いて「見る、見せる楽しみの創造」である1,920×1,080ピクセル(1080i)のハイビジョン出力機能について「写真には動画にない感動がある。プリントアウトやPCで見るのが従来の楽しみ方だったが、リビングルームにあるブラビアの大画面、高精細環境で写真を見られたらどんなにすばらしいだろうと、技術者は夢見てきた」と開発の動機を述べ、ハイビジョンと音楽付きスライドショウ「音フォト」を「写真に感動をのせる」技術とした。

 なお、ハイビジョン出力に必要なケーブルやクレードルを別売としたことについては、「こうした新機能にはステップバイステップのアプローチが必要。日米はハイビジョン普及率が高いが、世界的にはまだこれからの地域もある。また、日本でもハイビジョンTVを持っていない家庭がある。現時点ではハイビジョンTVを持っていなくても、サイバーショットを持っていれば、将来ハイビジョンTVを買ったときに高画質を楽しめるということで、別売とした」とした。

 また、ハイビジョン出力機能は今後、ローエンドモデルやαシリーズにも展開していくとした。


W80HDPRは撮って、ハイビジョンで見て、プリントできるオールインワンのソリューションキット。プリンタはTVの横に置くことを想定してデザインされた
プリンタは縦置きもできる

W80HDPRのリモコン。「SLIDE SHOW」ボタンは「音フォト」を一発起動する。プリントボタンもある
W80HDPRのプリンタの背面。TV出力用の端子だけで、PC用のインターフェイスはない

16:9で撮影した画像をLサイズでプリントアウトすると、上下に余白が出る
4:3で撮影した画像は、左右をカットすることで4辺フチなしになる

サイバーショットステーション CSS-HD1。
CSS-HD1の背面。ハイビジョン出力端子とAV出力がある。ACアダプタをつなげば充電も可能。PCには接続できない

サイバーショットステーションのほかに、D端子ケーブル、コンポーネントケーブルも用意される
4:3で撮影した画像をハイビジョン出力すると、上下1,080ピクセルで表示される

「切り替え式画質比較展示台」でHD画質をアピール

鹿野清氏
 ソニーマーケティング 取締役 執行役員常務の鹿野清氏は、春モデルの国内マーケティング戦略を説明。「デジタルカメラの世帯普及率が60%を超え、ユーザーニーズのトレンドが“買い替え買い増し”にシフトした。新規需要の時代は基本性能が重視されたが、買い替え買い増し需要の時代には、新たな付加価値として、安心感のある機能や使いやすさが求められる」とし、春モデルで打ち出した「ハイビジョン出力」を付加価値のひとつと位置づける。

 同氏は、「日本で最も早くハイビジョンの映像コンテンツを提供したのがデジタルスチルカメラ。感動を呼び起こす新たなハイビジョンコンテンツとして写真を提供したい」と述べた。


市場の成熟に伴い、ユーザーニーズも変化
ハイビジョンTVの世帯普及率は約30%に

写真もハイビジョンコンテンツに
会場で上映されたTV CFのひとコマ。「ハイビジョン音フォトで涙と感動」を売り込む

切り替え式HD/SD画質比較展示台。下の青いボタンを押すとハイビジョン出力、赤いボタンを押すとスタンダード出力で、背後の32型ブラビアに表示される
 具体的なプロモーションとしては、TV CFのイメージソングにアンジェラ・アキさんを起用するほか、ハイビジョン出力については「体感プロモーションを強化する」とし、その一環として「音フォト感動体験サイト」を28日に開設するとした。また、3月1日からは銀座ソニービル、お台場ソニースタイル、ソニースタイルストア大阪において、先行展示を開始する。

 さらに、大規模量販店では「切り替え式HD/SD画質比較展示台」を設置。サイバーショットからのハイビジョン出力とスタンダード出力を32型のブラビア表示する台だが、ユーザーがハイビジョンとスタンダードを切り替えて比較することができる。

 同氏は、春モデルの初月国内出荷計画台数を、T100が5万台、T20が6万台、W80が4万台、H7が8,000台、W80HDPRが2,000セットと明らかにした。


今年はαのラインナップも拡充

 デジタルイメージング事業本部長の石塚氏はαシリーズにも言及。「今年は当然、αのニューモデルを投入する」とした。

 αのシェアが目標に届いていないことについては、「全世界では10%くらいのシェアで推移してる。中期的にシェアをあげていきたい」とした。


三好和義氏とアンジェラ・アキさんが登場

 カンファレンスでは「楽園」シリーズで知られる写真家の三好和義氏が、ハワイで撮影した、春モデルによる画像を披露。「現地でも(撮影した画像を)PCで見たりしていたが、帰ってきてからブラビアに写したら、自分の写真じゃないような感じがした。次の撮影では、こんな音楽を組み合わせようと考えながら撮りたい」、「デジタルでは難しいと思っていた緑や赤の質感や、空気感が写っていた。特に緑をプリントするのは難しかったが、映像で大きく見るとうまく表現できていた。ブラビアならではの表現だ」と、春モデルの高画質と、ハイビジョン出力や音フォトの魅力を述べた。

 また、花や葉のマクロ撮影や、手ブレ補正機能を活かしたノーファインダー撮影など、サイバーショットのメリットを最大限に活かした作例を展示した。


三好和義氏
ハワイで撮影した作例を見せながら、サイバーショットの魅力を語った

アンジェラ・アキさん
 さらに、春モデルのCMソングを歌うシンガーソングライターのアンジェラ・アキさんが登場。CMソングの「サクラ色」は、「ワシントンDCで音楽を勉強していた頃の思い出を歌った」というエピソードを披露。2006年に武道館で開催した弾き語りのライブに向けて作った曲だが、サイバーショットのCFに採用されたと聞いた時は「藤井フミヤさんの曲が流れるサイバーショットのCFを見ていたので、あのCFに使われるんだとうれしかった」と言う。CFも曲と映像のマッチングがよく、満足している様子。

 アキさんは常にデジタルカメラを持ち歩き、ブログの日記用の写真を撮っているという。「サクラ色」のプロモーションビデオ撮影の模様を撮った画像を音フォトにした作品を見ながら、「記憶は音や色や視覚などいろいろなものかきたてられるが、音フォトではこれらがひとつに一体化されて、鮮明によみがえる。(流れている作品を見ていると)撮影のときは夜で、寒くて震えていたことなどを思い出す。また、ハイビジョンというだけで、映画を見ているような感覚になれる」と音フォトの魅力を語り、「音フォトでプロモーションビデオが撮れたんじゃないかと思うくらい」とした。


音フォトを見ながらPV収録の思い出を語る
デジカメは常に持ち歩いているとのこと


URL
  ソニー
  http://www.sony.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/200702/07-0228/
  製品情報(サイバーショット)
  http://www.sony.jp/products/di-world/cyber-shot/

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ソニー、サイバーショット 2007年春モデルを発表(2007/02/28)


( 本誌:田中 真一郎 )
2007/02/28 19:15
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